スウェーデンにおける日・EU市民交流年事業は、マンガ展とサムライ展で幕を開けました。ストックホルムで開催されたマンガ展は、北斎漫画からドラゴンボールまでを幅広く紹介する展示でした。ここスウェーデンでも、ポップカルチャーは若者を中心に絶大な人気を誇っています。そのポップカルチャーの一翼を担うマンガの展示とあって、新聞、テレビなどメディアの関心も高く、会場となった東アジア博物館はこれまでで最大の入場者数を記録しました。マンガ展と対称的な事業となったサムライ展では、一千年におよぶサムライの世界が、武具、美術品などの展示やオーディオビジュアルを駆使して紹介されました。会場は、スウェーデン南端のマルメ博物館でしたが、全国から多くの来訪者が押し寄せ、日本の伝統文化についても、依然として強い関心があることが如実に示されました。
これらの事業を皮切りに、スウェーデン全国で、映画、音楽、ダンスなど様々な行事が繰り広げられました。これらの中でも特に注目されたのは、現代能によるイプセン「人形の家」の公演、そして、サムライとヴァイキングの文化、思想、刀剣などの共通性に着目した事業でした。これらの事業では、単に日本文化紹介に止まらず、日本と北欧との文化の共通性の探求が試みられました。また、交流事業の担い手も、博物館、劇場などの文化機関だけではなく、市民団体、学生にまでおよびました。事業を開催した団体からは、「来年はもっと日本との交流事業を拡大したい」「地方から日本文化を発信していきたい」という熱い声も届き、文字通りの「市民交流事業」の年となりました。 |