外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 各国・地域情勢 アジア
アジア
世界地図
アジア 北米 中南米 欧州(NIS諸国を含む) 大洋州 中東 アフリカ

ACD「環境教育」推進対話
~「国連持続可能な開発のための教育の10年」に向けて~
議長総括(仮訳)


2004年6月8日
於:東京

英語版はこちら


<序文>
  1. 本件会合は、政府関係者、専門家、教育関係者、NGO関係者や国際機関の代表者に対し、環境教育に関する率直な意見や情報の交換を行う機会を提供することを目的に、我が国が2003年6月にタイにおいてACDのプライム・ムーバー・プロジェクト(脚注)として提案したことに基づき開催されたものである。

  2. 2002年にヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議における小泉総理の提案に基づき、同年12月、国連総会は2005年-2014年を国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD)と宣言した。世界中の政府が今、持続可能な開発のための教育を各々の教育戦略及び行動計画の中に盛り込むよう求められている。このように、今回の会合はUNDESDに向けたプロセスの一環として開催された。

  3. アジア16カ国から、本国政府及び大使館関係者、地方自治体、NGO、研究者、民間企業の他、関連する国際機関の代表者が出席した。開会式では阿部正俊外務副大臣、加藤修一環境副大臣、馳浩文部科学大臣政務官が挨拶を行った。

  4. 本件会合では、環境教育に関する国やコミュニティーの報告の他、国際機関、NGO、民間企業の活動が報告された。また、活発で中味の濃い議論が行われ、参加者は本件対話がUNDESDの開始に向けた重要なプロセスであるとの認識を示した。

(注) プライム・ムーバー・プロジェクトとは1国(または複数国)がプロジェクトを主導し、参加の意思と用意のある国が参加するプロジェクト。

*この議長総括は、議長である小西正樹外務省地球環境問題担当大使の責任で作成されたもの。


<視察内容>

 本件会合は武蔵野市クリーンセンターの訪問から開始され、先ず、地域コミュニティーの環境教育への取組が紹介された。また、アジアにおけるNGOによる環境教育に関する報告が学術機関から行われた。政府代表者は各々の国における環境教育の現状について報告し、国際機関の代表者はUNDESDの実施に関するプレゼンテーションを行い、NGO関係者はその様々な活動を説明した。更に、民間企業における環境教育に関する報告も行われた。参加者は武蔵野市の歓迎に謝意を表明した。


<討議内容>
  1. 環境教育に関する基本的概念や考え方につき、参加者から以下の発言があった。

    (1) 環境保全は、社会開発、経済開発と共に持続可能な開発の3つの支柱の1つであり、環境教育が持続可能な開発にとり極めて重要である。

    (2) 環境教育は、人間と自然の関係、人とその身近な環境との関係を全体的な視野から理解することを目指すべきであり、地域社会に根ざしたアプローチが益々重要な役割を果たし得る。

    (3) 環境教育の第一歩として、持続不可能な消費・生産パターンにより深刻な環境悪化がもたらされていること、3R(廃棄物削減(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle))を通じてこのようなライフ・スタイルを変更する必要があることを認識すべきである。

    (4) 自然への畏敬、自然と調和した人間の生活というアジアの伝統が教育プロセスに反映されるべきである。

    (5) オーナーシップとコミットメントの意識を消費者、生産者、教育者、行政官、立法者、政治家などあらゆる職域の全ての年代の人々の心の中に、芽生えさせ、かつ、強化させるべきである。

    (6) 環境教育は、国又は地域社会の異なる状況を考慮に入れ、それぞれ独自のものとすべきである。

  2. オーナーシップとコミットメントの意識を高めると共に理解や認識を深めるための様々な活動に関して、参加者は特に以下の点を強調した。

    (1) 公式な教育と非公式な教育。フィールドでの経験などの学校外教育を含む公式な教育。非公式な教育は中央や地方の政府とのパートナーシップを通じより効果的に行われるが、これは遠隔地教育や企業内での労働者に対する環境教育を含む。

    (2) 環境教育の教師も対象に加えた能力開発と訓練。

    (3) セミナー、展示、コンテスト、「環境の日」等、様々な方法による意識向上キャンペーン。

    (4) 顕著な功績に対する授賞などの社会的支援や理解、NGOの活動及び役割に対する理解。この関連でNGOの長所と短所が分析され、NGOの強化のための提案がなされた。

    (5) 地方政府の役割が重要であることの認識、地方政府が地域社会レベルで環境教育を促進するための能力向上。

  3. 環境教育のための制度的枠組みに関して、参加者は以下の手段の重要性を指摘した。

    (1) 現状調査と優先順位に基づいた国家戦略及び行動計画の策定。国際機関、特にユネスコは、各国がこのような計画を特定のタイムテーブルに従って策定することを支援する際に重要な役割を有する。また、この策定において、NGOなどのステークホルダーの見解が十分に留意されるべきである。

    (2) 政府が更なる取組を行うよう要請し、また、環境にやさしい行動を行う人々がその努力を強化するよう奨励するための、活動のモニタリング(可能であれば数値評価)や評価。

    (3) 情報、特に客観的データ及び知識の交換と普及、並びに良い事例の共有。

    (4) 可能な限り広範な参加を得るための、パートナーシップ及びネットワークの形成。

    (5) 情報を収集・普及し、また国内の活動を調整するための、国レベルでの政府又は民間窓口の設置。

  4. 国際及び地域協力は以下を目指すべきであるとの見解が参加者より表明された。

    (1) 窓口の設置。これに関し、情報の蓄積や交換のためのセンター、運営委員会、アジア環境教育センターなどのアイデアが提案された。

    (2) 情報、経験及び知識の交換のためのネットワーク形成。既存のネットワークやインターネット通信を最大限活用すべきである。

    (3) 地域のワークショップや会合の開催。

    (4) 万人のための教育(EFA)や国連識字の10年(UNLD)など、現在行われている他の国際的努力との調整。

  5. 持続可能な開発のための教育(ESD)に関して、参加者は、ESDが未だ形成段階にあり、既存の教育プログラムに新たな方向付けをするためにはESDを実施可能な形で策定する必要があることを指摘した。これに関して、本件会合の参加者が地域協力の核となり、来るUNDESDに向けて協働するよう期待が表明された。本件会合の際に、今後の連絡のためにE-mailを含む住所、組織、名前からなる参加者リストが纏められた。


目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省