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韓、日、中の正しい関係と青年の役割


韓国延世大学 李孝貞


 大陸と半島と島は繋がっている。中国、韓国、日本がそうだ。東北アジアに位置している三国は一つの文化圏として相互に影響を与え合っている。国際化が進めば進むほど、むしろ三国の関係は密接になる。時空を超えて広く交流する現代には合わないことだと反駁する人もいるだろう。現に、物理的な障壁を乗り越える国際化を併行して、それと矛盾するように、地政学的な連係を強化する地域化が進行している。また、東北アジアには地域主義に関する本格的な準備ができていないのが実態である。変化に能動的に適応するため韓、日、中の関係を再定立し変革を遂げるべき時である。これから韓、日、中の正しい関係形成とそのための青年の役割について考察してみる。
 大ざっぱに言えば、正しい関係は、歴史面、経済面、文化面に分けて考えられる。
 まず、二十世紀の歴史の経験が残っていて相互に不信を感じる傾向があるので、過去の歴史を精算して旧時代の偏見を捨て、同伴者意識を持つ必要がある。戦争と植民地の記憶は過去のことなので、現在の問題の決定に際し、それを妨害要素として置くべきではない。三国は今だに過ぎてしまったことを繰り返し考えているのである。しかし、歴史は変わらないのであるから、無駄な苦しみであると言えるだろう。偏見を捨てて相手と向き合えれば現在や未来に対して肯定的な働きをするはずだ。例えば、EU結成はフランスとドイツの歴史的な反目が実質利益のため克服されたことによって、可能になった。そこに韓、日、中が注目する必要がある。フランスとドイツの間の不和を鎮めるように努力した中間者がベネルクス三国である。今その三国がEUを主導している。日本と中国は今でもアジアの政治的な主導権の争奪戦をしている。韓国は日本と中国、その二つの強国の間に挟まっている国ではない。日、中の仲介者の役割を果たす時が来たのだ。
 次に、経済的な面で、韓、日、中は地域間連携を通じて相互補完的な緩衝市場の役割を果たし、発展可能である。間をおかずに協力体系を具体的に構築する必要がある。三国の特徴を比較してみると、協力が大切になったように感じられる。韓国は三十年間に渡って高度成長した経験と技術を持っている。日本は世界一流の技術と資本力を持つ先進国だ。中国は巨大な市場と無限に発展できる可能性を持つ発展途上国だ。今まで韓、日、中は貿易相手として、隣接している国よりアメリカを重視していたので、アメリカとの関係によって経済に決定的な影響を受けた。韓国は市場としての中国と技術としての日本、その両国に経済的な面でも比重を移すべきだ。
 最後に、漢字文化圏という重要な共通点で韓、日、中は繋がっている。ところが韓国は最近まで日本の文化を歴史的な微妙な関係によって一切禁止してきた。今年のワールドカップをきっかけに解禁したのだが、それが部分的であったのには失望を禁じ得ない。一部の文化の交流で満足してはいけない。漢字を共有することを生かして文化の全面開放、積極的な交流をし、東北アジアの文化を形成する。なぜなら、文化交流はお互いの利益になるのみならず恵みになる機会に違いないからだ。他国の文化を受け入れてプラスになるように活用するのが国々の課題だ。それに、今、前述した危機感とは違って韓、日、中は自国の自負心と特徴を守りながら相互の文化を受容し始めたばかりだ。文化的な共感を覚えるようになれば国境を超えた文化圏になれるだろう。一時的、表面的な結託だけである政治的、経済的な協力とは異なった、文化圏を形成することは文化に限らず政治、経済、あらゆる分野にも肯定的な影響を与えることができる。それで、韓、日、中の関係は文化交流に基づくことが大事だ。
 三国が手をたずさえて前進するために青年はどのような役割を果たすべきか考えてみる。
 最初に、旧世代に比べて、若者は戦争や植民地などの時代の記憶がないし考えが柔軟なので、韓、日、中の新たな関係創造にリーダーになれる。むろん、若者の柔軟性は各国の教育の内容や社会の思考方式によって程度に違いがあるはずだ。だが、戦争前後の時代を経験した世代よりバランスが取れた考え方を持っている若者の方が三国の関係形成に関して公平に判断し前向きに進める。それに、政府次元の努力が民間次元の努力を伴わないと決定的な要素が抜け、有名無実になってしまう。若者が主導し、下から雰囲気を作るという点に注目が集まる。
 次に、刻々と変化する市場に能動的に適応する経済人として若者が責任を負う。確かに現在まで三国の経済を引っ張ってきたのは旧世代だった。しかし、旧世代が変化に迅速に対応しているかについては危機感に満ちた声がある。韓、日、中の若者は地域内貿易が相互補完できる理想の下に市場の転換に対応する必要がある。韓、日、中の三国が東北アジア地域圏になったと実感ができる現在、若者に何を要求しているのか。協力の必要性を改めて感じ、そのための資質を養うことだろう。資質としては東北アジアに関する進歩的な考え方を初め、理解力、意思疎通力などが例として挙げられる。
 最後に、文化交流こそ青年の柔軟性が高い評価を得る機会である。若い人ほど言語、生活習慣、考え方など他の文化との交流が含む違いをあるがままに受け取れるだろう。韓、日、中の若者が多様性を認める寛容性を持っていれば三国の未来は明るい。文化が疎通できるのは政府や企業の政策のように計画通り順調には行かないことだ。だが、青年が文化の様々の差異を認め、対話しようとすれば、東北アジアが一つの大きい文化圏に発展できるに違いない。今まで色々な欧米文化が入って来たが、東北アジアではその影響が表面的である。なじんでいないものを単純に真似するのは欧米文化圏に入りたいためのあがきに過ぎないようである。青年は自分が属しているアジアの文化圏に関心を移すべきだ。
 新しい時代に韓、日、中が協力して、東北アジア地域として調和をはかるためには歴史、経済、文化の変革が必要だ。その変革の成功には三国の新しい世代、青年の役割が決定的である。




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