第1章 概 観 |
(新たな脅威に対する取組) マニラ等フィリピン各地での連続爆弾テロ事件(2月)、ロンドンでの連続爆弾テロ事件(7月)、インドネシア・バリ島での同時爆弾テロ事件(10月)、ヨルダン・アンマンでの同時爆弾テロ事件(11月)等、世界各地で多くのテロ事件が発生しており、国際テロの脅威は依然として深刻である。日本は、インド洋に派遣されている自衛隊の派遣期間を延長し、核テロリズム防止条約に署名したほか、開発途上国のテロ対処能力向上支援に取り組むなど、「テロとの闘い」を続けている。 気候変動問題に関しては、先進国等に温室効果ガスの排出削減を義務付ける京都議定書が発効した。京都議定書には米国が参加しておらず、また開発途上国は議定書上の温室効果ガス削減義務を負っていないことから、今後の気候変動対策において、日本は、世界全体での温室効果ガスの排出量が増加する中、主要排出国による削減努力を促すとともに、すべての国がその能力に応じ排出削減に取り組むことを可能とする実効ある国際的枠組みの構築に向け、各国に対して働きかけた。 また、気候変動問題は、G8グレンイーグルズ・サミットでも主要議題としてとりあげられ、省エネやクリーン・エネルギーの活用等について具体的な行動をとっていくこととなった。 鳥インフルエンザ(H5N1型)は、2003年以降、東南アジアで人間への感染が拡大し、76名の死亡例が世界保健機関(WHO)に報告されている(2005年末現在)。ヒトからヒトに感染する新型インフルエンザは、鳥インフルエンザの流行地域で発生する可能性が特に高いとされており、各国・国際機関が国際会議開催等の取組を行っている。12月、小泉総理大臣は、鳥及び新型インフルエンザ問題に対する支援策として、2006年3月までにアジア諸国を中心に1.35億ドルの協力を実施すると発表した。また、日本は2006年1月、「新型インフルエンザ早期対応に関する東京会議」をWHOと共催し、アジア各国、主要ドナー国、国際機関の専門家の間で、新型インフルエンザ発生時の早期封じ込めに焦点を絞った議論が行われた。さらに同月、北京で開かれた国際プレッジング会合で、日本は2,000万ドルの追加支援を発表した。そのほか、2005年11月に策定された政府の「新型インフルエンザ対策行動計画」を踏まえ、在外邦人向けの対策に尽力してきている。 6月、小泉総理大臣は、G8九州・沖縄サミットが契機となって設立された世界エイズ・結核・マラリア対策基金に、これまでの約3.5億ドルに加えて、当面5億ドルの追加拠出を行うと発表した。さらに小泉総理大臣は「保健と開発に関するイニシアティブ」に基づき、今後5年間で総額50億ドルをめどとする協力を表明した。 |
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