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我が国のイラク人道・復興支援策


平成15年5月21日


 イラクにおける主要な戦闘が終結し、今後イラクに対する復興支援が本格化することが期待される。我が国は、5月8日に在イラク日本大使館を再開し、また、10日から16日まで茂木外務副大臣率いる政府ミッションをバグダッドに派遣するなど、更なる支援策の実施に必要な措置を講じているところである。
 今後とも我が国は、4月21日発表の「我が国のイラク復興支援策」に盛り込まれた考え方を踏まえ、我が国の経験を活かして、人道支援から復興支援に至る過程を切れ目ないものとするとともに、イラクの将来がイラク国民によりできるだけ早く決定されるための政治プロセスを積極的に支援していく。
 以上のような考えに立って、当面、以下の具体的支援を実施することとする。


1.イラク人道・復興支援のための国際協調の構築

 イラクの復旧・復興には、周辺諸国を含む幅広い国際社会の協調が不可欠であり、我が国の支援も、かかる国際協調の下でこそ、その真価を発揮するものである。
 我が国としては、現下の安保理決議案を巡る協議が早急にまとまり、イラク支援のための国際的枠組みが一日も早く構築されることを期待する。そのような枠組みの構築に向け、我が国としても重要な役割を果たしたい。
 イラク支援のための国際協調体制を確立するため、我が国は、広範な諸国・国際機関の参加を得たイラク人道・復興支援に関する国際会議が早期に開催されるべきと考える。このため、国連等の関係国際機関が本会議の開催に向けて積極的な役割を果たすことを求める。


2.我が国の当面の具体的人道・復興支援策

 茂木副大臣を団長とする政府ミッションからは、今次軍事行動による物的損害は限定的であり、むしろ、政府機能の喪失、これに伴う行政サービスの欠如による生活基盤や人道面での困窮に対する緊急の支援が必要であること、さらにフセイン政権による圧制や度重なる戦争、経済制裁等による「失われた20年」において疲弊した経済社会システム及びインフラ近代化に対するニーズが大きいとの報告を得た。
 我が国はこれまで約3200万ドルの人道支援を供与してきたところであるが、この報告を踏まえ、当面、保健、教育、電力等の生活基盤の再建を優先し、我が国が過去に実施したプロジェクトの復旧及びアラブ諸国との協調に十分配慮しつつ、対イラク支援を進めることとし、まずは次の具体的支援策を実施することとする。
 我が国は、今後、治安の確保、援助を受け入れることのできる暫定政権の設立、債務問題の解決が図られれば、一層本格的な復興支援を行っていく考えである。

(1) 国際機関及びNGOを通じたイラクにおける人道・復興支援に対する協力

(イ) 国際機関経由の支援

(a) 「イラク復興雇用計画」:約6百万ドル

 イラク国内では経済活動が停滞し、当面の雇用が重要な問題となっているところ、UNDP(国連開発計画)経由でバグダッドにおいてイラク人を雇用し、瓦礫の除去、ゴミ収集や建物の修復等を行うプロジェクト。
(効果)延べ約3.5万人(1名を1カ月間雇用したと計算)の雇用創出が見込まれバグダッドの衛生状況の改善等が期待される。

(b) 「イラク初等教育再生計画」:約10百万ドル

 主要な戦闘が終結し、学校の再開が容易でない中、UNICEF(国連児童基金)経由で、日本のNGOとも連携しつつ、バグダッド、モスル、ナジャフ及びその周辺地域において学校の修復や学用品の供与等を行う児童の学習再開プロジェクト。
(効果)3都市及びその周辺地域で約100万人の児童が裨益。

 上記の他、以下の案件を中心に、総額30百万ドル程度を念頭に置いて支援の具体化を検討していく(上記(1)、(2)と併せれば46百万ドルとなる)。

(c) 「中央配電所復旧計画」

 UNDP(国連開発計画)経由で電力セクターにおける最優先課題である既存電力の配電管理及び切断された送電網の復旧を行うプロジェクト。
(効果)24カ所の発電所から発電される約9000メガワットの配電を全国的に管理する中央配電所の復旧。

(d) 「イラク総合病院機材整備計画」

 UNDP/WHO(世界保健機関)経由で、わが国が過去に円借款で協力した総合病院の復旧を行うプロジェクト。
(効果)我が国が過去に円借款で協力した病院は、イラク全国に13カ所存在する。バグダッドのカーズミーヤ病院を始めとするイラクの中心的な総合病院の復旧により、全国的な保健・医療システムの強化が見込まれる。

(e) 「水・衛生復旧計画」

 UNICEF(国連児童基金)/UNDP(国連開発計画)経由で水供給、下水及び衛生分野におけるプロジェクト。
(効果)イラク国民の水へのアクセスや衛生状況が大幅に改善される。

(f) 「公共施設等復旧計画」

 UN-HABITAT(国連人間居住計画)経由で公共施設等を復旧モデルとして選定・修復し、右を通じて住民への技術移転を行うプロジェクト。
(効果)破損の著しい公共施設等を選定し、右修復を通じて住民に技術を移転。

(ロ) NGO経由の支援:総額約2.7百万ドル

(a) JPF(ジャパン・プラットフォーム)がイラク国内で実施する医療プロジェクト及び緊急物資の配布等:約2.5百万ドル(約3億円)

(b) ヨルダンの「ハシミテ慈善財団」がイラクで抗生物質を始めとする医薬品等を配布するプロジェクト:約15万ドル(約1800万円)拠出

(c) 国際NGO「ケア・インターナショナル」が乳児用点滴セット等の医療用具を配布するプロジェクト:約8.2万ドル(約1000万円)拠出

(ハ) 官民連絡体制の整備、調査団・専門家の派遣

(a) 上記(イ)、(ロ)の事業と並行して、本格的な復興支援の開始に備え、我が国官民が協力して対イラク支援に取り組むための官民連絡体制を整備する。

(b) 現地の治安状況を踏まえつつ、以下の調査団・専門家の早期派遣のための調整を進める。
  • 緊急開発調査団(JICA)の派遣。
  • 官民合同調査団の派遣。
  • UNDPやWHO等国際機関によるニーズ調査への専門家派遣。
  • 世銀・IMFによるニーズ調査への専門家派遣。

(2) アラブ諸国や周辺国の人々と協力したイラクにおける人道・復興支援

 中東地域全体の安定を図るとともに、日・アラブ関係の緊密化を図る観点から、上記(1)(ロ)のヨルダンの「ハシミテ慈善財団」を通じた対イラク医療支援を実施するなど、アラブ諸国との協調を推進する。

(3) 周辺地域に対する支援

 これまでのヨルダン及びパレスチナに対する1億2225万ドルの支援に加え、小泉総理のエジプト訪問の際に具体的支援策を発表予定(有償資金協力、無償資金協力)。

(4) 文化遺産の保護・保全

 文化・教育面でのイラク復興を支援するため、ユネスコに対して200万ドルを拠出済み。ユネスコの調査ミッション(5月15日~19日)の結果も踏まえ、具体的支援策を検討中。




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