(2)日・ASEAN関係
日本は、ASEANにとって最も長い歴史を有するパートナーであり、2005年も活発な要人往来等を通じて日本とASEAN諸国の関係が強化された。同時に、前述のような東アジア地域の歴史的変化の中で、日・ASEAN関係は、二国間の文脈を越えて、東アジア全体の安定と繁栄にとって不可欠な役割を果たす「戦略的パートナーシップ」となってきている。12月13日にクアラルンプールで開催された第9回日・ASEAN首脳会議では、鳥インフルエンザ等の新興・再興感染症、国際テロとの闘い、エネルギー問題、大規模津波等の自然災害、国境を越えた犯罪等、東アジア地域全体の新しい課題に対して日本とASEANが共同で対処し、一層の安定と繁栄を目指していく関係を構築していることが確認された。会議に出席した小泉総理大臣は、ASEAN統合支援のため、前述のASEAN開発基金に日本が75億円拠出することを表明した。これは、同基金の設置以降、ASEAN域外国から明確に表明された最初の支援であり、日本が引き続きASEANを極めて重視している姿勢を鮮明に印象付けるものとなった。
貿易、投資、経済協力の面でも、日本はASEANにとって現在も最大の域外貿易相手国、投資国、ODA供与国であり、日本にとってもASEANは最も重要な貿易・投資パートナーの一つとなっている。12月に、マレーシアとの経済連携協定(EPA)に署名し、タイとのEPAは2006年2月に条文を基本的に確定するに至ったほか、ベトナム及びブルネイとEPA交渉に向けた作業を開始することになった。さらに、日本とASEAN全体の更なる経済発展を目指し、交渉開始から2年以内の可能な限り早期に日・ASEAN包括的経済連携協定の交渉を終えるよう努力することが首脳間で確認されている。
2003年12月に東京で開催された日・ASEAN特別首脳会議において採択された「東京宣言」と、約120にも及ぶ具体的な措置を定めた「行動計画」は、引き続き日・ASEAN協力促進の重要な基礎となっている。2005年12月の日・ASEAN首脳会議でもその点が再確認された。同時に、同じく日・ASEAN首脳会議で採択された「日・ASEAN行動計画進捗報告書」においては、人材育成やメコン地域開発協力等での着実な進展が評価されている。 |