日本政府による規制改革及びその他の措置
I.電気通信
A.競争促進
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電気通信事業の公正競争の一層の促進を図ることを目的とした、市場支配的な電気通信事業者の反競争的行為を防止、除去する非対称規制の整備や電気通信事業紛争処理委員会の設置等を行う電気通信事業法等の一部を改正する法律は、2001年11月30日に施行された。
- これにより、指定された地域固定系ネットワークを有する電気通信事業者以外の事業者の契約約款及び接続協定、共用協定は認可を要せず届出となった。届出事項は、意見招請を経て、総務省の関連省令に規定された。
- また、全ての第一種及び特別第二種事業者は、契約又は約款の届出により、より柔軟に卸電気通信役務を提供できるようになった。届出事項は、意見招請を経て、総務省の関連省令に規定された。
- 更に、総務省は、2002年5月、告示により移動通信分野における市場支配的な電気通信事業者の指定を行った。
- 総務省は、2002年4月に電気通信事業法施行規則等を改正し、第一種事業者に対する業務区域拡大の原則届出化、業務委託に係る認可要件の緩和等を措置した。
- 上記1から3及び5を受けて、総務省は、「電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル」を全面的に改定した。
- 2002年6月4日、情報通信審議会IT競争政策特別部会により、ネットワークのオープン化の推進、消費者行政の充実、新たな競争政策の枠組みの導入等を内容とする最終答申(草案)が公表された。この最終答申(草案)には、インターネット関連サービスについてのOSSの開放、接続料金と利用者料金の関係の検証、第一種・第二種の事業区分の廃止等新たな競争の枠組みの在り方に関する検討が含まれており、現在意見招請が行われている。
- 2001年11月30日の電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行により設置された電気通信事業紛争処理委員会は、2002年5月末現在で、8件の紛争を斡旋手続を通じて解決した。
- 電気通信事業紛争処理委員会は、2002年4月19日、2001年度に委員会が対処した紛争に関する報告を公表した。その報告においては、当事者が同意した範囲内で、委員会の斡旋委員が当事者に提示した斡旋案も公表された。
B.固定接続
- ISM交換機能の接続料について、総務省は、NTT東日本・西日本からの2000年度から2002年度の3年間で段階的に廃止するとの認可申請を、2001年2月に認可した。これにより、2002年4月からISDNと電話の接続料の間の格差が消滅した。
- 長期増分費用モデルにより算定された2000年度から2002年度までのNTT東西の電話・ISDNに係る接続料が2001年2月に総務省によって認可され、2002年4月から、1998年度との比較で、GC接続は22.5%、ZC接続は60.1%の引下げとなっている。
- 総務省は、1997年3月から1999年9月まで開催された長期増分費用モデル研究会の報告書及び2000年2月の電気通信審議会答申「接続料算定の在り方について」において指摘されている見直し事項等につき、2000年9月に長期増分費用モデル研究会を再設置し、長期増分費用モデルの見直しについて検討を開始した。研究会は、2002年2月に行った1ヶ月間の意見招請を経て、2002年3月「長期増分費用モデル研究会」報告書を取りまとめた。
- 総務省は、2002年3月、長期増分費用モデルの見直しを踏まえた接続料算定の在り方について、情報通信審議会に諮問した。現在審議会において、見直したモデルの評価、モデルの適用開始時期及び適用期間、今後の接続料算定の方法等の事項について、検討を行っている。情報通信審議会の答申を受けて、総務省は、適切な料金に関する考え方を考慮しつつ、2000年7月の第3回日米共同現状報告に沿って、接続料を決定する。日本政府は、2002年度の接続料の実施について、2002年10月までに米国政府と意見交換する。
- 110番の緊急通話のための接続に関し、当事者間の協議が調わないときは、当事者は総務省に裁定を申請することができる。
C.移動体接続
- 2001年11月30日に施行された電気通信事業法等の一部を改正する法律において、第二種指定(移動体系)電気通信設備を有する電気通信事業者は、接続約款を総務省に届け出し、公表することが規定された。これに関し、2002年2月、総務省は、告示により第二種指定電気通信設備の指定を行った。第二種指定電気通信設備を設置するNTTドコモが当該電気通信設備との接続に関して作成した接続約款については、電気通信事業法第38条の3の規定が適用される。そのような接続約款が変更されるべきであるという意見のある事業者は、その意見を提出することができる。接続約款が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えるものであると認められる場合には、総務省により変更を命ぜられることがある。
- NTTドコモの接続料は、ここ5年間で大幅に引き下げられてきており、2002年3月に届け出られたNTTドコモの接続料は、前年度と比較して14%程度引き下げられた。
D.線路敷設権
- ガイドラインの改正
総務省は、第一種電気通信事業者による線路敷設の一層の円滑化のため、「公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン」の附則に基づき、意見招請を経て、当該ガイドラインを改正し、2002年4月1日より改正ガイドラインの運用を開始した。
- 有線電気通信設備令の改正
総務省は、既設設備に損傷を与えるおそれがないといった要件を満たせば、新規参入事業者が通信用ケーブルを電柱へ添架できるよう、2001年12月に有線電気通信設備令を改正した。
- 東京電力株式会社に対する第一種電気通信事業の許可
総務省は、2002年2月、東京電力株式会社に対し第一種電気通信事業の許可を行った際に、同社が保有する電柱等は事実上ボトルネック性を有する設備であること等、同社に係る固有の事情にかんがみ、同社が保有する電柱等については、同社本体の電気通信事業部門、同社の関連会社たる電気通信事業者及びその他の電気通信事業者に対し、公平に利用させること等を内容とする許可条件を付した。
- 路上工事規制の見直し
電気通信事業者が行う光ファイバ敷設工事のうち、年度当初に想定し得ず、かつ、緊急性を有すると認められるものについては、国土交通省は、概ね四半期ごとに必要な調整を行い、冬期・年度末においても道路交通に著しい影響を与えない範囲で抑制を緩和する。当該措置は2005年度まで試行される。
- 収容空間等の整備、開放による敷設支援
- 国土交通省は、2002年度中に、道路管理用光ファイバの整備や電線共同溝の整備等による電線地中化等にあわせて約23000kmの収容空間等を整備し、全国ネット化を推進するとともに、これらの開放を順次進める。
- 国土交通省は、構造の更なるコンパクト化・浅層化により、よりスピーディな整備でコスト縮減が期待される次世代型電線共同溝(仮称)の開発に取り組み、モデル施工を2002年度中に実施する。
- 情報提供の充実
民間事業者による光ファイバの橋梁への添架を容易にするため、国土交通省は、直轄国道については2002年度中に、橋梁の新設・架替の情報をホームページで公開する。その他国道及び都道府県道については、国土交通省は、情報公開が可能となるよう地方公共団体に要請した。
- 手続の迅速化等
国土交通省は、直轄国道については、2001年度までに全国で電子申請を可能とするとともに、その他の国道及び都道府県道については、概ね2003年度までに可能となるよう、地方公共団体に要請した。2002年度においては、国土交通省は、地方公共団体の標準システム基本仕様を策定し、地方公共団体に公開する予定である。
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