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第3回イスラム世界との文明間対話セミナー(概要と評価)


平成16年12月

1.背景

(1) 我が国は、13億人の人々からなるイスラム世界への理解を深めることが重要であるとの考えに立ち、イスラム世界との対話を特に重視している。特にグローバル化の進む世界において相互理解のための対話はますます重要であり、本年5月の小泉総理の中東訪問においてアラブ・イスラム諸国との対話の強化を打ち出したところである。

(2) 「イスラム世界との文明間対話セミナー」は、2001年1月に河野外務大臣(当時)が湾岸アラブ諸国を訪問した際に提案し賛意を得た河野イニシアティブの三本柱のひとつである「イスラム世界との文明間対話」を実現するものであり、「日本・アラブ対話フォーラム」、「対中東文化交流・対話ミッション」と共に、わが国の対中東外交の重要な側面をなすものである。

(3) 2002年3月の第1回セミナー(於:バーレーン、テーマ「文明間の対話:イスラム世界と日本」)、2003年10月の第2回セミナー(於:東京、テーマ「平和と人間開発」)に引き続き、2004年11月27日、28日にイランの首都テヘランにて、「人間の尊厳」をテーマに第3回セミナーを開催した。

(4) なお、セミナー参加者は個人の立場で参加し、自由に発言することを原則としており、また、文明間対話は相互理解を目的とした息の長い努力であることから、結論や提言や出すことを目的としていない。


2.概要(プログラム別添1

(1) 第3回セミナーには、イスラム側より、イラン(主催国)、バーレーン(共催国)、エジプト、オマーン、イエメン、インドネシア、クウェート、ア首連、マレーシア、チュニジアより有識者等計18名、日本からは、板垣雄三東京大学名誉教授をはじめとする有識者計8名、合計26名が参加した(出席者別添2)。

(2) セミナーでは、イスラム側より、人間の尊厳は神の恩寵であり、コーランでは人間が神の創造した最良のものであると理解されており、神の前に敬虔になればなるほど尊厳が高まる、ところが近代人や西洋は「人間こそが神のイメージを創る」といった考え方であるとして、こうした考え方の相違がクローニング、堕胎、安楽死、同性愛といった問題の考え方の相違にもつながるとの指摘がなされた。
 これに対し、「コーランの内容を異なる宗教、文化、背景の人々にもメッセージが届くような共通言語に翻訳して発信すべきである」との日本側参加者の指摘受けて、イスラム側一部参加者より、「西洋では人間の尊厳と平等を基に人権を正当化するが、イスラムでは人間の尊厳が神への接し方に依っており、人間は絶対ではない」との説明がなされた他、「コーランの引用を控えるべき」との考えについて同意する意見も出された。
 また、イスラム側からは日本がイスラムと西側諸国の間の敵意を解消する役割を果たすべきとの意見も出された。

(3) 日本、イスラム双方の知識人やイスラム側政府関係者からは、アフリカのイスラム諸国を加えることで参加国の地理的拡大を求める意見が出された。また、対話を一層深めるためにセミナーを継続する必要性が改めて指摘された。


3.評価

(1) 今回のセミナーでは、「人間の尊厳」という特定のテーマに絞ったことや、日本側参加者から「コーランの内容を異なる宗教、文化、背景の人々にもメッセージが届くような共通言語に翻訳して発信すべきである」との指摘がなされたことを受け、従来以上に積極的な議論が行われた。

(2) 今回のセミナーに対し現地プレス(20名)セミナー自体の取材に加え、各参加者に対し個別にインタビューも行うなど、イスラム側の関心の高さが伺われた。




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