第3章 分野別に見た外交 

 地雷問題
 対人地雷問題について、日本は、国際社会において、広く実効的に対人地雷を禁止することを実現するとともに、地雷除去活動と犠牲者の支援を強化していくことを車の両輪とする包括的な取組を推進していく考えである。日本は、1998年から向こう5年間をめどに、100億円程度の支援を行うことを表明しており、2002年10月に100億円の支援を達成した。特に、アフガニスタンにおいては、2002年1月には約20億円、10月には約6億円を地雷除去等の支援のため国連機関等に対して拠出している。さらに、2003年には約7億円を地雷除去関連の開発支援のためにアフガニスタン移行政権に対して拠出したほか、アフガニスタンで地雷除去活動に関わる日本のNGOへの協力を行っている。
 国際社会において、広く実効的に対人地雷を禁止していくことを実現するためには、より多くの国が対人地雷禁止条約(オタワ条約)(注31)を締結することが重要である。日本は、主にアジア太平洋の未締結国に対し、条約締結の働きかけを行っている。また、9月にバンコクにおいて行われた第5回締約国会議には矢野外務副大臣が出席し、日本はカンボジアとともに2003~2004年会期における地雷除去等常設委員会の共同議長に就任することになった。

 

 MANPADS(携帯式地対空ミサイル)とは?


 MANPADSとは、Man-Portable Air Defense System(携帯式地対空ミサイル、または携帯式地対空防衛システム)の略で、米国製スティンガー、旧ソ連製のSA-7等に代表され、一人あるいは数人で運搬・発射が可能な携帯式の地対空ミサイルです。
 MANPADSの射程距離は数キロと短いため、攻撃対象は目視が可能な低空飛行中の航空機やヘリコプターに限られますが、容易に隠匿・操作できるため、特に2001年9月11日の米国同時多発テロ事件以降、テロリストが入手・使用をもくろむ武器として、近年民間航空機の安全な航行に対する多大な脅威となっています。例えば、2002年11月にケニアのモンバサで起きたイスラエル民間機撃墜未遂事件、イラク駐留の米軍機撃墜事件(未遂も含む。)等において、旧ソ連製のMANPADSが使用されているとみられています。
 MANPADSは多くの国で製造されてきましたが、適切な管理が行われないまま世界中に拡散しているため、テロリストが容易にMANPADSを入手できる状態となっています。したがって、テロ対策の一環及び民間航空の安全確保のため、各国においてMANPADSを厳格に管理することが喫緊の課題となってきています。
 2003年の主な国際的努力としては、6月のエビアン・サミットにおける「MANPADS管理強化に関するG8行動計画」の採択、10月のAPEC首脳宣言でのMANPADS管理に関する言及、及び12月のワッセナー・アレンジメント(通常兵器の国際的輸出管理レジーム)総会におけるMANPADS管理強化に関する合意があげられます。日本でもMANPADSの製造は行われていますが、武器輸出三原則等に則り、MANPADS及びその必要不可欠な部品の輸出は行われていません。日本としては、特にアジアにおける不拡散体制強化に取り組んでおり、MANPADSの管理強化についても各国と協力していきたいと考えています。

 

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