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イスラム世界との文明間対話セミナー
(概要と評価)


平成14年3月28日

1.総論

(1) 外務省は、2001年1月に河野外務大臣(当時)が湾岸諸国を訪問した際に提案し、賛意を得た「イスラム世界との文明対話」の一環として、相互理解を促進するために、日本側及びイスラム諸国側有識者間の意見交換支援のための知識人ネットワークを構築している。

(2) 今般、外務省は、同ネットワークを構成する双方の知識人が知的交流を行うために、バハレーン外務省との共催により、「文明間の対話:イスラム世界と日本」とのテーマの下、3月12日及び13日の2日間に亘り、バハレーンにおいて本件会議を開催した。

(3) 本件会議には、イスラム諸国側及び日本側より計36名が参加した(参加者リスト)。イスラム諸国側は、GCC諸国(ア首連、オマーン、カタル、クウェイト、サウディ・アラビア、バハレーン)、イエメン、イラン、エジプト、ジョルダン、テュニジア、モロッコの計12カ国の代表の他、アラブ連盟からの代表も含め、計30名が参加した。日本よりは、板垣雄三東京大学名誉教授、後藤明東京大学東洋文化研究所教授、阿部美哉國學院大學学長、加藤博一橋大学大学院経済学研究科教授、橋爪大三郎東京工業大学教授、塩尻和子筑波大学哲学・思想学系助教授の6名が参加した。

2.概要

(1) オープニング・セレモニー(12日午前)

 バハレーン政府閣僚(ガッファール外務担当国務相、ハマル情報相、ジャウダル公共事業相、カマールッディーン国務相)、有識者、メディア関係者等約100名が出席して開催された。ガッファール外務担当国務相より、文明間対話の意義についてスピーチが行われた後、小野在バハレーン大使より川口大臣よりのメッセージが代読された(大臣メッセージ)。最後にファハロ・バハレーン調査研究センター所長より、本件セミナーの性格及び意義、そしてそれが受け持つ使命の重要性、特に本件対話が今後永遠に続く対話の始まりである旨スピーチがなされた。

(2) 個別セッション(12日午後・13日午前・午後)

 「イスラムとグローバリゼーション」、「イスラムと国際関係」、「イスラム・アラブ諸国と日本:共存と相互作用」の3つのテーマの下で、3回のセッションを実施した(なお、個別セッションは、参加者が忌憚のない意見交換を行えるよう、非公開の形式で行われた)。参加者は3班に分かれて意見交換を行った。また、セミナーを通じて参加者全員が意見交換を行えるよう、各テーマ毎にメンバーが入れ替わって実施された。

(3) 最終セッション(13日夕)

 全参加者出席の下、3人のラポラトゥールによる各議題毎の論点が以下のとおり報告された後、自由討論が行われた。

(イ) 第一セッション「イスラムとグローバリゼーション」においては、イスラムを正しく理解してもらうためには、イスラム諸国はイスラムに対する現在の偏った認識を改めてもらう努力をする必要がある旨、またイスラム側が寛容と博愛の精神に基づき他文明との結びつきを強めることが重要である旨議論がなされた。他方、グローバリゼーションは政治・経済・技術等諸分野におけるアメリカ化という面が強く、公正と平等の原則に則った普遍性のあるグローバリゼーションが進展していくことが重要である旨の指摘がなされた。
(ロ) 第二セッション「イスラムと国際関係」においては、イスラム教の説く人間の美徳が実際に実施されていないとの問題提起がなされると共に、人間の尊厳が世界各地で尊重されることの重要性等につき議論がなされた。また、イスラム教徒によるテロについて、一部のイスラム教徒が行った行為をイスラム教徒全体の責任に与することは公正ではないし、テロは他宗教、他国の中でも起きている問題である旨の指摘がなされた。
(ハ) 第三セッション「イスラム・アラブ諸国と日本:共存と相互作用」においては、日本の成功の経験に学びたいとの要望が多く出されると共に、日本の成功について理解することは容易ではない、日本とイスラムとの対話促進のためには各分野に亘る重層的な関係の構築、双方の文化の理解等が重要であり、双方の文献の翻訳作業も重要である旨の提案がなされた。


(4) 今後の予定

 最終セッション末尾に、以下が決定された。

(イ) 本件対話の運営をフォローする運営委員会の設置が提案され、日本、バハレーン、イラン、アラブ連盟の代表により構成されることで了承された。
(ロ) 次期会合がおおよそ1年以内に日本で開催され、3回目の会合はイランでの開催を希望することが参加者の総意として決定され、今後その実現に向けフォローアップすることが決定された。


3.評価

(1) 本件セミナーは、2001年9月の米国同時多発テロ以降、イスラム諸国はもとより国際社会において「文明間の対話」及びイスラムへの理解に極めて高い関心が寄せられている中で実施され、極めて時宜に適ったものとして、その意義が多数の関係者より評価され、有意義なものとなったと思われる。

(2) 日本との二国間関係の観点からも、従来、イスラム諸国との間では主として経済関係が主軸であり、イスラム諸国と双方向で互いの考え方への理解を深める必要があったところ、本件セミナーは日本とイスラム諸国との間の相互理解を深める上で有益な一歩となったものと考えられる。

(3) 本件セミナーについては、参加イスラム諸国において広く報道が行われたことから窺えるように、イスラム諸国側からも高い関心が示された。

(4) 他方、日本とイスラム諸国双方が対話を深め、相互作用を生み出すまでには更なる時間が必要であり、今後とも本件セミナーの対話を継続していく必要がある。


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