第2章 地域別に見た外交


(1)ASEAN情勢全般

 ASEANは、2020年までのASEAN共同体形成を最大の目標として、様々な地域統合の努力を展開している (注47) 。開発格差を是正しASEAN統合を促進するための新たな財源とするため、7月に「ASEAN開発基金」を新設したほか、12月12日にマレーシアのクアラルンプールで開催された第11回ASEAN首脳会議で、ASEAN共同体の基本文書となる「ASEAN憲章」の創設に関する共同宣言が採択された。

 2005年は、初のEASがマレーシアで開催されるなど、将来の東アジア共同体を視野に入れた地域協力が一層進展した。地域協力を調整し推進する上で、ASEANは「運転手」として主導的役割を果たした。11月17日には、釜山で開催された第13回APEC首脳会議の機会をとらえ、初の米国・ASEAN首脳会議も開催され、幅広い分野での協力を推進する「強化されたパートナーシップ」立ち上げが合意された。そのほか、ロシアと初の首脳会議開催、韓国との間で包括的経済連携基本協定の合意、さらにオーストラリアとニュージーランドの東南アジア友好協力条約(TAC)加盟 (注48) 等、個々の域外国との関係も強化された。このようなASEANを中心としたアジア太平洋地域の国際関係の進展により、ASEANは地域協力の「ハブ」としての役割を強めてきている。


▼世界の各地域経済共同体等の域内及び対外貿易シェア及び総額(2004年)




▼ASEANの対各国・地域貿易額推移




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