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ODAを活用した紛争後の国家復興への支援


平成15年10月


 アフガニスタンでは、内戦により経済・社会インフラ、統治の基本システムが破壊され、財政基盤もいまだ未整備です。治安はカブールに展開するISAF(国際治安支援部隊)、米軍等により保たれていますが、依然地方には軍閥が割拠し、アフガニスタン国軍、文民警察は再建の途上にあり、決して安定的であるとは言えません。このような問題を抱えるポスト・コンフリクト(紛争後)国家の復興を効果的に支援するためには、従来型の復旧・復興支援だけでなく、その前提となる治安や和平プロセスに対する支援をも含めた、新しい発想に基づく包括的な支援が求められます。この要請に応えるべく、日本がアフガニスタン復興支援において打ち出した支援策として、元兵士の動員解除・社会復帰支援、移行政権への行政経費支援、そしてカンダハル・カブール間・幹線道路整備プロジェクトがあります。


(1) 元兵士の動員解除・社会復帰支援

 和平プロセスが進展しつつある現在も、アフガニスタンには数十万人にのぼる兵士がいるといわれています。このような地域においては、治安を維持すると共に、人々が武器を取る必要のない環境を整備し、紛争の再発を防止することが必要です。
 そのためには、この様な兵士の武装解除、動員解除と社会復帰(以下DDR)を進める必要があります。更に、単に元兵士に新しい働き口を探すだけではなく、新しく国軍を建設し、地方に展開する軍人を一方で新国軍の下に集め、もう一方で多くの軍人達が安心して武器を供出し、新しい国造りに携わるという、「銃から鍬へ」の秩序の変革が求められます。また、アフガニスタンにおけるDDRは、自身の国家に対するアフガン国民の信頼を回復し、来年6月に予定されている公正な総選挙を成功裡に実施し、アフガニスタンの安定と復興を実現するために必要不可欠なプロセスです。
 昨年5月、アフガニスタンを訪問した川口大臣は「Register for Peace(平和のための登録)」構想、即ち、平和的な生活を送ることを決意した除隊兵士を登録し、職業訓練や雇用促進などの社会復帰支援を行う平和構築プログラムを提案しました。これを具体化すべく、日本は国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)と共に「アフガニスタン新生計画(以下ANBP)」を策定。本年2月22日には、「アフガニスタン「平和の定着」東京会議」を開催し、アフガニスタン移行政権より元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰プロセスの進展に向けた強い意志と明確な方針の表明を受けると共に、国際社会より総額約5000万ドルの支援(日本は3500万ドルを拠出)を得ました。
 現在、日本とUNAMA、更に移行政権の間でDDR実施体制について大詰めの議論を行っており、10月中にも、実際のDDRプロセスが開始される見込みです。日本がDDRにつき構想を提示し、主体的にプログラムを策定・実施していくのは初めてのことであり、日本のリーダーシップはアフガニスタン移行政権や関係各国から大きな支持を受けています。現在、日本は外交交渉と非軍事部門での支援を通じ、武装解除を含むDDRプロセスの推進に取り組んでおり、今後は、職業訓練の実施、公共事業等の支援プロジェクトを通じた元兵士の雇用機会創出についても積極的な支援を展開していく予定です。

(2) 移行政権の行政経費支援

 昨年6月の緊急ロヤ・ジェルガ(国民大会議)により移行政権が成立したものの、公務員の給料を中心とした行政経費の不足という深刻な問題が発生し、政権は立ち上がりから困難にぶつかりました。そもそもアフガニスタンは税収構造が極めて脆弱で、一部の関税収入は確保されているものの、基本的な税制(所得税、法人税、間接税等)に基づく徴収は事実上なされていません。
 これまでの日本のODA政策では、途上国政府の行政経費支援は、自助努力支援の原則に反する、日本の顔が見えにくい等の理由で原則として実施してきませんでした。しかし、特に米国同時多発テロ以降、国際社会が一致して紛争を終結に導き、その後の国造りにおいて、新政権を存続させるために政権の行政経費を連帯して支援するという動きが出てきました。
 このような状況を踏まえ、日本としても、アフガニスタン移行政権に対する国際社会の支持、同政権による自己財源確保のための自助努力、支援の対象期間、透明性確保のための措置等を勘案した上で、緊急ロヤ・ジェルガ支援として270万ドル、移行政権の行政経費として500万ドルを供与しました。また、移行政権が策定している国家開発フレームワークの実施に必要な資機材購入のため60億円の資金を供与することを発表しています。

(3) カンダハル・カブール間・幹線道路整備プロジェクト

 アフガニスタンでは、長い戦禍によって道路、電力、通信、水道などの経済・社会基盤が破壊されました。まさに「ゼロからの出発」(カルザイ議長)なのです。目に見える支援の実施、そして経済活性化の基盤作りという観点から、移行政権は当初から幹線道路整備の重要性を強く主張していました。

 昨年9月、国連総会の場において、小泉総理、ブッシュ米大統領及びサウード・サウディアラビア外相が共同で、カブール・カンダハル・ヘラートを結ぶ幹線道路整備に関する声明を発出しました。日本は、この大規模プロジェクトの第一歩として、昨年来カンダハル市街地で補修工事を実施し、本年1月よりカブールに向けた市郊外での補修工事を開始しています。

 幹線道路の整備は、厳しい冬を迎えるアフガニスタンの人々を勇気づけ、カルザイ移行政権を下支えする、国際社会からの「目に見える」支援として、極めて早急に実施する必要があり、日本は、ODAの各種スキームを複数活用することにより早期の完工を目指し、工事を進めていきます。




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