第2章 地域別に見た外交


(3)地域経済統合の進展

 米州では、地域経済統合が活発であり、北米自由貿易協定(NAFTA)、メルコスール、アンデス共同体、中米統合機構(SICA)、カリブ共同体(カリコム)などの多国間の地域経済統合体に加え、数多くの二国間、地域間のFTAが締結され、FTAをはじめとする経済連携の強化を通じて経済発展や国内の構造改革を促す戦略がとられてきた。

 11月、アルゼンチンのマールデルプラタに米州34か国(キューバを除く)の首脳レベルが集まり、第4回米州首脳会議(米州サミット)が開催され、米州地域内の経済社会問題や米州自由貿易地域(FTAA) (注3) 交渉再開について議論された。しかし、FTAA交渉再開については、FTAA推進を主張する29か国に対し、交渉再開に慎重なメルコスール4か国及びFTAAそのものに反対するベネズエラの意見が対立し、結局、首脳宣言(マールデルプラタ宣言)では両論が併記されることとなった。このようにFTAA交渉が停滞する一方で、米国は、米州域内の貿易自由化を促進するため中南米諸国との間で二国間や複数国間のFTA交渉を積極的に進めており、12月にペルー、2006年2月にコロンビアとの交渉が妥結している。

 また、中南米地域では、貿易面のみならず、インフラや制度上の統合も進められている。インフラ統合を進める地域的な計画として、メキシコ南部及び中米地域のプエブラ・パナマ計画(PPP) (注4) と南米地域の南米インフラ統合計画(IIRSA) (注5) があり、前者については具体的なプロジェクトにつき活発な動きが見られる。



▼中南米諸国の主な地域経済統合とFTA関係図


▼中南米における地域経済統合・FTA締結状況 国別一覧(2005年12月31日現在)


 COLUMN

サッカーを通じて世界へ

 日本代表は、皆さんの協力、応援のおかげで、2006FIFAワールドカップ・ドイツ大会の出場を決めました。各地で予選が行われ、現地まで駆けつけてくださった皆さん、また日本から応援してくださった皆さんに、感謝したいと思います。

 私は、サッカーという仕事を通じて、世界各国に行きました。ブラジルでプロキャリアをスタートしたのですが、イタリアでもプロ選手として、日本では選手、今は日本代表の監督として働いています。

 異文化の中で仕事を進める上で、私は常に「郷に入っては、郷に従え」ということを一番に考えて仕事を進めてきました。

 もちろん自分の持てる才能、チャンスすべてを全力で出しますが、それがやり方の押し付けであってはいけません。

 教育、制度、生活習慣すべてが違うところで仕事をするのですから、どんなに優秀であったとしても、相手に対して統制、強制することでは、互いの進歩はあり得ません。文化の違い、言葉の壁を乗り越えるために、常に相手に敬意を払いながら進めるのです。

 2008年は日伯交流年ということですが、私は1998年から日伯友好カップとして、15歳以下の日本のサッカー少年をブラジルに招待しています。日本の子供たちがスポーツを通じて、ブラジルを経験するということは、彼らの人生においても非常に大きな意味があると思いますし、またブラジルの子供たちにとっても非常に大きな経験となっていると思います。

 Jリーグ立ち上げから日本サッカーにかかわってきました。多くの親切をいただいた日本のために私は、ドイツ本大会で持てるものを全力で出していきたいと思います。本大会でも応援よろしくお願いします。

執筆:ジーコ サッカー日本代表監督



(C)J. LEAGUE PHOTOS




<< 前の項目に戻る 次の項目に進む >>