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香港情勢と日本・香港関係

平成9年5月
1.香港問題の概要
(1)香港の領域
香港島・九龍半島の先端(1842年南京条約及び1860年北京条約で英に割譲)
新界(1898年新界租借条約により99年(「1997年6月 末まで」)の期限で英に租借)

(2)香港返還問題
(イ)英中共同声明(1985年5月発効)
(a)英国政府は1997年7月1日に香港を中国に返還し、中国政府は同日香港に対する主権行使を回復する。
(b)香港に特別行政区を設置。外交・防衛の両分野を除き高度の自治を付与。現在の諸制度の維持を最低限50年間保証(「一国二制度」)。
(ロ)英中合同連絡委員会(JLG)
1985年、円滑な主権移行及び合意の実施等の協議を目的として設置。
(ハ)香港特別行政区基本法の制定
90年4月、中国全国人民代表大会(全人代)で可決・成立。97年の主権返還後の香港の法制を中国の法律として定めるもの。

(3)最近の動き(香港を巡る英中関係)
(イ)92年7月に就任したパッテン総督は政治改革案(選挙制度の民主化改革案)を発表し、中国側は強く反発。同案につき英中間で合意ができないまま政治改革法案は香港議会で可決。これに対し中国側は強く反発、返還時にそれまでの議会は廃止し新たな議会を設立するとの立場。95年9月、パッテン総督の選挙制度改革を受けて実施された立法評議会選挙では民主派が勝利。中国側は「返還後には香港の議会はすべて解散される」との従来の立場を強調。昨年3月には返還後の暫定議会となる臨時立法会の設立を決定。
(ロ)政治改革をめぐる英中間の対立は解消していないが、最近、実務面での懸案については両国の協調がみられ、一昨年6月以降、懸案となっていた最終審(香港の最高裁判所に相当)の設置問題については、英中両国は、香港返還時(97年7月1日)に設立することで合意、更に、新空港設置問題についても最終合意に達するなど進展がみられる。昨年9月にニューヨークで行われた英中外相会談において、返還式典のあり方等につき合意。
(ハ)昨年1月、今後の返還作業に責任を有する香港特別行政区返還準備委員会のメンバーが選出された。昨年11月に推薦委員会が設立、12月11日に実施された第三回推薦委員会全体会議において董建華(C.H.Tung)が400人の推薦委員のうち320票を獲得して香港特別行政区の初代行政長官に選出、その後、中国政府より任命された。また、返還直後の暫定的な議会となる臨時立法会のメンバーついては、12月21日に選出されたが、現行立法評議会で最大議席を占める民主派は基本的に参加しなかったため、親中派がほとんどの議席を占める結果となった。
(ニ)最近、中国側は香港の反中国勢力である民主派とも対話の姿勢を見せているが、任期を残しての現在の立法評議会の解散、臨時立法会の設立には英国(香港)側の反対が強く、また、人権問題関連法令の改廃問題を巡っても英中間の対立があり、返還に向けて引き続き政治的緊張が続く可能性がある。


2.経済概況
(1)96年の香港経済は実質4.7%の成長でほぼ前年(4.6%)並み。1人あたりGDP(23,200ドル:95年)はすでに英国を抜き、アジアでは日本に次ぎ第2位。サミット諸国平均並。貿易総額は約3,650億ドル(95年:世界第8位)、中国(35%)、米国(15%)、日本(11%)が3大パートナー。

(2)近年、香港経済は益々広東省と一体化しつあり、香港が高い成長を維持している背景には急速な経済成長を遂げつつある広東省を中心とする中国経済の好況がある。

(3)96年後半以降、消費の回復、域内投資の活発化、失業率の低下等により、経済は回復、好況を呈している。

3.日港関係
(1)基本的考え
(イ)我が国は香港と極めて密接な経済関係を有していることから、香港の将来は我が国にとって大きな関心事。
(ロ)香港の繁栄と安定は、中国のみならず日本を含むアジア太平洋地域の繁栄と発展に重要な役割を果たしていると認識しており、香港において引き続き自由で開かれた体制が維持され、香港に対する信頼感が確保されることが重要。
(ハ)日港関係は順調に発展。返還後の香港が高度の自治とダイナミックな経済活動を支える枠組み(低税率・自由貿易・少ない規制等のビジネスに適した環境、法の支配の徹底、優れた輸送インフラ、効率的な行政、優秀な人材等の存在)が維持されれば、日港経済関係は引き続き発展するものと見込まれる。
(ニ)かかる観点から、円滑な返還が実現され、香港の開かれた諸制度が維持されると同時に、これまでの緊密な経済面を中心とした交流関係が維持・発展できるよう政府としても環境を整えていく考え(日港航空協定の締結等)。

(2)要人往来
一昨年9月には香港政庁が我が国(東京、大阪、福岡)において大規模な紹介事業である「香港プロモーション95」を開催。アンソン・チャン行政長官がこれに合わせ来日。昨年5月には日港議員連盟代表団(団長:羽田元総理・日港議連会長)が香港を訪問。また、8月には池田外務大臣が訪港、アンソン・チャン行政長官と会談。更に、11月にはパッテン総督が来日し、橋本総理、池田大臣を表敬。

(3)日中関係の中での香港の扱い
これまで機会あるごとに中国側に対し、返還以降も香港が「一国二制度」の下で自由で開かれた体制を維持し、これまで果たしてきた国際貿易・金融センターとしての役割が今後も維持されることを希望する旨伝達。昨年6月には魯平香港マカオ弁公室主任が来日、橋本総理、池田外務大臣を表敬。本年3月池田外務大臣訪中の際にも、江沢民主席、李鵬首相、銭其シン副総理兼外相等に、我が方考え方を伝達。

(4)経済関係
(イ)貿易:96年の日港間の輸出入総額は約384億米ドル。香港から見て日本は第3位、我が国からみて香港は第6位の貿易相手。
(ロ)日本の対香港投資:製造業部門では日本からの投資が第1位(累計:24億米ドル95年末まで)全体では143億米ドル(95年9月まで)で中国に次ぐ規模と推定される。
(ハ)邦人企業数等:推定約2,000社。銀行は駐在員事務所を含め68行。

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