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大洋州
【総論】
日本と太平洋を共有して接し合う大洋州地域には、先進2か国(オーストラリア、ニュージーランド)と太平洋島嶼国(パプアニューギニア、フィジー等の12か国・2地域)が含まれる。
オーストラリア、ニュージーランドは、日本に鉱産資源、農産物を供給する重要な貿易相手国であるばかりでなく民主主義、人権、市場経済といった基本的価値観を共有するパートナーであり、特に、こうした価値観が礎となる安定と繁栄を東アジアに築くため、重要な役割を果たすことが期待されている。日本は、これら2か国との幅広い協力を着実に発展させてきた。
太平洋島嶼国は、戦前の委任統治をはじめとした歴史的経緯や人的交流から親日的な国が多く、緊密な関係を反映して、国連等の場においても日本の立場に極めて好意的である。また、広大な排他的経済水域を抱え、日本に水産資源と海上輸送路を提供している。これら島嶼国は国土の小ささや島の点在など様々な課題に直面していることから、日本は、太平洋の隣人として、この困難に対し共に考え共に取り組むとの方針の下、具体的な協力を積み重ねてきた。
特に、2003年は、5月の第3回日・太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議(太平洋・島サミット)の開催や6月のノート・マーシャル大統領、7月のハワード・オーストラリア首相の訪日など活発な外交が行われた。また、8月には矢野外務副大臣がニュージーランドで開かれたPIF域外国対話に出席し、引き続きオーストラリア、バヌアツ、ソロモンを訪問したことに加え、9月~10月には、皇族による初の南太平洋島嶼国公式訪問として、秋篠宮同妃両殿下がフィジー、トンガ、サモアを訪問された。12月にはソポアンガ・ツバル首相が訪日し、小泉総理大臣等と会談を行った。