(3)スリランカ
2004年12月に発生したスマトラ沖大地震及びインド洋津波はスリランカに甚大な被害をもたらした。これを契機に、スリランカ政府とタミル・イーラム解放の虎(LTTE)は復旧活動で協力関係構築の動きを見せ、6月には、国際社会からの支援を公平に分配するための共同メカニズム設置で合意した。これにより停滞していた和平プロセスの再活性化が期待されたが、7月の最高裁判所による共同メカニズム実施の差止め決定 (注52) 等によって、合意は実施に至らず、8月にはカディルガマール外相暗殺事件が起き、スリランカ和平は深刻な状況に陥った。
内政面では、11月にクマーラトゥンガ大統領の任期満了を受けて大統領選挙が行われ、事実上、ラージャパクサ首相とウィクラマシンハ野党総裁の一騎打ちとなったが、僅差でラージャパクサ首相が勝利し、第5代大統領に就任した。ラージャパクサ大統領は、和平を最優先課題の一つとして、停滞した和平プロセスの前進を明らかにしている。
日本は、「平和の定着」への貢献という観点から、第6回和平交渉(2003年3月)や「スリランカ復興開発に関する東京会議」(同年6月)の開催を通じて、スリランカの和平プロセスを積極的に後押ししてきた。2005年、明石康政府代表は、2月、5月、12月にスリランカを訪問し、1月、9月、12月には東京会議4共同議長国会合に出席するなど、引き続き和平実現に向けた粘り強い活動を行っている。 |