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序 章-「アジア経済再生ミッション」と日本の役割

 1997年7月の通貨危機発生から2年が経過し、通貨危機に見舞われたアジア各国経済にもようやく回復の兆しが見え始めているが、経済構造改革の継続など課題は少なくない。アジア経済の再生と21世紀のアジアの繁栄に向けてアジア各国は引き続き改革に取り組み、経済システムの強化に努めなければならない。我が国経済も1997年から戦後初めて二年連続マイナス成長となった。アジア経済再生のためには日本経済自身が再生し、力強く発展して行くことが不可欠である。

 急速なグローバル化の進展の中で経済の相互依存の高まりが不可逆の流れとなっているが、通貨危機は東アジア地域における経済の相互依存の深まりを強く認識させた。日本経済の回復はアジア経済の回復にとって極めて重要であり、またアジア経済の回復は日本経済の回復にとっても重要となっている。我が国経済も困難な状況にあるが、アジアの国内総生産(GDP)全体の約2/3を生産する我が国がアジアの期待に応え、その役割を十分に果たして行くことが求められている。通貨危機発生以降、我が国は新宮澤構想を含め総額約800億ドルの対アジア支援を表明し、着実に実施してきた。アジア経済が最悪期を脱し、新たな発展に向けて多くの課題に取り組もうとする中で、日本が今後如何なる役割を果たすべきかアジア各国と一緒になって考えるべき時である。「アジア経済再生ミッション」は、小渕総理の意向を受け、8月27日から9月7日迄の12日間、韓国、ヴィエトナム、タイ、マレイシア、インドネシア、フィリピンの6ヶ国を訪れた。「アジア経済再生ミッション」の目的は次の3点であり、帰国後、報告書を取りまとめ総理に提出することとなった。

(1)通貨危機発生後2年以上を経て、回復の兆しが見えるアジア各国の抱える課題やニーズを調査すること。

(2)新宮澤構想を始めとする総額約800億ドルに上る我が国支援策を検証すること。

(3)通貨危機の教訓を踏まえて、21世紀のアジアの繁栄のためにアジアが取り組むべき課題と日本の役割が何であるかを見極めること。

 「アジア経済再生ミッション」は、事前の勉強会や先遣隊の派遣の成果を踏まえて、訪問した各国で政府の首脳、主要閣僚、経済界の指導者の他、我が国の進出企業の関係者も含め総勢約200名と意見交換し、本報告書をまとめた。本報告書では、通貨危機の教訓を踏まえ、21世紀のアジアの繁栄に向けた我が国の役割について、ヒト、モノ、カネ、情報という4つの分野で具体的提言を行った。この提言の基礎となったミッションの認識が第二部であり、ミッションの訪問結果を、(1)アジアの課題、(2)訪問国の課題と日本の役割、(3)我が国支援策の検証としてとりまとめた。

 アジア、そして世界との相互依存関係が深まる中で、資源のない日本は対外的な経済・社会関係を更に発展させて行く必要がある。また、我が国は、今後高齢化や少子化が進み、人口も減少して大きな曲がり角に立とうとしている。古いシステムを改革し、一歩でも二歩でも前に踏み出すことにより衰退ではなく、新たな発展を目指さなければならない。そのためには、自ら血を流す覚悟が必要であり、規制を緩和・撤廃し、アジア、そして世界に対し、より開かれた国に脱皮する必要がある。明治維新や終戦の際の「開国」に次ぐ「第三の開国」が今強く求められている。グローバル化という歴史の奔流に乗り遅れず、日本の社会や経済を活性化していくためには「日本を開く」ことが焦眉の急である。また「日本を開く」ことを通じて日本はアジアとの信頼関係を築き真の盟友となることができるのである。

 このような問題意識に立った本報告書の提言が、我が国のみならず、アジア諸国にとっても、21世紀の繁栄に向けての指針となることを願って止まない。



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