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人の交流と人材養成に関するASEAN+3有識者
第一回会合の結果について


2003年5月7日


 外務省主催により、標記会合が、5月6,7日、東京で開催された。ASEAN+3から有識者、政府、学界関係者等が出席して活発な意見交換が行われた。概要以下の通り。


1.経緯

 本会合は、2002年10月のASEAN+3首脳会議にて、小泉総理より提案して発足したものである。ASEAN+3各国政府より指名された有識者が参加した。(参加者リスト別添。)


2.共同議長

 会合初日、團野廣一 三菱総合研究所顧問・日本経団連貿易投資委員会総合政策部会長、カロリーナ・ヘルナンデス フィリピン戦略開発研究所所長を共同議長に選出した。


3.議論の概要

 会合では人の交流と人材養成を更に活発化すべきことにつき意見の一致が見られ、具体的方策として別紙の通りの意見が出された。
 今後とも意見交換を行い、具体的な行動計画を含む提言をまとめていく作業を継続することで合意した。


4.今後の予定

 7月3、4日にジャカルタで第二回会合を、8月29、30日に第三回会合(場所は未定)を開催して、報告書を取りまとめ、2003年10月に開催されるASEAN+3首脳会議に報告書を提出する予定である。




(別紙) 議論の概要


(1) 基本的認識

(イ) 人材養成はASEAN+3が取り組むべき重要な課題であり、ASEAN+3地域の人材育成は、同地域の経済を活性化させることにも繋がる。
人の交流(留学・研修等)を進めることは、人材養成に有益である。逆に人材養成を進めることで、留学、外国での就職をし易くする面もある。

(ロ) 下記の分野を含む各種交流を一層活発にすると同時に、人の交流を通じたアジア地域のコミュニティー意識の熟成を図るべきである。

(a) 政府当局

(b) シビル・ソサエティー(NGO)

(c) ビジネス、企業
●ノウハウの移転。
●経済成長に資する人材交流。
●労働力の供給の不足している国への労働力提供。
●ASEANにおけるR&D能力の構築
●若手企業家の交流。

(d) 学生、研究者

(e) シンクタンク

(f) 観光

(g) 文化、芸術

(h) マスコミ

(i) 国際協力

(ハ) 特に人口構成が急激に変化している国にとっては、外国人の移動を様々な観点から検討すべき。

老人人口の増加 → 介護サービスへの労働力提供。
青少年人口の減少 → 外国人学生の流入はビジネス・チャンス。

(2) 具体的な方策案

(イ) 人材養成のため、下記を含む様々な方策を講じるべき。
(ASEAN+3地域から米、豪、欧州には多数の学生が留学しているのに比較して、ASEAN+3域内の留学は低調であるので、右を活発にしていく措置を検討すべきとの指摘あり。)

(a) AFS、フルブライト・プログラム、日本の文部省国費留学生制度、JICA、KOICAなどのプログラムを賞賛。更なる拡充を期待。他国による同種プログラムの開始。

(b) 外国人労働者を招待し生産現場で研修する制度の活用(日本(JITCO)と韓国にある制度。)

(c) Eラーニングを使っての遠隔地教育、オープン・カレッジ(但しEラーニングは対面の教育には及ばないとの指摘もあり。)

(d) 生涯教育

(e) 大学の単位の相互承認

(f) ASEAN+3の大学ネットワークの構築(ASEANの大学ネットワークも存在しているが、あまりうまく活動していないとの指摘あり)

(g) ASEAN+3の図書館のネットワークの構築

(h) MBAプログラムでの協力(共同の学位創設)(Asian Institute for Managementという試み等がASEANでもなされている由。)

(i) 姉妹校関係の増進

(j) 効果的な教育実施のためには英語での教育実施が必要。(日本への留学は、学生の出身が漢字圏(中、韓)か非漢字圏(ASEAN)かで、難易に差が出ている。)但し、真に相互理解を達成するためには、現地語の習得が必要な点にも要留意。

(k) 外国人教授が各国に滞在しやすいように、諸般の制約を取り外すべきである(当該国に留まっていないといけない等の制約を取り外すべき。)。

(l) 外国人留学生が相手国に留学している間、暮らしやすい環境の整備(アルバイトを認める等)

(m) 男女の機会均等の確保。

(n) 文化系学生の就職が難しくなっていることから、文化系と理科系の教育を合体させる等の工夫を講じる。

(ロ) 人の交流促進のためは、下記の作業、議論が行われているが、今後引き続きそのような努力を行うべきである。

(a) マルチの取り組みであるWTOサービス交渉への取り組み
●企業内転勤、契約に基づく熟練労働の移動の容易化等の自由化

(b) 入国関連法令、手続きの透明性向上

(c) 入国手続きの簡素化
●APECビジネス・トラベル・カード

(d) 二国間経済連携協定の中での人の移動の取り組み(日シンガポール経済連携協定)
(二国間で、労働力移動に関するアレンジを行うことは一案かもしれない。但し、このような二国間協定は、締約国の競争条件に影響を及ぼす可能性がある。)

(e) 資格の相互承認(APECエンジニア等)。仕事の練達度に関する標準を作る。但し、資格の有無だけで雇用が決定される訳ではない点要注意。

(f) 社会保障合意。マレイシア・シンガポールの例は研究されるべき。

(g) ワーキング・ホリデー

(h) 日本のアジアEラーニング・イニシャチブ(ITエンジニア研修と、日本への入国容易化の組み合わせ施策)

(i) 人の交流とともに、知識、文化の交流が行われる事が重要。国際交流基金、Korean Foundation等のフェローシップなどのプログラムの強化。他国による同種プログラムの開始を期待。

(ハ) 更なるコミュニティ意識醸成のための措置

(a) プロフェッショナル・サービスに携わる者達のアソシエーションの設立(教育者、法律家、医者、リスクの高い職業等)

(b) 東アジアの諸国が共同で、海外青年協力隊を作り、経済協力、災害復興支援等を行う。

(c) ASEAN+3の文化面での相互理解を一層推進するための諸施設設置、諸イベント(含む、シンポジウム、キャンプ)実施。

(d) 東アジアのコミュニティー意識涵養のためマスコミによる諸キャンペーンの実施。

(ニ) 財政問題については、人材養成・人の交流を促進するためにASEAN+3で基金を創設することを検討すべき。(これに対しては、新たな資金源を見つけることは容易ではないとのコメントもあり。)

(ホ) 下記の問題への対処の重要性も指摘された。

(a) 頭脳流出:労働力を当該国に惹き付けるための総合的、包括的な施策が必要。

(b) 人の移動に絡む犯罪への効果的対応(ASEAN+3協力の可能性)
●偽造旅券防止のための新技術活用
●大学入学資格証明書の不法売買防止
●不法滞在防止への取り組み

(c) 安全保障、健康保持と国境通過簡素化との兼ね合い

(d) 非熟練労働者への対応



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