マニラ行動計画の採択における阿部外務副大臣の発言
(1月31日)
平成16年2月
まず最初に、私たちを暖かく迎え、歓待して下さったフィリピン政府に心から感謝致しますと共に、今次外相会合を通じ、素晴らしい議事進行を務めて頂いたアルバート・フィリピン外務長官及びバルコ・コロンビア外相に感謝と賞賛を表したいと思います。
ここでは、3点コメントしたいと思います。
第一点目は、昨日及び本日のリトリートでの議論を通じ、グローバリゼーションの進行する世界において、FEALACを通じる東アジアとラテンアメリカとの協力の重要性が改めて確認されたということです。
グローバル化が急速に進展する中、私たちは多くの恩恵を享受する一方、テロとの戦い、環境破壊、国際組織犯罪、人身取引、武器及び薬物の違法取引、感染症の拡散、貧富の格差の増大等、国境を越える様々な脅威に直面しています。このような問題は、一国、一地域のみの取り組みでは解決することができません。現在ほど国連を始めとする国際社会全体としての協力と団結が求められている時はありません。
この東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)は、地理的に離れた両地域を結ぶ意欲的なフォーラムです。それは、相互理解を深め、互いの経験から学びあい、政治、経済、文化等様々な分野において協力関係を構築し、強化するための大変重要な場であると考えます。ひいては、FEALACが、国連等を通じて国際社会全体が取り組むような諸課題に関しても、重複を避けつつ、新たな価値を付加する形で協力を行い、グローバルな共通認識の醸成に資することができればと考えます。
第二点目は、私たちが本日採択する「東アジアとラテンアメリカとの交流を促進するためのマニラ行動計画」は、私たちのFEALACにおける協力の方向性を指し示す重要な文書であるということです。今後は、その指針に従い、具体的な協力を積み重ねていくことが課題となります。
このような観点から、昨日のリトリートでご紹介した通り、日本は「明日の担い手イニシアティブ~若手ビジネス・リーダーズ・エンカウンターin 東京2004」「貿易・投資促進実務研修」「東アジアと中南米間の貿易投資関係活性化のための方策~ビジネス・オポチュニティの発見」という3つのプロジェクトを新たに実施します。
マニラ行動計画のもう一つの柱として「将来に向けての安全の確保」が挙げられています。これについては、人々に対する脅威が多様化、深刻化する中、「人間の安全保障」の考え方を実践していくことが益々重要になっています。日本は人間の安全保障の視点に立った協力を今後とも強化していくつもりです。
第三点目は、我々のFEALACを通じる協力は、長期的な観点に立って自主的で地道な協力を積み重ねていくことが重要であるということです。
FEALACは未だ若いフォーラムながらも、私たちはその枠組みの下、着実に東アジアとラテンアメリカの関係強化に資する活動を積み重ねてきました。私たちは、FEALACで、直ちに大きな成果をあせることなく、実践的に、貢献できるそれぞれの得意な分野を持ち寄り、今次外相会合において示されたフォーラムの方向性を少しずつ具体的な行動に移し、両地域が共に発展を遂げられるよう協力していきましょう。
最後に、第一回外相会合以降、素晴らしいリーダーシップを発揮しFEALACの発展に尽力された地域調整国のフィリピンとコロンビアに再度感謝致しますと共に、後を引き継ぐ韓国とブラジルの活躍を期待し、日本も共に協力していくことをここにお約束致します。
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