第5章 海外の日本人・日本企業に対する支援 |
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生体情報による本人認証技術を用いた旅券とは?
生体情報による本人認証技術(バイオメトリクス)とは、人間の身体的特徴(顔、指紋、虹彩等)や行動特性(音声、署名等)を利用して本人を確認する技術です。最近では、制限区域への入退場ばかりでなくマンションの玄関などにも応用されていますが、この技術を旅券に応用しようとする試みが国際的に進んでいます。この旅券の導入により、旅券に装着されたICの中に記録されたバイオメトリクス情報と、実際に旅券を使用する人物から採取した情報とを人間の目ではなく電子機器により照合することで、より確実に本人であることを確認することが可能となります。 近年、偽変造旅券の使用や他人の旅券を使用する「成りすまし」等の旅券犯罪が少なからず発生しており、こうした不正行為や関連する不法移民、組織犯罪などを防止するため、旅券へのバイオメトリクスの応用について国際的に議論、研究がなされてきましたが、2001年の米国同時テロ以降、テロ対策の観点からも早急に導入する必要性が叫ばれるようになりました。特に米国は査証免除の要件として、査証免除対象国にバイオメトリクスを用いた旅券の発行を求めることを法制化し、2004年10月26日から実施することにしています。 一方、バイオメトリクスを用いた旅券の国際的な相互運用性(インターオペラビリティー)を確保するため、国際民間航空機関(ICAO)を中心に国際標準策定作業や技術検討が進められています(日本も参加しています)。これまでのところ、ICAOは必須のバイオメトリクス情報として顔画像を選択(追加的に指紋や虹彩の利用も認めています)し、記憶媒体として非接触IC(*)を利用することを決定しました。 外務省ではこれらの状況を踏まえ、また諸外国の動向を注視しつつ、国際標準に準拠したバイオメトリクスを用いた旅券の2005年度中の導入を目指して取り組んでいるところです。 |
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