第2章 地域別に見た外交


6.北アフリカ(マグレブを含む)

 アラブとアフリカの両面を持つ北アフリカ地域では、各国での動き及び日本との関係の双方で進展が見られた。

 エジプトでは、ムバラク大統領の長期政権に対する批判も見られる中、初の複数候補による大統領選挙が9月に行われ、同大統領が圧倒的多数の得票で5選を果たした。11月から12月にかけて段階的に実施された人民議会選挙では、同大統領を党首とする与党国民民主党(NDP)が議席の3分の2以上を占めたが、ムスリム同胞団(穏健なイスラム原理主義組織)系の議員が躍進した。外交面では、中東和平、イラク、スーダンなどの地域問題の解決に積極的な役割を果たしている。4月にカイロ市内で、7月にシャルム・エル・シェイクでイスラム過激組織によると見られる大規模な爆弾テロが発生した。

 スーダンでは、1月に北部のスーダン政府と南部の反政府勢力(スーダン人民解放運動:SPLM)との間で包括和平合意が締結され、20年以上続いた内戦が終結した。日本は4月のオスロ支援国会合で地雷除去、難民、国内避難民の帰還支援のため当面1億ドルの支援を表明した。また、展開中の国連スーダン・ミッション(UNMIS)に物資協力や人員派遣を行っている (注18) 。しかし、同国西部のダルフール地域では依然として人道状況が懸念され、アフリカ連合(AU)は停戦監視団派遣や和平交渉の仲介など問題解決に努めている。日本はAUの活動を支援するため、3月に207万ドル、10月に約280万ドルを拠出した。

 リビアは、2003年12月の大量破壊兵器廃棄の決定以降、国際社会への復帰に取り組んでいる。2005年4月にはカダフィ指導者の子息であるセイフ・アルイスラム・カダフィ国際慈善基金総裁が訪日した。

 かつての地中海文明圏の1つであって、アラブ・アフリカ・地中海の3つの顔を持っているマグレブ諸国については、11月にモロッコからモハメッド6世国王陛下がモロッコ国王として初の国賓訪日を行った。また2006年1月には河野衆議院議長がチュニジアを公式訪問し、同国で開催された「第4回イスラム世界との文明間対話セミナー」開会式においてスピーチを行った。



▲モロッコ国王訪日時、二国間文書に署名する金田外務副大臣(手前右)(11月29日、東京・元赤坂の迎賓館 写真提供:内閣広報室)



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