第2章 地域別に見た外交


第4節 欧 州

【総  論】

 2005年は、欧州が困難に直面する年となった。欧州憲法条約は、フランス、オランダの国民投票で批准が否決され、25か国となったEUの予算の大枠を定める次期「中期財政見通し」は、6月の欧州理事会で合意に至らず、EU統合プロセスの停滞が懸念された。しかし、10月にトルコ、クロアチアのEU加盟交渉の開始が決定され、12月にマケドニア旧ユーゴスラビア共和国にEU加盟候補国の地位が付与され、拡大のプロセスは継続することとなり、中期財政見通しについても12月の欧州理事会で合意に達した。

 統合と拡大を背景に、国際社会における影響力を一層増しているEUは、自由、民主主義、法の支配及び人権という基本的価値を共有し、共通の国際的課題に対処する日本にとって重要なパートナーである。日本は、EUとの対話と協力を一層進め、更に強固な関係を構築していく。



▲日・EU市民交流年オープニング・レセプションにてスピーチをする小野寺外務大臣政務官(1月19日、ベルギーEU本部)


  日欧関係を更に強固なものとし、日本外交の幅を広げていくためには、EUとの関係のみならず、欧州各国との二国間関係の強化が必要である。国連安全保障理事会の常任理事国である英国やフランス、これらに加えてG8のメンバーであるドイツやイタリアといった欧州主要国との関係の強化はもちろん、経済的重要性を増している中・東欧諸国や、以前から友好関係にあり、国際社会において協力関係の進んでいる西欧諸国とも、政治・経済の両面において緊密な関係を構築し、人的・文化的交流を深めていくことが重要である。

 2005年は人的・文化的交流を一層進めるために「日・EU市民交流年」を実施し、政治、経済、教育、科学技術、文化、スポーツ等の幅広い分野で1,900件を超えるイベントが行われた。




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