第2章 地域別に見た外交 |
(4)バングラデシュ、ネパール、ブータン
バングラデシュでは、1月のキブリア前蔵相殺害事件、8月の国内約400か所における同時多発爆弾事件、10月の東部3県同時多発爆弾事件等のテロ事件が頻発した。こうした事件の背景としてイスラム過激派の伸張の可能性も示唆されており、バングラデシュ政府は治安改善を優先課題の一つとして取り組んでいる。 7月11日から15日には、ジア首相が来日した。首脳会談では、両国の関係を一層緊密化することで合意し、両国の関係強化、バングラデシュの開発、多国間・地域レベルでの協力に向けた具体策を示す「共同プレス発表」が出された。また、両首脳の立会いの下、「日・バングラデシュ文化交流計画」が署名された。 ネパールでは、2月1日、ギャネンドラ国王がデウバ首相を突如解任し、自ら政権を掌握するとともに、緊急事態令を出して、憲法上の自由・権利の一部を制限し、政党関係者等を拘束した。10月にネパール政府は、地方選挙(2006年1月26日公示、同年2月8日投票)及び下院選挙(2007年4月中旬まで)の実施を発表したが、政党とマオイスト(ネパール共産党毛沢東派)の間に連携の動きが見られ、両者は国民に選挙のボイコットを呼びかけている。日本は、ネパール政府に対し、民主主義の回復を働きかけるとともに、マオイストとの対話による和平達成を求めている。 ブータンについては、6月に現職政府要人として初めて河井克行外務大臣政務官が同国を訪問した。また、10月にはワンチュク国王が提唱する国民総幸福量(GNH:Gross National Happiness)に関するシンポジウムを東京で開催した。2006年は、日本・ブータン国交樹立20周年に当たり、両国の更なる友好関係の発展が期待される。 |
|