第2章 地域別に見た外交


(7)南北朝鮮関係

 韓国の盧武鉉政権は、対北朝鮮政策として、「平和・繁栄政策」 (注9) を標榜している。

 2005年は、5月の次官級会談、「6・15統一大祝典」の際に行われた鄭東泳統一部長官と金正日国防委員長との会談以降、2004年の後半から途絶えていた閣僚級会談が6月、9月、12月の3度にわたり行われ、経済協力推進委員会が7月と10月の2度開催されるなど、南北間の交流や協力事業は活発に進められた。

 南北双方は、「開城工業団地」、「京義線及び東海線の鉄道・道路連結」、「金剛山観光事業」の三大協力事業を推進している。「開城工業団地」については、2004年末以来、韓国企業の生産活動が行われており、2005年10月には、南北経済協力協議事務所が開所された。「金剛山観光事業」については、1998年の開始以来、2005年6月に観光客数が累計で100万人を記録した。8月と11月には、金剛山で離散家族再会事業も行われた。離散家族再会事業は、8月に初めて南北間の光ファイバーケーブルによる画像再会も行われ、11月と12月及び2006年2月にも画像再会事業が実施された。「京義線及び東海線の鉄道・道路連結」については、南北間の連結工事はほぼ終了しているものの、往来の安全の全般的保障がなされていない状態である。

 韓国政府による対北朝鮮支援については、5月の次官級会談で20万トンの肥料支援に合意し、6月の閣僚級会談を受けて15万トンの追加肥料支援を決定したほか、7月の経済協力推進委員会で米50万トンの提供に合意し、2006年2月、韓国政府は15万トンの肥料支援を決定した。また、6月の鄭東泳統一部長官と金正日国防委員長との会談の際、韓国側は、北朝鮮が核廃棄に合意すれば、韓国が独自に200万kWの電力を直接送る方式で提供することを内容とする「重大な提案」を北朝鮮側に提示し、この考え方は、第4回六者会合の共同声明にも反映された。




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