平成15年12月
- 概要
外務省は、2000年に南西アジア諸国を歴訪した森総理大臣(当時)の提案を受け、南西アジアの将来を担う高校生の日本に対する理解を促進し、国民レベルでの交流を深めることを目的とし、12月1日(月)から12月10日(水)にかけて南西アジア高校生招聘計画を実施し、南西アジア6カ国(インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン)の高校生25名及び、引率教員5名の計30名が日本を訪れました。主な日程は以下の通りです。
(1)日本語教室
参加者は到着の翌日、挨拶や簡単な自己紹介などの日本語を勉強しました。講師の先生に続き、元気な声で「おはようございます」「すみません」などと挨拶を練習しました。参加者たちはとても覚えがはやく、簡単な日本語はすぐに覚えてしまったようでした。参加者にとって、この場で学んだ日本語は、高校訪問やホームステイの際に役に立っていたようです。
(2)歓迎レセプション
荒井外務政務官主催の南西アジア高校生歓迎レセプションには、南西アジアの高校生、在京大使館関係者、南アジア関係有識者、日本南西アジア青年フォーラムの日本人参加者、招聘関係者等が出席しました。荒井政務官は歓迎の挨拶で、日本と南アジアの歴史的つながり及び若い世代間の交流の大切さを述べ、続いて各国の高校生の代表がスピーチをしました。
高校生は、色とりどりの民族衣装に身を包み、レセプションに参加した人々との歓談を楽しんでいました。
(3)高校訪問
参加者は、私立関東国際高校を訪問しました。4つのグループに分かれ、「春」の部屋では琴の演奏を聴きながら抹茶を楽しみ、また実際に琴を弾き、「夏」の部屋では浴衣を着ての盆踊りを体験し、「秋」の部屋は関東国際高校の学生による空手実演を間近で見た他、箸での豆つかみに挑戦し、「冬」の部屋では書き初めや福笑いを行うなど、それぞれの季節における日本の伝統・文化を体験しました。
最後に南西アジア・日本の高校生一同が会し、まず南西アジアの高校生がそれぞれの国の歌や踊りを披露した後、日本の高校生が「ふるさと」を合唱し、最後に全員による合唱が行われました。高校生たちはお互いの連絡先を交換し、これからも連絡をとっていくと約束を交わしていました。参加者の多くが、同世代の日本の高校生と交流することをとても楽しみにしており、今回の訪問をとても喜んでいました。
(4)ホームステイ
参加者は、東京都内のボランティアの日本人家庭でホームステイを体験し、ホストファミリーの方から家族と同様の暖かいもてなしを受けました。日本の家庭料理を味わったり、買い物にでかけたり、着物を着付けてもらったりと、それぞれの家庭で楽しい時間を過ごしました。ホームステイは、参加者にとって日本人の家庭生活を体験し、また日本人についてよく知ることのできた、貴重な経験となりました。
(5)視察
参加者は東京で、国会議事堂、東京証券取引所、有明ゴミ処理場、日本科学未来館、江戸東京博物館、浅草等都内等を視察しました。有明ゴミ処理場では、環境への配慮のあり方、浅草や江戸東京博物館では伝統的な日本の風俗を、日本科学未来館や東京証券取引所では近代的な日本の姿を見学しました。
地方視察では、広島と京都を訪れ、広島で広島平和記念館を訪問し、被爆者の方の講演を聴きました。英語でご自身の体験を一言、一言語られた被爆者の方の話に高校生達は大きな衝撃を受けていたようでした。スリランカの参加者はお金を出し合い、記念館にて原爆の惨状を伝える写真集を購入して、母国の高校に寄贈しました。
京都では、友禅染体験や清水寺、金閣寺の訪問を通し、日本の伝統文化に触れる機会を持ちました。
- 参加者からの感想
参加者からは、「生涯忘れ得ない思い出となった。」という感想を始め、以下のような感想が寄せられました。
- 日本人が想像していた以上に優しく、親切でホスピタリティに溢れていると感じた。
- ホームステイでは家族の方に親切にしていただき、まるで第二の家族ができたようだった。
- 有明ゴミ処理場のような施設を自国でもつくるべきだと感じた。
- 被爆者の方の話を聞き、核廃絶への決意を固めた。本国に戻ってから、世界から核を廃絶するための何か活動をしたいと思う。
- ホストファミリーや訪問先の日本の高校生とEメールを通じて連絡をとりあっており、日本の友人ができたことがとても嬉しい。
- 南アジア各国からの参加者との交流を通じ、参加者同士の絆が生まれた。
- 日本の高校生との交流の機会を増やして欲しい。
- 日本の訪問先では、展示物が日本語表示のみで説明されていることが多く、英語表示での説明が増えれば、海外の訪問者の日本に対する理解が深まるきっかけになると感じた。
- 最後に
南西アジア高校生招聘は関東国際高校の教諭・生徒の方々、ホームステイを受け入れてくださったホストファミリー等の各方面の関係者の方々の貴重なご協力のおかげで、大きな成果を上げることができました。今回の訪問により、南西アジアの高校生にとって、日本のことをよく知る機会に、また協力して頂いた方々が南西アジアをよりよく知ってもらう機会となり、日本と南西アジア地域の友好関係が発展につながることを期待します。
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