第3章 分野別に見た外交 

小型武器
 近年、紛争の解決に向けて、紛争の予防、あるいは紛争終了後の再発の防止への努力が重要視されるようになってきた。国際社会には、過剰なまでの小型武器が存在し、紛争の激化・長期化、被害の拡大、紛争終了後における治安の悪化、紛争の再発等を助長する原因の一つとなっており、国家や社会の復興の大きな障害になっている。こうした問題に取り組むため、国際社会は、小型武器の非合法な取引の防止、国際支援と協力等を盛り込んだ行動計画を策定した。2003年7月には、「行動計画」の実施状況を検討することを目的として国連小型武器中間会合が開催され、日本の猪口軍縮代表部大使が議長を務めた。日本は議長国として、会合及びその準備過程において、加盟国、国連などに広汎に働きかけ、議長総括を添付した報告書を採択した。
 また、小型武器問題への取組として、小型武器回収と開発を組み合わせた「小型武器回収プロジェクト」を関係機関と協力して実施している。既に、カンボジアにおいて、紛争予防・平和構築無償資金協力事業としてカンボジア政府及び地方政府と協力し、「カンボジアにおける平和構築と包括的小型武器対策プログラム」を実施している(4.5億円)。このプログラムは、小型武器回収の対価としての開発、小型武器破壊、小型武器の管理・登録支援、啓蒙活動を柱としており、2003年9月21日には、1,000丁あまりの小型武器を回収し処分した。同様に、コソボでは、国連開発計画(UNDP)と協力して、小型武器回収プロジェクトを促進するための啓蒙活動を実施した。

 
▼国連小型武器中間会合で議長を務める猪口軍縮代表部大使(7月)

▼国連小型武器中間会合で議長を務める猪口軍縮代表部大使(7月)

 

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