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サッカー・アジアカップでの中国人観戦客の反応は、日本の若い世代にとって衝撃的であり、高い関心を呼んだ。(委員の講義を受けている)学生の受け止め方は、概ね(イ)反日意識の強い中国と上手くつき合えるか、(ロ)過去の歴史をしっかり認識しなければならないとの反応に分かれている。「中国に日本も対抗しなければならない」との意見はなかったことは幸い。(日本側委員)
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外国との間で、自国民の感情を転化でき得る状況が存在する場合、政治は国内の矛盾・不満を外部へと転化させる方向で利用しがちである。政治とはそういうものであることを認識する必要あり。(日本側委員)
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サッカー・アジアカップの出来事は残念であり、中国人も賛同できない。一方、その背景には(イ)過去の歴史をめぐる刺激的行為、(ロ)海洋・領土をめぐる対立等が挙げられる。中国は日本からのODAに何度も感謝を表明しているのに、日本では、「中国は感謝していない」と報道されている。中国には「日本が謝罪していない」との印象があるが、これは日本側の種々の発言と関係がある。日中両国は措置を講じて、こうした要因を排除し、日中関係を順調に発展させるべき。(中国側委員)
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新たな国際環境においては共通認識を作り協力すべき。日中首脳の相互信頼がなければ国家間の信頼関係は築けない。国民感情が改善すれば何とかなるというものではない。(中国側委員)
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冷戦中は、日米も中国も「ソ連への対抗」との点で戦略が一致し、対日イメージも良好。冷戦後は、日米と中国は矛盾が大きくなり、イメージも悪化。日中関係における批判は「中国政府」のみでなく「中国人全体」を批判しがち。批判の対象を「政府」から「民衆一般」に広げるべきでない。また、メディアの商業化も国民感情の変化に影響。(中国側委員)
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先の大戦は、中国では「新中国」の建国に直結。この歴史における日中関係の位置づけを念頭におくべき。98年の江沢民訪日以降、中国は対日関係で「過去」よりも共同利益の追求へ方向転換するも、日本国内では嫌中感が増大。共通利益を拡大し、感情を相対化すべき。(日本側委員)
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中国国内では対日批判は誰も損をしない性質のため、安易に取り上げられる傾向あり。同時に、両国の国民感情の悪化は、靖国参拝だけでは語れず、変わりつつある中国社会に対応しきれていない日中関係の構造的な問題である。中国の対米批判が影を潜めていることにも留意。(日本側委員)
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メディアは日中間の問題ばかりでなく、日中友好の草の根の活動(植林、国民間の交流等)も報じるべき。日中友好協力に関するデータベースを立ち上げては如何か。(日本側委員)
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日本の報道は中国の「愛国主義」について理解が不十分。愛国主義は、侵略者への批判ではなく、侵略された自分自身への批判。90年代の北京アジア大会の際、中国メディアは日本人の活躍をアジアの代表として褒め称えた。スポーツ、TVドラマ等の交流を増やすべき。(中国側委員)
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