第2章 地域別に見た外交


(2)台  湾

 3月に中国の全人代が台湾独立への反対及び牽制を目的とする「反国家分裂法」を可決したのに対し、台湾は、台湾に対する武力行使を合法化するものとして強い反発を示した。その後、相次いで訪中した国民党や親民党の指導者と胡錦濤国家主席が会見するなど、中国は台湾野党との交流に積極的な姿勢を示したが、与党・民進党や台湾当局との間では関係改善の動きは見られなかった。2006年2月には、台湾当局が「国家統一委員会 (注43) の運用停止」と「国家統一綱領 (注44) の適用停止」を発表し、これに対し日本は、平和的解決のための当事者間の対話が早期に再開されることを強く希望し、いずれかの側によるいかなる一方的な現状の変更の試みも支持できないとの立場を表明した。

 台湾内では6月、立法委員 (注45) 定数の半減、小選挙区2票制、憲法修正時の公民投票実施等を主な内容とする憲法修正案が成立した。12月に統一地方選挙が実施され、国民党が7月に就任した馬英九主席の下、大きく躍進した。経済面では、2005年の年間成長率が4.09%、2006年1月の失業率が3.80%だった。

 日本との関係については、1972年の日中共同声明に従い、非政府間の実務関係として維持されている。日本にとって台湾は緊密な経済関係を有する重要な地域であり、台湾は米国、中国、韓国に次ぐ第4位の貿易相手先となっている。人的往来の面では、「愛・地球博」期間中に行われた台湾居住者に対する短期滞在査証免除がその後も継続することとなり、2005年の台湾から日本への訪問者数は約130万人程度となる見込みである。また、日本から台湾への訪問者数は約112万人となった。




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