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TICAD II(第2回アフリカ開発会議)準備会合共同議長サマリー
I.序論
第2回アフリカ開発会議(TICAD-II)準備会合
1997年11月10日及び11日
東京
共同議長サマリー報告1.第2回アフリカ開発会議(以下「TICAD-II」)準備会合は、11月10日及び11日、東京にて、片倉邦雄TICAD-II担当大使及びアーメド ウルドアブダラ大使(GCA(アフリカのためのグローバル連合)事務局長)の共同議長のもとに開催された。会合にはアフリカ46ヶ国、アジア9ヶ国、ドナー13ヶ国、国際・地域機関6機関から次官級の参加者を得た。参加者を代表してベナンのテヴォエディレ計画・経済復興・雇用促進大臣、国連を代表してUNDP(国連開発計画)のアウォリ国連事務次長兼アフリカ地域局長が挨拶を行った。
2.準備会合の主要な目的は、(1)TICAD-I以降の進捗をレビューし、(2)「行動計画」の主要テーマを選択し、(3)TICAD-II本会合で検討に付される「行動計画」を策定する「準備委員会」を設置することであった。TICAD-IIは、現在生まれつつあるアフリカの持続的開発のための新たなパートナーシップをさらに促進することを目的とすることが示された。また、TICAD-Iと同様に、TICAD-IIはノン・プレッジング会合ではあるが、行動指向的であることが確認された。
II.TICAD- I以降のレビューと今後の協力のための分野
3.TICAD- I以降のアフリカ開発をレビューするにあたり、参加者はアフリカ諸国が全ての分野、特に経済・政治改革の分野において顕著な進歩を達成しつつあることで意見の一致を見た。しかしながら、社会状況、投資と貯蓄の低水準、生産物と輸出の限られた多様化に関し、なお大きな課題が残されていることが確認された。更に、アジア・アフリカ協力は大きく進展し、アジアはアフリカにおける有力な投資者となっている。ODAの減少にも拘わらず、これらの肯定的な変化に促されて、アフリカに対する国際レベルでの強い、新たな関心が生まれている。
4.TICAD-I以降のアフリカにおける進展を踏まえて、準備会合では、TICAD-II本会合で採択される「行動計画」に含まれるべき主要な要素について議論を行った。社会開発、民間セクター開発、農業と環境、ガバナンス、紛争管理、平和と開発は、アフリカ諸国により既に確認されている優先分野であり、これらの分野で目標設定が行われ、「東京宣言」の中で明確に示されているオーナーシップとパートナーシップの精神に基づいて実施されるために、戦略が策定されなければならないことで意見の一致を見た。右に関連し、準備会合は、1996年5月にDAC/OECDで採択された、オーナーシップとパートナーシップに基づく、新開発戦略について留意した。債務、物理的なインフラストラクチャー、アフリカ経済の多様化、市場アクセスの改善のような重要な問題も、優先分野及び協力の方法に含まれることが推奨された。
5.準備会合は、協力の方法、即ちキャパシティー・ビルディング、域内協力、南々協力及びドナー協調に関して議論を行った。自らの問題を解決し、自国の優先分野を設定し、かつ実施していくための、アフリカ諸国の能力開発が、開発を内発的かつ持続的なものとするために極めて重要であることが合意された。そのためには、人的、制度的及びインフラ面の能力の開発を同時に行うことが必要となるであろう。また、アフリカ、アジア及びドナー諸国を巻き込む三角協力を含む域内及び地域間協力は、アフリカの開発を促進するための重要な協力の方法であり、それを通して開発目標が実現されることが強調された。また、ドナー協調は国際社会により供給される資金の効果的活用を確保する上での鍵となる方法であることが確認された。この点で、参加者は、ドナー協調が受取国側の役割及びオーナーシップに特に重点を置くべきであることを強調した。
III.社会開発
6.アフリカの貧困問題に取組むには、持続可能な高度の経済成長が極めて重要であることが認識されるとともに、開発の基盤としての社会セクター強化の必要性が強調された。議論においては、貧困撲滅、教育、保健、ジェンダー、及び人口を含む優先分野に焦点が当てられた。
7.準備会合は、貧困層の社会的条件を改善し、生計を立てる機会を創出するための資源配分における重要な変化を確保することにより貧困を軽減するために、アフリカ諸国と開発パートナーが行動する必要性を強調した。貧困撲滅計画においては、市民社会、NGO及び民間セクターの関与が重要であることも強調された。生産的資源、特に融資に対する貧困層のアクセスの拡大は、貧困撲滅に対し、多大な貢献をもたらすであろう。
8.教育の分野では、かなりの進展も見られるが、アフリカにおける初等教育の普及という目標達成には未だほど遠いことが留意された。教育が雇用機会と持続可能な生計に結びつけられるべきことが合意された。不利な条件にある人々、特に、女子及び女性に対し基礎教育を普及させるべきことに特別な注意が喚起された。
9.アフリカ諸国における平均余命が世界で最も低く、また、妊産婦及び乳児の死亡率が最も高いことが認識され、保健サービスの提供が改善される必要のあることが合意された。この目的のために、特に、基礎保健医療及び安全な水に対するアクセスのための適切な資源の配分が要請された。AIDSその他の感染症の広範な蔓延及びそれが最も生産的な人口層へ与える経済的影響について懸念が表明された。能力育成や社会サービスの地域社会レベルへの広がりが極めて重要であることが認識された。
10.社会開発及び貧困撲滅は、社会の全セクターや構成員の参加とともに、国内及び国際的資源の動員と調整を必要とすることが強調された。参加者は、「行動計画」が、社会セクターの開発、明確に設定された目標、基準及び全ての開発のパートナーによるコミットメントを含むべきことで意見の一致を見た。
IV. 民間セクター
11.準備会合は、長期的な経済成長の持続に民間セクターが果たしうる重要な役割を強調した。民間セクターの開発は、その能力が制限されていること、及び政策的及び制度上の枠組み、インフラ及び支援サービスが不十分であることによって制約されていることに留意された。
12.準備会合は、民間セクターの成長に好ましい環境を確保するためには、政治的安定、健全なマクロ経済政策、貿易の更なる自由化、価格設定及び投資に関する法令、法制及び行政制度における透明性及び予測可能性、及び金融セクターの強化が必要であることに幅広い意見の一致を見た。更に、官・民間の協力及びパートナーシップの向上を促進することが民間セクターの成長を促進することに留意された。参加者はまた、民間セクターが効果的かつ適時に開発されるためには、民間セクターに必要とされる能力向上の問題に取り組まなければならないことに留意した。
13.準備会合は、アフリカの対外的なパートナーは、譲許的援助の維持、債務救済措置の実施、貿易障壁の除去、アフリカからの輸出促進及びその多様化に関する支援、インフラへの直接投資を含む外国直接投資の奨励、並びに技術的及び経営上のノウハウの提供によって、アフリカの民間セクターの成長を容易にすることができることに意見の一致を見た。ビジネス界相互間の直接連携も促進されるべきであり、貿易見本市及び相互訪問を通じた経験の共有、訓練及びノウハウの移転、ネットワーク作り、並びに域内及び地域間投資及びジョイント・ベンチャーは、開発パートナーとの協力、あるいは南々協力と三角協力を通じて行われ得る他の形態の協力であると指摘された。参加者は、TICAD-IIプロセスにおいて民間セクターと緊密に協議及び連携すべきであること、及び民間セクターのTICAD-II本会合への関与を確保すべきことを提案した。
V.農業・環境
14.準備会合は、食糧のより安定的な供給及び域内のより高い開発レベルのための展望における農業と環境の関連性に焦点をあてた。農業、環境及び貧困との間の重要な分野横断的な関連性を認識した上で、参加者は、森林、畜産、漁業及び水資源の管理を含む広範な視点から、農業の生産性向上の問題に取り組むことの重要性を強調した。農業分野の実績向上に資する政策を引き続き支援することに対し、概ね賛意が示された。
15.上記の目的を達成するために、参加者は、世界食糧サミット及び関連のOAU/ECAのイニシャチブの提言に対し、注意が優先的に払われるべきであることを再確認した。域内の成功例からの教訓を考慮しつつ、より生産性が高く、持続可能な農業を推進するための行動計画の優先分野を確認することが提案された。
16.村落開発を可能にする環境を醸成するために、小規模農家の生産性を高めることを目的として、女性の役割に特に留意しつつ、いくつかの分野における、より強いコミットメントが必要であるとされた。これらには、農業研究と技術適合性、職業訓練、研究と応用の連携、土地活用と土地保有、農村金融へのアクセス、村落のインフラ及び国内・外の市場へのアクセスに関する改善が含まれる。
17.環境に関しては、旱魃、砂漠化、水資源管理及び再生可能なエネルギー源に対し、より大きな注意が払われるべきであるとの提案がなされた。ドナー諸国は、この分野に対し、適切な支援を行うべきである。農業及び環境分野の制度的関連性を高めるために、アジア・アフリカ協力は、重要な手段であることが留意された。
VI.紛争、平和と開発、及びガヴァナンス
18.準備会合は、国内の平和、安全及び安定が、持続可能な開発の達成の前提であり、それにより、国内の平和と安定の維持が促進されるものであることを認識した。また、効率的且つ効果的な公的及び民間セクターのマネージメント等の良い統治は、平和と開発を持続させるために、極めて重要な役割を果たすことを確認した。
19.アフリカにおける紛争管理において、地域間協力を通じて、重要な進展が見られること、及び国際社会に対し、アフリカ大陸の積極的なイメージを伝える努力がなされるべきであることが留意された。準備会合は、緊密な対話及び女性団体、他の市民社会のメンバーを含む地域社会の指導者の動員を通じて、紛争の早期段階における防止及び管理の必要性を指摘した。準備会合は、難民及び国内避難民の再定住、地雷の撤去及び軍人の復員に関する国際社会の持続的な協力を要請した。参加者はまた、紛争後の平和構築段階での和解及び復興努力に対する国際社会の支援を提案した。
20.参加者は、良い統治の概念には、透明性、責任性、基本的人権の尊重、法の支配及び意志決定過程への市民の参加が含まれる。このためには、効率的且つ効果的に公的セクターを運営し、また民間セクターが雇用創出及び経済成長に貢献できるような環境を作り出す政府のコミットメント及び能力が必要とされる。参加者は、国際社会に対し、司法、立法及び政党の強化を通じ、民主主義を強固なものにしようするアフリカ諸国の努力を引き続き支援するよう要請した。更に、政府及び公的機関、市民組織及び民間セクターの活動の運営のための国家の能力を強化するための支援が与えられるべきである。
VII.TICAD-IIに向けて
21.参加者は、上記の選択されたテーマ及び方法が、TICAD-IIの行動計画の枠組みを構成することを確認した。
22.TICAD-IIで採択される行動計画を準備するため、準備会合はアフリカ諸国、アジア諸国、ドナー諸国、国際・地域機関及び共催者から構成される「準備委員会」を設置することで意見の一致を見た。カメルーン、カナダ、エジプト、エティオピア、フランス、インドネシア、日本、モザンビーク、ナイジェリア、セネガル、南ア、スウェーデン、タンザニア、タイ、英国、米国、アフリカ開発銀行、EC、ECA、GCA、OAU、世界銀行、IMF及び国連(OSCAL、UNDP)が委員会のメンバーとして選出された。
23.準備会合は、準備委員会が原則として、アフリカにおいて、来年3回開催されることで意見の一致を見た。更に、準備委員会に対するインプットを行い、また「行動計画」案の策定において参加型アプローチとオーナーシップを促進するために、アフリカにおいてリージョナル・ワークショップが開催される。
24.TICAD-IIは、1998年10月19~21日(暫定的)に東京にて開催される。
25.OAU現議長を代表して、モトビ在京ジンバブエ大使は、OAUのTICAD-IIプロセスに対する支援を再度強調するとともに、準備会合を開催した日本国政府に対する謝意を表明した。
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