「日・EU市民交流年」にあたる本年には、マッカリース大統領の訪日と天皇皇后両陛下のアイルランド御訪問が行われました。こうした最高レベルの交流は、両国間の友好関係増進に大いに寄与するものであり、日本とアイルランドの長い交流史の1ページを飾る重要な出来事でした。マッカリース大統領は日本滞在中、日本人側関係者の企画により表参道で行われたセント・パトリック・デー・パレードに参加され、また天皇皇后両陛下はアイルランド御訪問中にダブリン市内で日・アイルランド友好関係増進に携わる方々と触れ合われる機会をもたれました。
近年、アイルランドでは引き続く経済成長を背景に、主に東欧の新規EU加盟国からの人口流入が顕著で、これに伴う異文化の移入もあり、徐々に国際色を帯びた文化的環境が形成されつつあります。こうした状況の下、2005年の欧州文化首都のコーク市では欧州文化首都に因んだ数多くの文化行事が企画・実施されました。また、アイルランド国内の主要都市において「日・EU市民交流年」の枠組で「ポスターに見る日本」展、東京演劇アンサンブル公演、沖縄歌舞劇団「美(ちゅら)」公演、ロイヤル・チェンバー・オーケストラ公演、松村保造映画祭、慶応義塾大学ホッケー部100周年記念事業に基づくトリニティー大学とのホッケー試合、日本語弁論大会等、多彩な行事が行われました。
この中、ゴールウェイで実施された沖縄歌舞劇団「美(ちゅら)」による市民ワークショップ及び公演の様に、今までアイルランドでは殆ど知られることのなかった日本の地方文化紹介により、地方都市の一般市民が抱いている「顔の見えない極東の技術立国」という日本への印象を、「自身の文化を大切にする親近感の持てる人々の国」へと大きく転換させた交流事例もありました。今回の「日・EU市民交流年」を契機として、EUの重要な構成国であるアイルランドと日本の交流が今後とも長きにわたり発展・拡大していくことが期待されます。 |