町村大臣の日米安全保障協議会「(2+2)」出席
(共同記者会見記録)
平成17年2月19日
19日11時40分から12時10分まで、町村外務大臣及び大野防衛庁長官は、ライス国務長官及びラムズフェルド国防長官と共に、国務省において、「2+2」における共同記者会見を行ったところ、概要以下の通り。
1.ライス国務長官
本日、私とラムズフェルド国防長官は、日本の同僚である町村外務大臣と大野防衛庁長官を歓迎する喜びを覚えた。日米安全保障協議を開き、非常に生産的な話し合いを行い、非常に大きな成果を上げることができた。ブッシュ大統領と小泉総理が長い歴史を持つ日米同盟を非常に重視していることの現れであると考える。
日米同盟は、北東アジア及びそれよりも広い地域において安定と平和をもたらしている。日本と米国の地球規模のパートナーシップは、イラクやアフガニスタンにおいて成果を既にあげており、日本はイラク人とアフガニスタン人の民主主義構築及び中東和平において米国を非常に支持をしてくださっている。インド洋において日米は緊密に協力しているし、津波救援で大変な活躍につながった。現在の世界において様々な挑戦があり、これに取り組んでいるが、それだけでなく機会もある。日米同盟はその挑戦に応え、機会をとらえることを可能にするものである。今次会合では、イラク、アフガニスタン、中東和平等の様々な問題について話し合った。アジアについても話し合い、特に中国と協力的な関係を持つこと、及び中台問題は平和的に解決されることを望んでいるという話をした。人権や民主主義といった基本的価値を全世界で振興していきたい、又テロや拡散といった新たな脅威を撲滅したいとの目標を共有している。我々はまた、日米の兵力の相互協力を高め強い抑止力を維持し、基地のある地元の問題に答えていきたいということについて話をした。北朝鮮について町村外務大臣と私は声明を発出した。北朝鮮については日米ともに懸念を抱いている。核計画を廃棄し、関係を改善するためには、六者協議は唯一の手段であり、北朝鮮はこれに復帰することが必要である。
日米同盟は非常に素晴らしいもので、多くの成果をあげてきたが、今までの成功に甘んじてはいない。日々色々と改善すべきことがあり、本日の会合ではそのことについて議論した。新しい21世紀の挑戦に応えていくために色々対応していきたい、新しい機会をもとらえていきたい。
2.町村外務大臣
本日は朝食を共にし、日本安全保障委員会(「2+2」)及びその前に日米外相会談を行った。ライス国務長官がおっしゃった通り、北東アジアの安全保障環境あるいはイラク・アフガニスタン・中東和平問題等幅広く議論を行った。日米が緊密に協力し、世界の中の日米同盟という役割をしっかり果たしていくことで合意をみた。また、ライス長官には、是非早期に訪日頂きたい旨招待申し上げた。前向きに検討いただけるという回答を頂いている。
北朝鮮についてはライス国務長官との間で、そして「2+2」においてもかなり掘り下げた議論を行った。6者会合の早期無条件再開に向け努力し、日本としては「対話と圧力」の基本方針の下、米国やその他の関係国と共に引き続き努力し、特に中国の積極的な役割を期待したいということ、又その際には日米安保体制の重要性を確認した。その旨を含むステートメントはお手元に配布したとおりである。「2+2」においても同様の確認を行った。
「2+2」においては、日米同盟関係が日米両国の安全と繁栄にとって重要であり、そして地域及び世界の平和と繁栄を高める上で極めて重要であることを確認した。内容については、先程ライス長官より紹介があったとおりなので重複は避けるが、自分からは、特に、在日米軍の兵力構成見直しにつき話したい。
この問題については3つの段階があると考えている。第一段階が、共通の戦略目標、第二段階が、自衛隊及び米軍の役割・任務・能力に関する議論、そして第3段階が個別の米軍施設・区域に関する見直しである。本日の会合で、第一段階である共通の戦略目標を日米間で共有していることを確認できたと考えている。
これを踏まえ、今後数ヶ月間、更に第2段階、第3段階の議論を集中的に深め、加速化したいと考えている。その際に、在日米軍の抑止力をしっかり維持するとともに、沖縄を始めとする地元の負担を軽減する観点が重要であることについて一致をみた。また特に負担の軽減という見方のみならず、日米同盟の持っている積極的な役割について更に日本においても今後強調していく必要があると考えている。
3.ラムズフェルド国防長官
常に友好国・同盟国の代表の方とお会いするのは嬉しいことである。日米の安全保障関係は古いものであり、非常に耐久力のあるものである。50年以上に亘り、常に密接な関係を保持し、米国においてもそこから得られる利益を非常に重要なものと考えている。又、アジア太平洋地域の平和と安定のための中枢であり、世界にとっても有益なものである。アフガニスタンにおける移行時期、イラクにおける民主主義構築において日本は非常に大きな援助をしてきている。我々は過去を振り返り、今後この重要な関係を強化し、それを変革する上で有益な話し合いを持つことができた。
4.大野防衛庁長官
ラムズフェルド国防長官より紹介があったとおり、本日は大変良い議論を行うことができたと考える。「2+2」に先立ち行われたラムズフェルド長官との日米防衛首脳会談でのポイントを申し上げる。
(a) |
北朝鮮情勢については、先般の北朝鮮の声明は、地域にとって不安定を呼び起こすものであると同時に、核不拡散体制・大量兵器拡散問題に対する深刻な挑戦であり、地域にとって脅威であるとの認識し、この問題については六者協議を通じて平和的な解決を目指すとの方針を確認した。 |
(b) |
ミサイル防衛については、私より、日本における様々な議論の末、国会へ法案を提出したことと内容につき説明した。基本的に情報の収集・共有・分析等、ミサイル防衛についてあらゆる面において協力を更に深化させていくことで一致した。 |
(c) |
国際的な安全保障環境に関しては、日本において国際的な安全保障環境の改善が大変重要な問題になっている。世界が小さくなってきたことにより、国際的な安全保障環境の改善が日本の平和につながるという認識があり、私より、自衛隊の国際的業務活動の本来任務化の検討に関し説明を行った。これからも国際的な活動において日米間の協力を深めていくことの重要性についてラムズフェルド国防長官にも認識していただき、私よりもその点について強調した。
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続いて行われた「2+2」においては、私より、新防衛大綱について説明を行った。その際のポイントとして、第一にアメリカにおける2001年9・11テロがあり、日本においても脅威が多様化してきている中で、これまでの抑止力から対応力を重視する防衛を考えていかなければならないということ、第2に国際活動の重要性について申し上げた。
在日米軍の兵力構成見直しに関しては、各種事態への新たな対処態勢を構築することにより、抑止力を維持し、沖縄を始めとする国民の負担の軽減していくことが必要であり、これらは日米の相互協力によって実現できるのではないかという意見で一致を見た。
日米の安全保障協力に関する問題については、今回の日米の「2+2」の会合が、これからの新しい時代に、アジア太平洋地域及び世界の安全・平和にとっての方向付けの第一歩になるのではないかという感想を持った。
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