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ハミード・カルザイ・
アフガニスタン移行政権大統領の演説 (仮訳)


アフガニスタン「平和の定着」東京会議
兵士の武装解除、動員解除、社会復帰

平成15年2月22日

(英語版はこちら)

 最も慈悲深く最も情け深い神の御名において

 ご列席の皆さま、
 まず、日本国政府と日本国民の皆さまに対し、我々の国の再建を支援するために国際社会の取り組みの先頭に立って頂いていることに深い感謝を申し上げます。歴史的な意味をもつ東京会議の1年後に、このような会議を開催して頂くことは、アフガニスタンの平和、安定および繁栄を強化するための、日本の永続的なコミットメントの更なるもう一つの例です。

 一年前、アフガニスタンは文字通りゼロから出発し、責任ある政府と自由な社会という数多くの成果を達成してきました。政府機関の構築のプロセスは、大きなモメンタムをかち得て、本年はより大きな進展のための舞台ができました。昨年の夏、アフガニスタン国民は、緊急ロヤ・ジェルガという国民大会議を開催することにより、民主主義、自由および法治のためのコンセンサスを表明しました。ロヤ・ジェルガの会期中、数百の出席者から、治安、平和、国家の結束、復興、民主主義およびよい統治への意見と熱望が述べられました。彼らの主要な要望は、持続可能な平和と繁栄のために最も基本的な条件である治安でした。治安を維持するための実際の鍵は、元兵士を動員解除する包括的な事業と対をなして、国軍と国家警察を構築することにあります。我々の国防評議会は、新たな軍隊と規模、構成および訓練並びに武装集団の動員解除について合意に達しました。

 皆さま、
 この会議の焦点は、我々の中心的な国家的課題です。兵士と士官の武装解除、動員解除および社会復帰を達成することは、戦争と暴力から平和的、安全で市民のための社会への移行意向を熱望しているアフガニスタン国民の強い念願に応えることでもあります。DDR(兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)は、何年にもわたり、危険で不確実な人生を送った後に、故郷に帰り、平和の回復によって提供される目標のある人生の機会を享受したいと切望する大多数の兵士や士官の念願に応えることでもあるのです。動員解除は、新たな治安部隊を構築するという我々の取り組みの成功の鍵となる要素でもあります。私が2002年12月1日に発表した国軍に関する大統領令に記述されているとおり、わが政府は、兵士と士官が7万人以内という小規模で機動力があり、よく訓練され良質の装備を備えた軍隊を創設するという戦略を選択しました。新たなアフガニスタン国軍と警察が、これまでの多様な武装編隊にとって代わるでしょう。それら武装編隊を構成する兵士と士官に名誉ある生計の選択を提示することによって、我々は、新たにプロの国軍と国家警察を構築するプロセスを促進する予定です。新たな警察もまた、現在、内務省に報告されている人的資源の一部を占めるに過ぎません。動員解除と社会復帰のプロセスは、国防・治安の部隊の改革と専門化のプロセスの成功の鍵となるでしょう。DDR(兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)は、アフガニスタンの治安、法治および人権の完全なる行使を回復するという我々の取り組みの不可欠な一部です。その成功は、経済・社会の再建のための状況を改善し、2004年の自由で公正な選挙の実施を支える治安環境を提供します。

 過去数十年にわたり、数十万人のアフガニスタン人が、故国防衛に加わり、外国の侵略とテロリズムから防いできました。この過程のなかで、多くの者が桁外れの犠牲を払いました。アフガニスタンは、そのような犠牲に対して膨大な謝意をもって応じる義務があり、我が国を再建する中でこの義務を忘れることはないでしょう。我々は、犠牲者が祖国とその文化を救うために行った貢献に謝意を払い、彼らの犠牲を認めるための方法を模索しようとしています。DDR計画はしかし、すべての元兵士に、補償を提供するものではありません。我々はDDRを極めて限定された活動であると位置づけています。我々の目標は国内全土の武装集団が市民社会に自発的に名誉ある復帰の選択ができるようにすることです。そのために、我々は国際社会の支援のもと、ムジャヒディンに魅力的な機会を、そして彼らが帰還する地域社会に彼らを受け入れる誘因をそれぞれ与えるために、政権の力を結集したいのです。では、我々がこのプロセスを成功裏に進めるために今まで取ってきた手段、そしてこれから行おうとしている試みを簡単に紹介させて頂きます。

 我々は、非軍事化はすべての集団を含むものであって、特定集団だけが選ばれて実施されることがないことを確保したいと思います。我々は、DDRが公平に実施され、ある集団に利益を与え、他の集団に対して不利益になることのないことを標記するメカニズムを作る予定です。我々は、DDRのプロセスに関係する機関・組織が、アフガニスタン社会の多様性を反映したものになることを確保したいと考えています。これは、新たな国軍の創設とDDRプロセスを監督する国防評議会にも適用されます。また、これはDDRの実施に直接責任のある武装解除委員会と動員解除・社会復帰委員会の二つの委員会にも当てはまるものです。そして、最後に、国防省自身にも当てはまるものです。昨年12月1日の大統領令に基づいて、ファヒーム国防大臣は、組織の効率性および民族代表性を高めた上で組織をスリム化するという考えの下に、国防省を改革するための計画を完了する過程にあります。数日前、15人の新しい将軍が国防省の重要ポストに任命されましたが、これは、我々の目標に沿った第一歩です。同様に、武装解除委員会と社会復帰委員会によって起草された委員会の所掌事務は、透明性、説明責任の原則を重視し、DDR計画の全国家的特徴が、アフガニスタン国民の信頼を増築させるよう意図されています。

 DDR計画の実施に当たり、国際社会の経験を活用し、国際社会と強固なパートナーシップを構築することを強く望んでいます。また、昨年12月の大統領令によって創設が決まったDDR諮問委員会が設立されました。この諮問委員会には、アフガニスタン側からは国防省、外務省、財務省、内務省、大統領安全保障顧問並びに国軍およびDDRに責任を有する国防評議会議長が参加し、国際社会からは国連、日本、米国、英国およびドイツがともに参加します。この討議の場が、関係者間の継続的な対話と調整の促進を提供するでしょう。

 私は、アフガニスタンの新年である3月21日に、DDRプログラム発足の日を発表する予定です。発足までの数週間、我々は大変な仕事をしなければならない。我々の戦略は、DDRを段階的に実施するとの方法を採用することです。第一に、幾つかの地域または州でプログラムを開始し、得られた成功をもとにして、新たな地域で活動を拡大し、仕事が終了するまで続けます。武装解除の第1段階は、1年以内に終了すべきと考えています。

 今後4週間、次の重要な分野で準備を終える予定です。
 まず、社会復帰への選択肢を作ります。自発的な除隊という方針の下、武装集団に対して魅力的な社会復帰計画のパッケージを提供するというのが我々の主な手段です。社会復帰委員会は、その選択肢が効果的かつタイムリーであること、およびその内容が昨年採択された国家開発フレームワークと合致していることを確保するために、復興省、教育省、農村開発・都市開発省、農業省、公共事業省および国防省からのインプットを調整する役割を与えられています。我々が検討している選択肢は、職業訓練、貸付制度、公共事業による職の提供、土地の提供、一時金、地域開発計画そして、開発計画およびこれら(権利の)引換券の給付などです。

 除隊計画と社会復帰計画を全国規模で実施するために、日本政府、アメリカ政府、国連と協議し、アフガニスタン新生プログラム(ANBP)と呼ばれる新たなプログラムを創設することを決定しました。ANBPは、川口外務大臣による助言に基づくものです。数ヶ月前に川口大臣がカブールを訪問した際、川口大臣は、元兵士たちに対して「平和のための登録」を呼びかけました。この計画は兵士や士官の技能、背景、希望などを考慮して彼らの出身地で社会復帰への選択肢を適合させることにあります。

 私の政府は、DDRの完全な実施を約束いたします。そして国際的なパートナー、特に日本と国連に対して、この計画の実施のための、継続的な協力に対して深く感謝いたします。また、米国、英国、カナダもこの取り組みの弛まぬ支援者です。本日、国際社会の支援と日本政府のリーダーシップが、平和で繁栄したアフガニスタンを造るための我々の計画をさらに強調するために、幅広いパートナーシップに参加するよう友人たちを勇気付けることを希望します。


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