第2章 地域別に見た外交 |
第7節 アフリカ(サハラ以南)
【総 論】 2005年、アフリカでは、前年と同様、多くの国において、内戦やクーデター後初となる民主的選挙や憲法の国民投票の実施、国連平和維持活動(PKO)の任務完了等、開発の土台である平和と安定への第一歩が踏み出され、和平・民主化プロセスが一層進展した (注1) 。しかし、いまだに紛争が継続している地域があるほか (注2) 、多くのアフリカ諸国では、その平和は依然として脆弱なものである (注3) 。そのような平和を安定的・持続的なものに変えていくことが現在のアフリカにとって大きな課題である。 経済面では、原油価格の高騰が非産油国に悪影響を及ぼし得るといった懸念材料はあるものの、アフリカの14か国が5%を超える経済成長を記録し、インフレ率も10年前の5分の1へと低下するなど、全体として良好な実績を示している(2004年) (注4) 。 その一方で、アフリカは、深刻な貧困等いまだに多くの社会経済開発上の課題を抱えている。国連ミレニアム宣言の採択から5年目の節目となった2005年9月の国連首脳会合では、国連ミレニアム開発目標(MDGs)を含む開発問題が焦点となった。UNDPは、MDGs達成のために特に緊急の対応を必要とする「最優先国」27か国のうち21か国がアフリカの国であると報告している (注5) 。 このように、2005年はアフリカの問題がG8グレンイーグルズ・サミットや国連首脳会合等主要な国際会議の中心的議題となり、国際社会の関心が大きく高まった結果、国際社会からアフリカに対して多くの支援が表明された。さらに、世界各国にとって、国連改革やWTOドーハ・ラウンド交渉等の国際場裡においてアフリカとの協力が鍵となった。このように、2005年は国際社会の注目がアフリカに集中する「アフリカの年」となり、日本も国際社会と協調しつつ、対アフリカ支援の拡充やアフリカとの協力関係の強化を図った。 |
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