第3章 分野別に見た外交 |
【各論】
科学技術の二国間協力推進のため、日本は、各国と科学技術協力協定を締結しており、協定に基づく定期的な政府間会合等を通じて、科学技術政策及び諸課題に関する意見交換や、具体的な共同研究案件についての協議を行っている。2004年には、英国、南アフリカ、ハンガリー、ノルウェー、フィンランド、オーストラリアとの間でこうした会合を行った。また、新たにスイスとの間で協定締結交渉を開始することに合意し、一層の協力促進を図ることとなった。
大規模な国際科学プロジェクトの推進例としては、資源エネルギー、宇宙、地球観測、生命科学、軍縮・不拡散の分野における日本の積極的な取組が挙げられる。
資源エネルギーの分野では、人類の恒久的なエネルギー源の一つとして期待される核融合エネルギーの実現可能性を実証するための国際共同プロジェクトである国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進している。日本は、国際的枠組みの下でのITER計画の実施及びITERの青森県六ヶ所村への誘致を目指し、積極的に政府間協議に臨んでいる。
宇宙分野において、日本は、宇宙空間という特殊環境の中で様々な実験を行う研究所を建設する国際宇宙ステーション(ISS)計画に各国と共同で参加している。ISS計画の中では、日本初の有人実験施設(愛称「きぼう」)が2007年度に打上げられる予定である。また、日本では、ISSへの物資輸送手段の一つである、宇宙ステーション補給機の開発に取り組んでいる。
地球観測の分野では、全地球規模での観測の必要性が高まる中、日本は各国と協力し、世界的規模で展開するアルゴ計画(高度海洋監視システム)(注30)、深海掘削計画(IODP)(注31)等を中心的に推進している。また、2004年4月には地球観測サミットを主催し、作業部会においても共同議長国として地球観測システム構築のための実施計画の策定を主導している。
生命科学の分野においては、クローン技術の進展によりクローン人間の作成が行われる可能性が現実のものとなっている。クローン人間作成は人間の尊厳に反する行為であるため、これを国際的に禁止していくべきというのが日本を含む国際社会の認識である。このため、日本は、2001年から国連総会で行われているクローン人間作成を禁止するための国際規範の策定に向けた審議に積極的に参加している。
不拡散分野では、ソ連の崩壊に伴う大量破壊兵器関連技術の拡散を防止するため、日本は、米、露、EUと共同で国際科学技術センター(ISTC)を1994年に設立し、旧ソ連諸国で大量破壊兵器の研究開発に従事していた研究者・技術者の民生転換を支援している。
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