【投資協定、租税条約、社会保障協定の締結等の法的、制度的な基盤の整備】
日本の投資家や投資財産を十分に保護し、より自由に投資活動が展開できる環境を整備することは、日本経済にとってますます重要となってきている。二国間での投資協定については、これまで13か国と協定を締結してきているが、中でも韓国及びベトナムとは投資保護に加え、投資の自由化を保障した先駆的な投資協定を締結している。また、近年、日本が進めている各国との経済連携交渉においては、投資の自由化を積極的に実現するとの考えに立って交渉しており、昨年9月に署名された日・メキシコ経済連携協定においても両国の投資促進に配慮した形で合意されている。このほか、現在、日中韓三国間においても三国間の投資について韓国との間で実現したような先駆的な内容を備えた法的な枠組みを整備すべく検討を行っている。また、多国間での投資ルールの整備等の取組についていえば、世界貿易機関(WTO)の今次ラウンド交渉では、貿易と投資についての交渉が行われないこととなったことは残念であるが、引き続きアジア太平洋経済協力(APEC)の投資専門家会合をはじめとした各種枠組みの議論に積極的に参画してきている。
租税条約は、税金の二重課税等の問題を解消することを目的とするもので、2004年3月30日、米国との間で、およそ30年ぶりのほぼ全面改正となる日米新租税条約が発効した(源泉徴収課税については7月1日から、それ以外の税については2005年1月1日から適用開始)。これにより、相手国に設置された子会社から本国の親会社への配当、利子、特許使用料についての税が減免され、二重課税が防止されることになる。また、欧州諸国とは、2004年6月にオランダと、同年11月に英国とそれぞれ租税条約の改正交渉を開始した。
また、社会保障協定は、社会保険料の二重負担や掛け捨ての問題を解消すること等を目的とするもので、海外に進出する日本の企業や国民の負担を軽減し、ひいては相手国との人的交流や経済交流をいっそう促進するものと考えられる。2004年には、米国、韓国との間で署名された社会保障協定が6月に国会で承認されたほか、フランス、ベルギーとの間で協定案文の実質合意に達した。