第2章 地域別に見た外交 

オーストラリア
 日本とオーストラリアは、自由と民主主義、市場経済という理念を共有し、相互補完的な貿易関係を基盤として、良好な二国間関係を築いている。また、両国は安全保障分野で米国との同盟関係にあるという共通の立場を有している。このような関係を踏まえ、アジア太平洋地域における「創造的な」パートナーとして多角的な関係強化を進めている。
 7月には、ハワード首相が日本を訪問し、小泉総理大臣と会談を行い、「日豪貿易経済枠組み」が両首相によって署名された。今後、両国は、同枠組みに基づき一層の関係緊密化に向け、先進国同士に相応しい高い水準の円滑化措置や第三国とのFTAの影響に関する情報交換などを行うとともに、貿易及び投資の自由化についての共同研究を実施する予定である。また、テロ対策に関する具体的協力の推進の土台となる「国際テロリズムとの闘いに関する協力についての日豪共同声明」を発表し、緊密な協力を確認した。さらに、日豪友好基本条約署名30周年となる2006年に、様々な交流を広げていくことが合意された。
 ハワード首相率いる保守連合政権は、対イラク武力行使及びその後の復興支援作戦に積極的かつ成功裡に参加したこと、また、旱魃の影響はあるものの国内経済が引き続きプラス成長(2004年6月末の対前年度比GDP成長率見通しは3.75%)を続けていることもあって、国民の高い支持を維持しており、6月、ハワード首相は引き続き政権を担当する意向を公にした。一方、野党第1党である労働党では、支持率が低迷していたクリーン党首が11月末に辞任を表明、42歳のレイサム氏が党首に選出され、党勢の挽回を図っており、2004年に予定される総選挙の実施時期及び動向が注目される。

 

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