(注1) 地域でのみ通じるルールではなく、WTO協定のように、世界標準で合意されているルール。本書では、WTOをグローバル・ルール、EPAをリージョナル・ルールとして、対比している。
(注2) 7月枠組み合意の内容
・農業と非農産品市場アクセス交渉における大枠の合意の決定。通関手続きの改善等を行う貿易円滑化の交渉立ち上げ。
・途上国の開発問題が交渉の中心的な課題であることを受けて、途上国への配慮に多くの言及があった。
(注3) 当初、ラウンド交渉の期限は2005年1月とされていたが、この期限は当面延長されることとなった。
(注4) 例えば、7月枠組み合意により先進国が途上国の輸出を阻害しているとの批判を招いていた輸出補助金をすべて期限付きで撤廃することとなった。
(注5) 原則として全ての加盟国の全ての品目に対し適用される関税の引き下げ方式。一般的に数式の形が取られる。
(注6) ある特定品目分野に対して採られる関税引き下げ方式。特定分野の関税を無税にする関税撤廃や、一定の水準にそろえるハーモナイゼーションなどの方法がある。
(注7) オファーとは各加盟国がどのサービス分野においてどの程度の自由化を行う用意があるのか、各加盟国の判断により他の加盟国に対して提示するもの。ウルグアイ・ラウンド時の約束を改善する形で提示される。
(注8) TRIPS協定という表現は、協定の名称である"Agreement on Trade-Related
Aspects of Intellectual Property Rights"(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の頭文字に由来する。知的所有権の保護の最低の水準を定めることに加えて、権利行使の手続き、紛争解決手続きについても規定している。
(注9) "Dispute Settlement Understanding"の略称で紛争解決に係る規則及び手続きに関する了解のこと。
(注10) バード修正条項とは、ダンピング防止税及び相殺関税により米国が得た税収を、ダンピング又は補助金提訴を支持した国内業者に対して分配することを義務づける米国の国内法(2000年10月成立)。日本他複数加盟国の申立に基づき2003年1月に違反が確定した。
(注11) 日本がリンゴ輸入解禁の条件として課している火傷病に対する検疫措置(米国内のリンゴ果樹園周囲に500メートルの緩衝地帯を設置すること等)。なお、火傷病は、リンゴ、ナシ等の果樹やサンザシ等の花木類に伝染する病害で日本国内では未発生のもの。2004年11月に上級委員会は米国の主張を認める報告書を発出した。
(注12) 米国は、中国政府が集積回路の国内生産者のみに対して増値税を還付していることは内国民待遇違反であるとして協定違反を主張。その後、二国間の協議により解決された。
(注13) 日韓間では幅広い経済連携を目指すという点で認識が一致しているが、便宜上、FTAという呼称が用いられている。
(注14) 日・ASEAN間の経済連携強化を目的として設置された、双方の政府関係者からなる委員会。
(注15) 日中韓が世界の対内直接投資に占める割合は、2002年で約9%、2003年で約11%と、世界規模では対内直接投資が減少するなか、堅調な増加を見せた。また、日中韓三国間では、1990年代から専ら中国への投資流入に牽引される形で直接投資の流れが急速かつ集中的に増加した。その背景には、1970年代の対外直接投資は企業が市場の近くに生産拠点を設けるパターンが中心であったのに対し、1980年以降、技術の進歩により生産プロセスの細分化・最適化に伴う生産基地の移転が広く浸透したことがある。こうした流れに乗る形で、低廉な労働力等を有する中国は投資の受入れを近年着実に増やし、今日では、中国の経済成長を支える原動力は対外貿易の50%超のシェアを占める外資系企業であると言っても過言ではない。(即ち、対内直接投資が貿易の拡大に繋がっている。)
(注16) 日中韓三国の貿易の側面から見ると、水平貿易よりも垂直貿易が多く、三国は相互補完関係と言える。また、三国間の投資増大は、個々の企業に対する利益のみならず、投資受入国に技術や経営管理知識の波及をもたらし、三国の持続可能な経済発展を支えている。中国の市場拡大は、海外直接投資やその関連貿易を通して日韓の国内経済ともダイナミックに結びついていると考えられる。なお、経済関係の強化と並行し、三国間の教育、文化、スポーツ等、種々の分野における人的交流も活発化している。(たとえば、2003年に日本を訪問した外国人旅客数521万人のうち、韓国人は146万人、中国人は45万人に上る。)
(注17) G8シーアイランド・サミットにおける発出文書:「議長総括」、「G8貿易声明」、「G8行動計画:企業家能力の貧困削減への適用」、「拡大中東・北アフリカとの前進と共通の未来に向けたパートナーシップ」、「拡大中東・北アフリカとのパートナーシップ-G8改革支援計画」、「不拡散に関するG8行動計画」、「G8安全かつ容易な海外渡航イニシアティブ(SAFTI)」、「スーダンに関するG8宣言」、「G8声明:ガザ撤退及び中東和平に向けた道程」、「G8行動計画:世界的な平和支援活動能力の拡大(PSO)」、「世界HIVワクチン事業を承認し設立するG8の行動」、「腐敗との戦いと透明性の向上」、「ポリオ根絶を支援するG8の約束」、「最貧国の債務持続性」、「『アフリカの角』地域における飢餓の循環の打破、農業生産性の向上、食糧事情が不安定な国々における農村開発の促進」、「持続可能な開発のための科学技術(3R行動計画)」の計16本。
(注18) それぞれ、アフガニスタン、アルジェリア、イエメン、イラク、トルコ、ヨルダン、バーレーンの7か国首脳、アルジェリア、ウガンダ、ガーナ、セネガル、ナイジェリア、南アフリカの6か国首脳が出席。
(注19) 経済協力開発機構(OECD:Organization for Economic Co-operation
and Development):1961年、20か国で発足。日本は1964年に加盟。現在は30か国が加盟。経済成長、貿易、開発、環境、科学技術等幅広い分野について、分析や政策提言及び加盟国間での政策調整を行っている。
(注20) 活動内容は、1)途上国の投資環境改善のための政策枠組みについての研究、2)ODAと民間投資との効率的連携についての研究及び3)途上国自身による投資環境に関する相互審査支援となっている。
(注21) これまでにOECDが蓄積した知見を中東・アフリカ地域に提供することにより、同地域の安定・発展に資することを目的とした活動。2004年より「開発のための投資」及び「パブリック・ガバナンス」に関する協力を推進している。
(注22) 既存のエネルギー安全保障への取組(エネルギー供給途絶への対策、エネルギー利用効率の改善、エネルギー源の多様化推進)の継続的な実施に加えて、高い原油価格がAPEC地域経済に及ぼす影響の分析等の短期的措置、エネルギー投資促進及び技術革新等の長期的措置の強化に言及。
(注23) エネルギーについては、エネルギー効率及び省エネの重要性を認識し、地域全体のエネルギー安全保障強化における日中韓協力を促進すること、その為にエネルギー戦略対話を進め、共に取り組むことに言及。
(注24) 例えば、1999年10月には、日本の商船会社が運行するパナマ船籍のアルミニウム運搬タンカー「アロンドラ・レインボー号」が、マラッカ・シンガポール海峡にて高速ボートに乗った武装集団に強奪された事件も発生した。
(注25) 規制を遵守している正規船及び正規の畜養場のリストを作成することにより、同リストに掲載されていないIUU漁船や規制を遵守しない畜養場からの輸入を認めないとするもの。
(注26) Invest Japanのロゴのもと、政府及び関係機関が一体となった取組を実施。小泉総理大臣自らが出演したテレビCMや新聞広告を米国で流す等、積極的な広報を展開。また関係各省庁に設置された対日直接投資総合案内窓口や、日本貿易振興機構(JETRO)の対日投資ビジネスサポートセンター(ワンストップサービス)を通じ、充実した情報・支援サービスを投資家に提供している。
(注27) 2001年末の対日直接投資残高6.6兆円が2003年末時点で9.6兆円まで伸びた。
(注28) 「日米投資イニシアティブ」は2001年6月の日米首脳会談において設置された「成長のための日米経済パートナーシップ」の下にある6つのイニシアティブ・会議のうちの一つ。また「日・EU双方向投資促進のための協力の枠組み」は2004年6月の日・EU定期首脳協議において発表された文書。
(注29) 日米投資イニシアティブでは教育・医療分野への投資促進、国境を越えたM&A取引環境の整備、労働の流動性等について議論。日・EU双方向投資促進のための協力の枠組みでは、規制当局間の対話と協力、双方における投資環境の整備、投資促進のための交流事業の実施等が表明されている。
(注30) 海面から水深2,000メートルまでの水温・塩分データを観測・通報するフロートを全世界で約3,000個展開する海洋監視システムの構築計画。
(注31) 日本が提供する深海掘削船(深海底7,000メートルまで掘削能力を有する)等を用いた地球深部探査計画。