(2)経済情勢
国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)によれば、2005年の中南米地域のGDP成長率は4.3%で3年連続プラス成長、一人当たりのGDPは2.8%の伸びと見込まれ、投資も平均12%強増加した。ECLACは、域内諸国の盛んな国内需要と良好な世界経済情勢が成長に寄与したと見ている。このように良好なマクロ経済指標が出てきている反面、貧富の格差や高い失業率という問題は依然深刻であり(改善されているとは言え、2005年の貧困率は40.6%、失業率は9.3%)、11月に開催された第4回米州首脳会議でも、「貧困撲滅」が最も重要なテーマの一つであった。
中南米地域内でも経済情勢は国ごとに異なっており、天然資源が豊富で食糧供給能力の高い南米南部地域諸国とアンデス共同体諸国の成長率が最も高く、国別に見ると、ベネズエラ(9%)、アルゼンチン(8.6%)、ウルグアイ(6%)、チリ(6%)、ペルー(6%)等となっている。経常収支についても、天然資源の価格高騰の恩恵を受けた南米地域は、対GDP比3%の黒字が見込まれているのに対し、天然資源の少ない中米地域 (注1) は5%、カリブ地域(純原油輸出国のトリニダード・トバゴを除く)は10%(過去3年)の対GDP比赤字が見込まれており、メキシコも1.2%の赤字となる見通しである。投資の伸びもメキシコは6%、中米地域は2%と域内平均を下回っている (注2) 。 |