第1章 概 観 |
(国際経済と経済面での国際的取組) 世界経済は引き続き堅調に成長しているが、世界的な不均衡及び石油価格の高騰という課題が存在している。G8グレンイーグルズ・サミットでは、構造改革、エネルギー効率の向上、石油市場の透明性の向上等に取り組むことで合意した。また、韓国の釜山で開催された第13回APEC首脳会議では、ボゴール目標 (参照) について中間評価が行われ、その中で各国の構造改革や知的財産権の保護、投資環境整備等の国内措置への取組強化が確認された。また、2010年に日本がAPECを開催することが支持された。 多角的貿易体制の強化は世界経済の繁栄をもたらし、日本に大きく裨益する。日本は、APEC首脳会議の際に、WTO交渉の推進に向けた力強いメッセージが独立文書の形で出されることに貢献するとともに、香港閣僚会議において、WTOのドーハ・ラウンドを通じて途上国の開発を進め、それによって自由貿易体制から更なる利益を得られるようにするため、包括的な「開発イニシアティブ」を策定した。香港閣僚会議では、2006年を目標としている最終合意に向けた土台となる「香港閣僚宣言」を採択し、2006年中のラウンド交渉妥結を目指すこと、及びそれに向けた工程表に合意するとともに、後発開発途上国(LDC)への無税無枠の市場アクセスの大幅改善や2013年までに農業輸出補助金を撤廃することなどで合意した。 また日本は、WTOを補完するものとして、EPA締結交渉も進めている。2005年は、メキシコとのEPAが発効し、マレーシアとの間で協定に署名したほか、タイとの交渉にも進展が見られ、2006年春には署名の準備がほぼ整った。 |
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