第2章 地域別に見た外交 |
(4)APEC
経済の発展段階、社会体制等が多様なアジア太平洋地域の21か国・地域で構成されるアジア太平洋経済協力(APEC)は、域内の持続可能な発展を実現するため、貿易・投資の自由化、貿易・投資の円滑化、経済・技術協力を3つの柱として活動し、「開かれた地域協力」と「協調的・自主的な行動」を基本原則として、アジア太平洋地域における共同体意識の醸成、一体性の確保に貢献してきた。 日本経済の長期的発展・安定を確保する上で、日本の貿易量及び直接投資の約7割を占めるAPEC域内での経済協力を深め、APECメンバーとの信頼関係を強化していくことは極めて重要である。毎年開催されているAPEC首脳・閣僚会議は、経済問題にとどまらず、テロ対策・不拡散問題を中心とする安全保障問題をはじめ、国際社会の主要な関心事項について率直に意見交換する有意義な場となってきている。 2005年は韓国が議長を務め、各種の会合が韓国で開催された。11月に釜山で開かれた第13回首脳会議では、WTO交渉に政治的推進力を与えるために、ドーハ開発アジェンダ(DDA)交渉に関するAPEC首脳声明が出された。鳥インフルエンザ対策では、早期対応策等の国際協力の必要性に各首脳の意見が一致し、「インフルエンザ流行への備え及び影響の軽減に関するAPECイニシアティブ」が出された。日本は「新型インフルエンザ行動計画」(11月14日策定)を紹介し、必要な国際協力を行うと言及した。 同じく11月に釜山で開催された第17回閣僚会議では、1994年に採択されたボゴール目標 (注57) の達成に向けたこれまでの進展状況を評価し、今後の道程を示す中間評価報告書 (注58) が承認された。このほか、APECの節目の年である2010年に、日本がAPECを主催することが決定された。 |
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