第4章 国際社会で活躍する日本人と外交の役割



知的財産権保護
 近年、模倣品、海賊版がアジア地域を中心に広く流通し、その被害は拡大している。日本製品についてもその例外ではなく、日本企業は、海外市場における潜在的な利益の喪失も含め、深刻な悪影響を受けている。このため、知的財産権の侵害が発生している各国に対し、外交の場を通じて知的財産権の保護強化を申し入れてきている。
 外務省は、内閣総理大臣を本部長とする知的財産戦略本部において2004年5月に改訂された「知的財産推進計画2004」に沿って、模倣品、海賊版の対策に関する施策を推進しており、侵害発生国での対策強化、及び、二国間、多国間での取組等を積極的に行っている。
 具体的には、侵害発生国への対策の強化として、日本企業の個別の被害に関する相談に対応するため、全在外公館に「知的財産担当官」(注5)を任命するとともに、「知的財産権侵害対応マニュアル」を作成し、全在外公館に配布した。外務省としては、引き続き在外公館による日本企業に対する支援体制を強化している。
 二国間、多国間での取組としては、2004年6月の日・EU定期首脳協議で合意された「アジアにおける知的財産権の執行に関する日・EU共同イニシアティブ」に基づき、10月、北京においてデザイン保護及び不公正取引に関する日・EU・中国共同セミナーを開催し、中国における模倣品・海賊版問題について認識を共有するとともに、今後更なる対策が必要である点につき合意した。また、「成長のための日米経済パートーナーシップ」に基づき、12月に行われた「日米規制改革イニシアティブ・情報技術作業部会」において、海賊版対策をはじめとする知的財産権侵害対策についての日米協力の重要性を確認し、今後、具体的な取組を強化していくことで両国の認識が一致した。



テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む