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ASEM第5回経済閣僚会合
議長声明(仮訳)


2003年7月23-24日、中国、大連


1. 2003年7月23-24日、中国大連においてASEM第5回経済閣僚会合が開催された。会合には、アジア側10カ国(ベトナムおよび日本がアジア側調整国)および欧州側15カ国(欧州理事会議長国であるイタリアおよび欧州委員会対外貿易担当委員が欧州側調整国)が参加した。議長は呂福源中国商務部部長がつとめた。

2. 中国呉儀副総理が開会式に出席し、歓迎の辞を述べた。その中で呉儀副総理は、SARSの影響による困難にも関わらず中国がこれまで達成した、また、本年も見込まれている経済成果につき報告した。副総理は、新しいアジア欧州パートナーシップを構築する上で、また両地域国民間のさらなる理解をもたらす上でのASEMが果たしてきた重要な役割を強調した。さらに、EMM5が多角的貿易体制、特に、来る2003年9月にメキシコ・カンクンにて開催される第5回WTO閣僚会議にもたらすことができる重要な貢献を強調した。また、EMM5出席閣僚が、ASEMの今後の活動に関する新たな優先事項および方向性を指摘することにより、さらなる経済協力の可能性を話し合い、模索することへの希望を表明した。

3. 閣僚は、ジュネーブにおける最新のWTO交渉状況につき説明を行った孫振宇駐寿府中国代表部大使、イー・ギュ・ファン第8回アジア欧州ビジネス・フォーラム(AEBF8)代表およびASEMより緊密な経済パートナーシップに関するタスクフォースの行天豊雄委員およびチャン・ユンリン委員の参加を歓迎した。

グローバル経済の発展

4. 閣僚は、世界経済発展の今後の展望およびアジアおよび欧州におけるそれらの影響につき広範な議論を行った。閣僚は、SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大がアジアにおける短期的経済活動に対し深刻な悪影響を与えたことに留意した。実際に顔をあわせて行うサービス分野は、接触を通じた感染拡大への恐れから、強い打撃を受けた。観光、運輸(特に航空)および小売業が最も打撃をうけた業界である。しかし、閣僚は、公共衛生、貿易、観光、モノとヒトの移動に関する必要な効果的措置が実施される場合、アジア地域における中長期的経済発展への悪影響は最小限にとどめられるとの結論に達した。閣僚は、また、EU経済の成長予測が世界情勢から負の影響を受けており、ビジネスおよび消費が低調となっていることを認識した。2003年後半にはゆるやかな回復が期待される。EUはさらに構造改革を進める意向であり、これが成長を遂げるための決定的戦略をなすと見ている。

5. 閣僚は、ASEM参加国間で地域貿易協定(RTA)が発展し続けている点に留意した。アジアにおいては、主に「ASEAN+X」という形で行われるプロセスが強化されており、アジアにおける経済統合および機構化はますます活発になっている。日シンガポール間で新たな時代における経済の連携に関する協定に合意し、またASEAN中国間では包括的経済協力のための中ASEAN枠組み協定に署名したように、アジア側ASEM参加国間での複数国間および二国間FTAは進展している。閣僚は、二国間又は地域間イニシアティブが多国間主義に優先すべきでなく、同時に全ての協定がWTOの義務と整合性がとれているべきことを強調した。EUは、域内統合モデルのうち特定の興味深い観点を強調し、アジア側参加国との間で経験をさらに共有していくことが適当かつ興味深いと考えられる分野を提案した。閣僚は、ASEMがさらに地域貿易協定(RTA)/自由貿易協定(FTA)および地域統合に関する発展および意見を交換するべきである点につき合意した。

6. 閣僚は、EU拡大プロセスの現状、特にアジア側参加国との貿易関係において予想される拡大の好影響につき説明を受けた。欧州委員会は、拡大EU、特に新規に参加する加盟国との貿易・投資におけるアジア側参加国の被る潜在的悪影響に関して閣僚が表明した懸念に対し、WTO協定の下に定められたものを含め、既存の協議のためのメカニズムを利用し、注意深く留意した。EUは、アジア側輸出者のそのような懸念に留意し、新規参加が実施されるその日から共通の関税および貿易ルールに従う4億5千万の人口を有する拡大した単一市場を持つ、開放された貿易パートナーであり続けることを約束した。従って、すでに現在のEUの基準に則っているアジア側輸出業者は、さらに広い市場へのアクセスをすぐに得ることとなる。アジア側貿易パートナーは、拡大EUとの貿易および投資には、低い関税、割り当ての拡大、および新規加盟国による一般特恵関税制度の拡大を含む多くの潜在的利点があることを再確認された。潜在的な貿易相手の転換または創設の効果があり得るとすると、過去数年の拡大準備期間内にすでに起こっているはずである。

WTO

7. 閣僚は、進行中のWTO交渉のいくつかの分野における進展を認識したが、他の問題の進展が遅いことに対し懸念を表明した。閣僚は、いくつかの重要な事項に関する期限が守られていないことや、そのことがカンクン閣僚会議へ道に深刻な懸念となっていること、および、すべての当事者が交渉を期限までに終了するために必要な進捗を確保する努力が必要であることに留意した。

8. 閣僚は、DDAが成功裡に開始された後、よりよい、またバランスのとれた国際経済環境への貢献においてASEM参加国が果たす独特の役割を想起した。閣僚は、WTOのもとでの強力で、開かれていて、透明な、そして公平な多角的貿易体制への強いコミットメントを再確認し、貿易をさらに自由化しルールに基づく多角的貿易体制を強化することにより、世界経済を再活性化するために野心的なラウンドを成功裡に終了させることの重要性を強調した。

9. 閣僚は、開発の側面、および開発途上国および後発開発途上国のニーズといったDDAの主要事項をとりあげ続けることの重要性を再確認した。この関連で、閣僚は、DDAにおいて開発問題をとりあげる努力がさらに必要である点を認識し、開発途上国がDDA交渉により効果的に参加し、WTO協定を実施するための技術支援およびキャパシティ・ビルディングを強化する必要性を強調した。

10. 閣僚は、アジアおよび欧州にとり、協力してこれら課題に向かい、ドーハ作業プログラムのすべての点で建設的に協力する強い政治的意思を示すことが不可欠であることを強調した。閣僚は、ドーハ閣僚宣言においてマンデートされた2005年1月1日までに幅広く均整のとれた一括合意に達することを目標とし、カンクンにおいてよい結果を確保するために緊密に協力することを合意した。カンクンへの準備として、ASEM参加国は、すべてのWTO加盟国に対し、前向きに本質的問題の交渉や作業に臨むためにより柔軟性および責任感を示すこと、およびそのことによって、農業および非農産品市場アクセス、TRIPSおよび公衆衛生、特別かつ異なる扱い(S&D)、実施、紛争解決了解、環境、地理的表示(GI)、4つ全てのシンガポール・イシューおよび他の作業プログラムに関する事項に関し、カンクン前およびカンクンにおいて必要な決定を行うことを確保するよう要請した。

11. 閣僚は、ASEM WTO専門家間でのDDAに関する実り多い協議(2003年1月ハノイおよび2003年6月パリ)、および2003年に東京で開催された多角的および地域経済関係に関するASEMシンポジウムに注目した。閣僚は、中国で開催予定の農業協力に関するハイレベル会議の成功に期待を表明した。

12. 閣僚は、今後も引き続きWTO専門家による会合を開催することを決定し、経済調整国に対し、カンクン閣僚会議後、協議プロセスの方向性や見通しを定めるため、ASEM参加国と協議することを課した。

13. 閣僚は、WTOへの普遍的なメンバーシップを支持するとともに、彼らの特定な条件や必要性を適宜考慮しつつ、相互に受入可能な市場アクセス・コミットメントや、WTO規則の遵守を目指し、現在行われているベトナムの加盟交渉を加速すべき点で合意した。

14. ASEM参加国は、カンクン閣僚会議を成功させるべく必要なプロセスを確保することを約した。

経済の柱の見直し

15. 前回のコペンハーゲン会合において、閣僚は、経済調整国に対し、第5回経済閣僚会合における提案を形成するべく、ASEM経済の柱のもとで現在の優先事項および活動の見直しを指示した。閣僚は、第9回SOMTIの経済の柱の見直しに関する勧告(別添1)を承認し、同報告書内にある以下の事実および提案を採択した。

経済の柱の幅広いマンデートおよび目的は、現状においても適当である。
経済の柱のマンデートおよび目的は、より緊密な経済パートなシップに関するタスクフォースの活動と関連しつつ、今後も見直しの対象となりえる。
経済閣僚は本質的な議題があるときは、今後も毎年会合を開く。
貿易と投資に関する高級実務者はEMMの日程にかかわらず毎年会合を持つこととし、会合の大部分を政策議論にあてることとする一方、EMMへの準備および経済の柱のもとにあるすべての活動の進捗および実施状況を監督するという重要な業務も行う。
経済調整国は、ASEM参加国と協議を行い、SOMTIの政策議論または取り進め方の決定に関する案件を指摘するため、より多大な調整的役割を担うこととする。
経済の柱のもと、特定分野の専門家間で継続的対話をもつ機会をつくりだした功績は、長期的価値のあるものである。このような対話は、注意深く定義され期間を限定されたプロジェクトに焦点をあてて維持される。プロジェクトの推進者(facilitator)は、毎年SOMTIの少なくとも一ヶ月前には書面をもって貿易と投資に関する高級実務者に報告を出すこととし、また提出し、また、経済閣僚に対し進捗状況を常に報告を行うこととする。


16. 閣僚は、また、貿易円滑化行動計画(TFAP)実施、投資およびWTOに関する今後のASEM活動、およびビジネス界のさらなる関与に関する勧告を採択した。これらについては、関連する議題のもとで議論が行われ、別添1に含められた。

17. 閣僚は、また、運輸、情報通信技術(ICT)や人材開発(HRD)といった分野を含め、アジア・欧州間の貿易・投資の流れを拡大する努力を補完することができるような他の協力分野があることを認識した。

18. 閣僚は、すべての参加国および関連フォーラムに対し、今後の活動において提案をフォロー・アップすることを奨励し、SOMTIに対し、提案の実施状況を監視し、結果を2004年に開催される第6回経済閣僚会合(EMM6)において報告することを課した。閣僚は、SOMTIのより緊密な経済パートナーシップに関するタスクフォースとの間で提案を共有するとの提言を歓迎し、また経済の柱のもとでの活動および方向性に関し、関係者が更に検討することにより、ASEMが活力および焦点を再び得ると確信した。

TFAPおよびIPAPの活動

19. 閣僚は、TFAP実施状況をレビューした。2002年―2004年のTFAP具体的目標の実現に向けた様々なTFAP優先分野における功績を歓迎した。閣僚は、特にTFAP分野における以下の活動、セミナーおよび会合の成果に留意した。

第8回ASEM基準認証会合(2002年12月10-12日開催、於:ブラッセル(ベルギー))
第2回ASEM電子商取引に関するセミナー(2002年9月23日開催、於:ヘルシンキ(フィンランド))
第2回ASEM TFAP電子商取引担当官会合(2002年9月24日、於: ヘルシンキ(フィンランド))
第26回検疫委員会(2003年4月3日開催、於:ジュネーブ)と関連し開催された検疫に関する非公式会合
参加国のペーパーレス関税手続きおよびリスク・マネージメント等の近代関税技術採用状況につきレビューを行った関税手続きに関するTFAP報告書


20. 閣僚は、第5回ASEM関税局長・長官会議(ソウル)、ASEM手続作業部会、第3回ASEM官民対話(ジャカルタ)を含むTFAP議題に関する今後のASEM会合の成功を期待した。関税ビジネス・セミナーは、TFAP関税分野の特定の目標に直接対応したものである。閣僚は、近く行われるセミナーおよび過去2回のセミナーに対するアジア開発銀行(ADB)の寛大な支援に対し謝意を表した。

21. 閣僚は、過去のASEMのIPAP活動がアジア、欧州双方の投資の枠組みに関する相互理解を向上を進めたことを認識した。ASEM参加国間の投資活動を増大させることが引き続き重要であり、また焦点が絞られた野心的枠組みが必要であることを認識し、閣僚は、将来の投資関連活動に関するSOMTI勧告を承認し、情報コンタクトポイント(ICP)の推進役(sheperds)に対し、来年、新規枠組みにおいて行われる活動を調整するよう要請した。

22. ASEM参加国の経済規模および両地域の多大な補完性を考慮し、閣僚は、貿易および投資促進におけるさらに具体的な結果が達成できることを予測した。これに関連し、閣僚は、TFAP優先分野のファシリテーター(facilitators)は、進捗状況の概要、新たな提案、計画される次の段階、およびSOMTIに要請する指導を含む担当分野の進捗状況報告書をSOMTIに対し、2004年5月までに提出するべきであると決定した。閣僚は、また、経済調整国に対し、それら報告書を、ASEMの文脈で今後考えられる他の経済的協力が可能な潜在的分野とともに貿易と投資の円滑化に関連するセクターから出されるASEM参加国の提案を検討するよう求めた。この検討において鍵となる要件は、ASEM参加国が個々のプロジェクトに対し責任をもつことができること、および現在の活動との間に生まれうる格差を埋める可能性があることである。検討結果は次回SOMTIで承認を受け、EMM6で採択されるべく、提出される。

より緊密な経済関係に関するASEMタスクフォース

23. 閣僚は、より緊密な経済パートナーシップに関するASEMタスクフォースが2003年5月6日にスペインのマドリッドにおいて第一回会合を開始したことを歓迎した。閣僚はタスクフォースからの出席者との間で、ASEMの経済の柱に関する意見交換を非公式に行った。タスクフォースが2004年に首脳に対し勧告を提出する予定であることに留意し、閣僚は、全参加国に対し、ASEM5に向けて必要に応じ、タスクフォースにインプットを与えるよう要請した。

ビジネスとの交流

24. 第8回AEBF代表者は、閣僚に対し、2003年秋に韓国で開催予定の第8回AEBFの準備状況とともに第7回AEBFで出された勧告につき説明を行った。閣僚は、第7回AEBFで出された勧告につき議論し、いくつかのASEMフォーラム、特にSOMTIおよびIEGにおいて、AEBFの勧告につきとりあげた努力を歓迎した。

25. 閣僚は、ビジネス界がASEM活動のすべてのレベルにおいてより継続して関わることを奨励し、また経済の柱のもとでのプロジェクトの選定に際し、ASEM優先目的に対するビジネス界の考えを重視されるべきことを奨励した。閣僚は、このような要請に対応し、アジア欧州ハイレベル経済フォーラムが2003年7月22日に大連にて成功裡に開催されたことに留意した。

次回会合

26. 閣僚は、第6回経済閣僚会合(EMM6)を2004年9月16~17日、オランダ・ロッテルダムにて開催することにつき合意した。閣僚はまた、EMM5の結果を2004年ベトナム・ハノイにて開催される第5回アジア欧州会合にて報告することにつき同意した。

27. 閣僚は、経済調整国が、閣僚レベルで、より機能的なEMM6のための新たなアプローチを提案する責任を持つべきことに合意し、全ての閣僚が2003年12月末までに、それぞれの経済調整国に対してアイディアを提供することを約束した。


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