第2章 地域別に見た外交


(2)日本の取組

 日本は以前から、イスラエル、アラブ双方から信頼される立場をいかし、イスラエル、パレスチナの共存共栄と域内協力の促進に向けて、(1)両当事者への政治的働きかけ、(2)対パレスチナ支援、(3)相互の信頼醸成促進、に取り組んでいる。

 政治面では、1月に町村外務大臣がイスラエル及びパレスチナ自治区を訪問し、両当事者間の対話の橋渡し、和平促進の働きかけを行った。また、4月にはオルマート・イスラエル副首相が、5月にはアッバース・パレスチナ自治政府大統領がそれぞれ訪日した。さらに、有馬龍夫中東和平担当特使は随時、イスラエル・パレスチナ双方に働きかけを行うとともに、関係国に対しても和平推進に向けた建設的協力関係を築く努力を行っている。4月にジャカルタで開催されたアジア・アフリカ首脳会議の採択文書の中には、日本の働きかけもあり、「ロードマップ」への支持が盛り込まれた。

 日本はパレスチナ国家の樹立に向けた和平の取組を後押しするため、(1)民生支援のための人道支援、(2)将来の独立国家運営のための改革支援、(3)当事者間の信頼醸成、を柱として、1993年以降、8億3,000万ドル以上の対パレスチナ支援を実施している。2005年には、アッバース大統領選出を受けて、町村外務大臣の現地訪問の際に6,000万ドルの支援を表明した。5月のアッバース大統領訪日時には、小泉総理大臣が当面総額1億ドル程度の新たな支援を表明するとともに、経済自立化に向けた支援も行う考えを伝えた。うち約5,000万ドルについてはガザ地区からのイスラエル撤退に伴う緊急支援により実施した。

 信頼醸成に関しては、青少年の交流等の取組にも協力している。さらに、ゴラン高原に展開する国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)への要員派遣を継続している(第3章第1節5.紛争への包括的取組参照)



▼対パレスチナ支援




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