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記者会見

事務次官会見記録(平成16年11月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(11月29日付)
 ・ 日中首脳会談及び日中韓首脳会談
 ・ ASEAN+3の枠組み
 ・ 自衛隊のイラク派遣期間


・ 事務次官会見記録(11月22日付)
 ・ 日中首脳会談
 ・ 六者協議
 ・ 日ロ首脳会談


・ 事務次官会見記録(11月15日付)
 ・ 日朝実務者協議
 ・ ファイス米国防次官の訪日


・ 事務次官会見記録(11月8日付)
 ・ イラクにおける渡航情報の改訂
 ・ 北朝鮮に対する人道支援に関する予備的モニタリングの実施
 ・ イラクにおける非常事態宣言
 ・ 日朝実務者協議


・ 事務次官会見記録(11月1日付)
 ・ サマーワ情勢
 ・ イラク邦人人質事件




事務次官会見記録 (平成15年111月29日(月) 17:10~ 於:本省会見室)

・日中首脳会談及び日中韓首脳会談

(問)明日、日中首脳会談が温家宝首相との間で開かれることになりましたが、この問題についての日本政府、外務省の立場は、日中韓の首脳会談があるので特に強く要望するというスタンスではなかったように聞いていますが、開かれることになった経緯及び外務省のスタンスについてお聞かせください。

(事務次官)今度のASEAN+3の場における首脳会談は、日中との関係で言えば、元々は日中韓の首脳会談ということで経緯的には考えてきました。これはご承知のとおり、このASEAN+3の機会に日中韓の首脳会談を行うというのは、何年か前にマニラで最初に行われ、これは日本から提案して実現したものですが、そういった経緯もあり、今度のASEAN+3の場における日中韓三カ国の首脳会談は当初から予定していましたので、特段、日中二国間の首脳会談は日本側としては検討していなかったという事情があります。それが、会議の数日前に中国側から申し出があり、日中二国間の首脳会談を行おうではないかということがあり、総理も記者団に対して述べておりますが、やるならやろうではないかということで実現に至ったという状況です。

(問)中国側が会談を申し入れてきた狙いというのはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)私はあまり深く詮索していません。いろいろな機会に首脳が話し合いの機会を持つのは結構なことだと考えるようになった、と考えていればいいのだろうと思います。

(問)総理は、対中ODAについてそろそろ卒業する時期だと述べていますが、次官のお考えはいかがでしょうか。

(事務次官)どの国についても言えることですが、発展途上国が自らの力で成長を遂げていくということは非常に好ましいことであり、その日が来ることを願って我々もODAを供与することが非常に多いわけです。中国に関しても早くODAから卒業することができればいいなと総理が述べられたのは、ごく当たり前のことだろうと思います。以上は一般論です。中国に関して言えば、非常に目覚ましい発展を遂げているわけですから、いつまでも外国からの援助に頼るというようなことにはならない日が来るのだろうと思います。これは中国側においてもそういった認識があるということは、先般の李肇星外交部長の発言からも伺えるところだと思います。

(問)日中韓の首脳会談に関連してですが、従来ASEAN+3の場で行って来ましたが、これに対して独立して開いてはという提案が出ていますが、これに対する日本政府の受け止めというのはいかがでしょうか。

(事務次官)(ご質問のような)日中韓の三カ国首脳会議については、現場で急に出た話のようです。これは三カ国の内の日本以外の国の首脳から出たアイディアだそうです。その点については今後検討していこうということになっています。詳しい背景についてはまだ承知していません。ただ、ASEAN+3という場において日中韓の会談が開かれるに至った経緯というのは、東アジアのいろいろな連携、協力というコンテキストの中で、北東アジアの三カ国の関係を深めていこうということが今まで根底にあったのだろうと思います。そういった北東アジアにおける協力の方向を、ASEAN+3に参加するASEAN諸国も安心して見ているという背景は否定できないものであろうと、私は個人的に思います。例えば東アジア・サミットの今後の実現に向けての方向性の議論についても、やはりASEAN諸国のコンセンサスと言いますか、ASEAN諸国のリーダーシップと、この地域協力に対するASEAN諸国の気持ちといったことについての配慮も必要であるという点は、日中韓、北東アジア三カ国の首脳も一致しているところだろうと思いますので、こういった点も今後共配慮することが望ましいのではないかと私は思います。

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・ASEAN+3の枠組み

(問)ASEAN+3の枠組みを東アジア・サミットという枠にしていこうという考えも出ているようですが、これについて日本としてはどのようにお考えですか。

(事務次官)これは従来から明らかにしているところですが、東アジアについては大きな流れとしていろいろな協力関係が既に始まっています。確か48の協力についての枠組みが既に動いているという状況です。これはASEAN+3を母体として進められてきているところです。そこで、ASEAN+3が東アジア・サミットにどう繋がるかという点については、正に中期的な方向として今話し合いが行われている段階ですので、あまり事を急いではうまくいかないという面もあろうかと思います。特にASEAN諸国の中においてもまだ考え方を整理するに至っていないということは、現実としてご承知のとおりです。アジアであり、特にASEANは、アセアン・ウエイと言われてコンセンサスをベースとするという緩やかな流れの協力というのが伝統的にあります。そういった点での配慮はしていかないと、絵だけ書いても実態が伴わないということにもなりかねないところはあります。しかし、繰り返しになりますが、冒頭述べたとおり既にいろいろな各種の連携、協力は個別の分野で始まっています。したがって、大きな流れとして東アジア地域においていろいろな協力が流れとして進んでいるということを考えれば、いつの段階かで首脳会談が開かれるということは自然に行き着くことではないかと私は思います。そこに至るプロセスにおいて、ほとんどの国がその重要性、意義付け、所謂モダリティについて同じような考え方をするという流れをもう少し作っていく必要があると思います。

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・自衛隊のイラク派遣期間

(問)イラクの関係で、大野防衛庁長官が撤退の一つの目安として、来年12月の多国籍軍任務終了の時期が一つの区切りになるのではないかという発言をされましたが、その後まだ国連の取り組みというのは可能性としてあり得るわけで、そういう意味では若干スタンスが違うのでは思われるのですがいかがですか。

(事務次官)私から長官の発言についてコメントすることはありません。正確な表現振りは忘れましたが、国連安保理決議1546では、多国籍軍の権限の期間として政治プロセスが終了する時までとされており、言わんとするところは正式な憲法が出来、暫定政権ではない政府が樹立される時をもって、安保理決議1546の下における多国籍軍の任務・権限は終了するということであったと思います。来年末に政府が正式にできるだろうという予定を立てているわけです。勿論、物事が安保理決議1546のとおり進むということを国際社会として目指して努力をしているということはこの段階で言えると思います。ただ、現実に予定どおり物事が進むか、その時に国連安全保障理事会がどういう判断をするかということは、今の段階では、私のみならず誰も述べることは出来ないということです。

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事務次官会見記録 (平成16年11月22日(月)17:05~ 於:本省会見室)

・日中首脳会談

(問)今日、日本時間午前中に行われた日中首脳会談ですが、中国の胡錦濤主席が小泉総理の靖国神社参拝問題を取り上げて、靖国神社参拝問題が日中関係の阻害要因の一つになっているという認識を示したということですが、中国側の対応についてはどのように受け止めますか。

(事務次官)靖国神社参拝問題そのものに関しては、中国側の胡錦濤国家主席から考えが述べられ、また小泉総理から自らの考えを自らの言葉で説明されたというやり取りでした。それはそれとして、今度の首脳会談で確認したことは、双方において日中関係が、二国間の関係においても極めて重要な関係であるということ、更には地域、世界においても日中関係というものが非常に重要であるという相互の認識の一致があったことが、やはり重要な点であり、忘れてはならないことだろうと思います。勿論、靖国神社参拝以外にも日中間にはいくつかの問題があることは両首脳も触れられたわけです。小泉総理からは潜水艦の事案、東シナ海の資源開発問題についても触れられました。大事なことはこうした問題について、両国が大局的な観点から問題を解決していこうという大きな認識の一致があるということだろうと思います。ご承知のとおり、経済関係一つを取っても、今年の日中間の貿易というのは1600億ドルにもなろうとする太い大きな関係があります。そういった大きな観点から日中関係をこれからも見ていく必要があるということについて、両国の指導者が今回確認しあったことの意義はあろうかと思います。また、この地域の問題についても、例えば北朝鮮の核問題について、六者協議を通じて外交的、平和的解決を図っていくという立場について、日中間の指導者の間でも意見の一致はありました。因みに、この問題については、日中のみならず、米国、ロシア、韓国といった六者協議の参加国全ての指導者から、同じような認識が表明されたわけですが、日中間においてもその点も一致して連携してこれから対応していこうということで、とても大きな意義があったと思います。

(問)いろいろな問題があって解決に向けてやっていくのはそうなのですが、靖国の問題に関しては、中国側が阻害要因の一つと言っている以上、靖国参拝を止めない限りは解決しないような気がするのですがどうお考えですか。

(事務次官)日本としては、小泉総理は自らの考えを自らの言葉で説明されたという立場があるわけですから、それはそのラインで理解を求めていくということであろうと思います。

(問)潜水艦問題で、総理が再発防止を求めたことに対して、胡錦濤主席からは特に言及はなかったと聞いていますが、その点についてはどうですか。

(事務次官)そういった会談の具体的なやり取りについては、現地におけるブリーフィングでご承知いただきたいと思います。私も同席していたわけではありません。ただ、潜水艦の領海侵犯問題については、ご承知のとおり、まずは北京において武大偉次官から阿南大使に対して遺憾の意の表明がありました。そして町村外務大臣と李肇星外交部長との間でもやり取りがあり、再発防止を含めて中国側から確認されているわけです。今回の首脳会談においても総理から正にそういった経緯を踏まえて指摘をされたということです。会談でのやり取りは、現地でのブリーフィングの記録を読んだだけですので、それから判断する限りですが、会談そのもの自体が一つ一つの問題について、一問一答形式のやり取りをするということではなかったようです。そういったいろいろな諸懸案、問題というのをまとめて、両国間ではいろいろな問題があるけれども、大局的観点からこれについて解決していくべきだということで、両者の間で一致があったということです。そういった表明の中にこの潜水艦の問題も含まれているというのが、我が方の理解であると私は解釈しています。

(問)日中の関係で、総合的な評価というか感想を伺いたいのですが。靖国問題が大きな問題であるということは今回の会談で再確認されたわけですが、その靖国問題が現状のままで日中間の関係改善という大きな道筋の展望が開けたと次官は感じていらっしゃいますか。今後どう取り組むかということも含めてお聞かせください。

(事務次官)二国間、特に日本と中国のような関係は非常に多岐に渡っている、また非常に大きな関係ですから、そこにはいくつかの問題が存在するというのは、いわば当然と言えば当然だろうと思います。今までも、例えば日本と米国の間においてもいろいろな問題がありました。日中関係と日米関係を一緒にするというつもりではありませんが、やはり二国間関係においてはいろいろ複雑な問題が時として存在します。その際にやはり二国間ですから、日本の立場、総理の考えがあります。また相手の考えといったものもあることでしょう。一般論で言えば、日本の立場というものを相手の国が受け入れないからといって、全て日本側がそれに応じるということでは、やはり外交というものは成り立たないと思います。それは我々としての考えというものがあるわけですから、そういった観点から見て、決して容易な問題だと言っているわけではありませんが、これからも理解を求めていくということであろうと思います。

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・六者協議

(問)北朝鮮の核問題ですが、今回六者協議開催ということで、北朝鮮を除いて一致したようですが、メッセージはかなり強く伝わったとお考えですか。

(事務次官)それは推測の領域になります。先般、日朝実務者協議の際にも藪中アジア大洋州局長は金桂冠次官と会談を行い、六者協議の早期開催について強く申し入れ、率直な話し合いをしたわけです。北朝鮮側においては、多分に米国の大統領選挙の結果待ちということもあったかと思います。それを経て、このタイミングで北朝鮮を除く六者協議の参加国全てが早期開催を求める発言を、しかも首脳のレベルで表明しているとことの重みは、北朝鮮においても十分に認識して欲しいと思います。

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・日ロ首脳会談

(問)ロシアのプーチン大統領との首脳会談が行われましたが、どのように評価されてますか。また特に領土問題について現状及び来年の訪日に向けての見通しといったことについてもお聞かせください。

(事務次官)これについては、私自身もう少し時間をいただいて分析したいという感じを有しています。来年初めの訪日ということは、既にこの前からロシア側からも意向の表明があったわけですから、その日程を確定する、具体的な日を決めるということが一つの課題です。同時にその訪日を有意義なものにするための作業もあります。これは、平和条約の問題について前進を図ることが大きな課題ではありますが、勿論それと同時に「行動計画」についての進捗を図っていくということもあります。今回、具体的な日付に関してはロシア側から今の段階で提案する具体的な案は持っていないということでした。その背景にロシア側においてどんな考えがあるかということは、私の口から申し上げるのは些かどうかと思いますが、それはいろいろな読み方ができると思います。ロシア側から見ても、現実的に対応しなければならない国内世論の問題もあるかもしれません。ただ、日本政府の立場は四島の帰属の問題を解決して、平和条約を結ぶというのが一貫した方針であり、これは東京宣言にきちんと書かれており、日ロ間で既に合意された立場ですので、その点は今後とも一貫して参ります。そういった基本的立場に立って、なおかつロシア側から見ても成果のある訪問ということにするために、両国において今後精力的な作業が必要だと認識しています。

(問)プーチン大統領との会談の中で、来日の時期について日本側から愛知万博の頃がいいのではないかと小泉総理が述べて、プーチン大統領が非常にいい案だと応じたのですが、これは3月中に来日する可能性が高いということですか。

(事務次官)その点についても、その時のやり取りは現地におけるブリーフィングの方が正確だろうと思います。私が理解しているのは、3月に来訪くださいという具体的な日時を小泉総理の方から提案したということではなく、ご承知のとおり、愛知万博では、シベリアで発掘されたマンモスが展示物としては非常に人気が出ると予想されています。そういった機会に来訪されれば、それはそれで非常に雰囲気は盛り上がるのだろうということであったと思います。時期についてはまだこれから両国間で協議する必要があります。外務大臣の訪問といったことも既に日程にあるわけですから、先程述べたように、訪日を有益なものにするための共同作業といったことの進捗ぶりというのも見つつ、日程が今後協議されていくと思います。

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事務次官会見記録 (平成16年11月15日(月) 17:10~ 於:本省会見室)

・日朝実務者協議

(問)日朝実務者協議の今の段階での評価を教えてください。

(事務次官)現在藪中アジア大洋州局長等は、現在家族の方々に報告、説明をしている最中です。この協議の結果については、家族会への説明の後、外務省に於いてブリーフィングを行うことになっていることをまずお伝えします。従って、今、お伝えできることは、今回の協議では北朝鮮側においても彼らなりに努力、依然として疑問な点が多いということです。まずは、これから政府をあげていろいろと精査する必要があるということです。関係者から聴取した内容、持ち帰った物的資料、そういったものを政府をあげて精査する必要があるということです。

(問)持ち帰った物的資料の中に遺骨とされるものは含まれていたのでしょうか。

(事務次官)今述べたように、家族会への説明の後に当省にて記者ブリーフィングを行います。

(問)政府として、今回の結果は北朝鮮側の最終的な報告だという受け止めなのでしょうか。それともまだこれで終わりではないということですか。

(事務次官)今述べたように、今回の調査の結果を日本政府内の関係当局の力も合わせ精査を行い、今後の対応を考えることになります。

(問)兼ねてから政府は、北朝鮮側に誠意のある対応を求めてきたのですが、今回の北朝鮮側の対応は誠意のある対応と言えるのでしょうか。

(事務次官)この段階においては、今述べた以上のことはありません。彼らなりには努力をしたようですが、依然として疑問な点が多いということです。いずれにせよ、持ち帰ったものをいろいろ精査するということが必要です。

(問)努力をしたというのは、どういった点から判断したのですか。

(事務次官)中身というよりは、当方が要望、要求した関係者との面会とか、現場における視察といったことです。後ほど、ブリーフィングの際に聞いていただければと思いますが、いろいろなやり取りの中で、彼らなりの努力はしたようだったと聞いています。

(問)次回協議について何か日程的な話は出たのでしょうか。

(事務次官)それもブリーフィングで聞いていただきたいのですが、いずれにしても持って帰ってきたものをいろいろ精査して、そこで評価することになるというのが現段階です。

(問)その評価次第では、次回協議はないということもあり得るのですか。

(事務次官)それは精査の評価を見てみないと何とも言えません。

(問)精査するのに時間的な目処はあるのですか。

(事務次官)私は存じません。持ってきたものを関係する方々と力を合わせて、政府全体として精査を行うということになると思います。

(問)現段階で経済制裁の発動について、与党の中には積極的というか、発動すべきだという声が出ているようですが、外務省としては今の段階でどういう見解をお持ちですか。

(事務次官)それも答えは同じことになるのですが、まずは今回の協議において聴取した内容、物的証拠等を精査し、検証する必要があります。いかなる形で、最も効果的な結果を出す方法が何であるかということを含め、次の方策については政府の中で検討する必要があります。

(問)帰路にチャーター機を利用した理由は何ですか。

(事務次官)既に申し上げていることと思いますが、一つは速やかに報告をするということ、また、荷物がありますので、チャーター機が適当かつ必要と考えた次第です。

(問)彼らなりに努力したということですが、その背景、北朝鮮の対応がこのようになった理由をどのように分析されますか。

(事務次官)小泉総理との会談において、金正日国防委員長から白紙に戻して再調査するとの言及があったことが、一番大きな、北朝鮮にとっては重みのあることであると思います。

(問)再調査した結果であっても、8人死亡、2人未入国という先方の言い分には変わりがなかったわけですね。

(事務次官)調査の結果については、先ほど申し上げたようにブリーフィングをお待ち頂きたいと思います。

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・ファイス米国防次官の訪日

(問)先ほどまでファイス国防次官と会談されていたようですが、どのような内容だったのでしょうか。

(事務次官)様々な話を行いました。今の世界情勢をどのように捉えるかということや、北朝鮮の六者協議の話なども話題になりました。また日米の同盟関係の点で進展があること、これからも力を合わせていこうという話がありました。さらにこの機会を捉えて私の方から改めて、先般の新潟中越地震に対する在日米軍の支援・協力についても謝意を表明しました。

(問)その際に在日米軍再編については言及されましたか。

(事務次官)特に個別の、新しい話はありませんでした。先日のワシントンにおける審議官級協議でいろいろいい話ができたという類の言及はありました。

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事務次官会見記録 (平成16年11月8日(月)17:02~ 於:本省会見室)

・イラクにおける渡航情報の改訂

・北朝鮮に対する人道支援に関する予備的モニタリングの実施

(事務次官)始めに私より2点報告いたします。第1点目は、イラクについての渡航情報です。先般の香田さんの殺害事件を踏まえ、11月5日付でイラクに対する渡航情報を改訂しました。イラク全土に対しては、昨年2月14日以来、継続して「退避を勧告します。渡航は延期してください。」という渡航情報を発出しています。日本人に対する襲撃事件や人質殺害事件が発生してきていますので、イラクに滞在されているすべての日本人の方々に対し、十分な警備措置を講じた上で、速やかな国外退避を改めて勧告します。また、イラクへの渡航を予定している方は、目的の如何を問わず渡航を延期して頂きたく、この点再度強く国民の皆様に呼びかけたいと思います。詳細は、ホームページにも出ていますので、ご覧いただければと思います。
 第2点目は、北朝鮮に対する人道支援に関する予備的モニタリングの実施についてです。政府が8月に発表しました北朝鮮に対する12万5000トンの食糧支援及び700万ドル相当の医薬品等の支援の内、9月30日以降、一部食糧が北朝鮮に到着したことを受け、11月2日から6日まで政府職員4名を派遣し、国際機関(WFP)が実施する我が国支援に対するモニタリングに参加させました。この一行4名は、WFP職員、北朝鮮側担当者と共に、荷揚げ港の他、平壌以外の各地の配給所、施設及び家庭を訪問し、視察及び関係者からの聞き取りを行いました。今回のモニタリングを通じて見た範囲、見ることができた範囲ということですが、その範囲においては、日本からの支援物資が支援を必要とする人々に届いており、日本からの支援であることが認識されていました。また、WFP側がモニタリング等を通じて適正な支援の実施に大きな努力を継続してきていることが確認されました。北朝鮮側は、今回のモニタリングへの日本政府職員の派遣に際し、家庭訪問や現場における日程の変更等、日本側のすべての要望に対して前向きに対応したということです。政府としては、今後、WFPのみならず、ユニセフ及びWHOを通じた支援全体を対象としたより包括的なモニタリングへの職員派遣を早期に行う考えであり、その実現に向け調整を進めているところです。関連国際機関とも連携しつつ、支援の適正な実施に向け引き続き努力していく考えです。なお、本件に関しては、別途、担当部局より霞クラブに対しブリーフィングを行う予定です。

(問)食料支援のモニタリングに関してですが、首脳会談で表明した25万トンのうち、まだ半分の12.5万トンの食料支援がまだですが、この残りの分について政府としてはどういうスタンスなのでしょうか。

(事務次官)これはそもそも人道的支援ということで、北朝鮮の状況、国際機関からのアピール(要請)といったことを踏まえて決められた方針です。残りの分についても、まさに北朝鮮の状況、国際機関からのアピール(要請)といったことを踏まえ、今後具体的なことは検討していくということになります。

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・イラクにおける非常事態宣言

(問)イラクの情勢ですが、クルド人の居住地を除くイラク全土で非常事態宣言が出されましたけれども、イラク全体の治安は悪化しているのではないのでしょうか。

(事務次官)今回の非常事態宣言そのものは、アラウィ首相が記者団にも述べていると報道されているところによれば、来るべき選挙を平和裡に行うという決意を強く示す趣旨であるということです。この非常事態宣言が出た事実のみをもって、治安が悪化したと解釈するわけではありません。ただし、これも従来から述べていますが、イラクにおいては、地域によっていろいろな強弱はありますが、全般として予断を許さない状況にあるという認識はあります。様々な事件が日々発生しています。そういった中でイラク暫定政府としては、来るべき選挙が安保理決議1546で定められたとおり実施されるということを確保する決意を示したものであり、我々としても安保理決議に沿った選挙が実施されることを期待しています。

(問)この非常事態宣言を受けて現地の職員に対してどんな指示を出されたのでしょうか。

(事務次官)安全対策の具体的なことについて述べることは差し控えさせていただきます。いずれにせよ、先ほど述べたように渡航情報も発出していますが、現地の大使館員の安全についてはこれまでも十二分の警戒をしていますので、それを続けるということです。

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・日朝実務者協議

(問)明日から日朝間の実務者協議が始まりますが、現段階において外務省としてはどのような方針で臨みますか。現段階での実務者協議の見通しというのはどうですか。

(事務次官)ご承知のとおり、この実務者協議は前回の実務者協議に続くものです。前回の実務者協議の結果については、我々にとって極めて不十分なものであったという認識です。特に安否不明者の問題について、その後も我が方からは北朝鮮側に対し、今回の協議では具体的な情報の提示が不可欠であることを強く申し入れてきており、北朝鮮側も調査は加速するという反応を示してきているところです。今回の協議において、どのような調査結果が提示されるかということは、まさにこの協議の結果を見ないとわかりません。我々としては、具体的な情報の提示、物証といったものの提示も含め、きちんとした調査報告が必要であるという立場から、可能な限りのあらゆる手だてを尽くしていきたいと考えています。

(問)現時点で先方のメンバーは決まっているのでしょうか。

(事務次官)現時点ではまだ決まっていません。現在調整中ということです。

(問)核問題についても藪中局長が北朝鮮側と交渉するということも言われていますけれども、その日程についてはどうですか。

(事務次官)その日程も現時点では決まっていません。

(問)あらゆる手だてをということですが、十分な説明が北朝鮮側からない場合は日程を延期してでも平壌に残るというお考えでしょうか。

(事務次官)現在、日程を調整中ですので、今のところでは12日までということを想定しています。あらゆる手だてと言うのは、既にこれまでの連絡でも申し入れていますが、まさにあらゆる手だてということで、提供されるべき情報については、当方からも事細かにこちらの要求を申し入れており、また現場においても、先方の出方に応じて出来るだけのことをするということです。

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事務次官会見記録 (平成16年11月1日(月)17:00~ 於:本省会見室)

・サマーワ情勢

(問)日本時間の今朝方、サマーワの自衛隊宿営地付近で爆発音があったという情報がありますが、その辺の話はいかがでしょうか。

(事務次官)現地からの報告によると、三点あると思います。第一点目として、日本時間の午前4:30頃ですが、サマーワの宿営地付近で何らかの爆発音が聞こえたということです。第二点目は、現地における自衛隊員及び外務省サマーワ事務所員は全員無事であると報告されています。第三点目は、事実関係の詳細については現在調査中、ということです。

(問)官房長官は明るくなってから調べるということをおっしゃったと思いますが、もう既に現地は午前11時とか12時位だと思うのですが、まだ情報は入っていないということでしょうか。

(事務次官)まだ入っていません。調査中と承知しています。

(問)宿営地内に落ちたのではないかという見方もあるようですが。

(事務次官)現在調査中ということです。

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・イラク邦人人質事件

(問)今日の国会の委員会で人質事件の対応について、総理があまりに早く自衛隊の撤退ということを表明してしまったことが犯行グループを刺激したあるいは挑発したのではないかという指摘が出ていますが、これについてはどのように思われますか。

(事務次官)犯人を刺激したか、していないかということについては、いろいろな推測があり得るとは思います。ただ、大事なことは、原則の問題としてテロに屈してはならないということに尽きるのではないかと思います。

(問)香田さんの御遺体の搬送についてですが、現在どのような予定になっているのでしょうか。

(事務次官)搬送についていろいろ準備、打ち合わせを行っていますが、まだ、確たることは確定していません。従って、到着時間等についてはまだ未定です。

(問)今回改めて邦人保護の問題がクローズアップされたと思うのですが、委員会でも出ていましたが渡航禁止の合法的規制というか、何らかの強制的な制限について改めて検討すべきだという声もあるようですが、外務省としては従来の方針と変わらないということでしょうか。

(事務次官)ご承知のとおり、邦人保護というのは、政府としての責務であるという基本的な認識でいろいろな措置を講ずるわけです。もちろん、この点についていろいろな考え方があろうかと思いますが、我々としては、このイラクの件に関して述べますと、4月の人質事件の時にも述べましたが、やはり国民一人一人が海外に行く時には、その国、場所における状況について十分な注意を払って頂きたいと考えています。もちろん、政府としては、そういった現地における状況について十分な情報を広く周知するということが、まず必要なことであろうと認識しているところです。そういった考え方に基づき、4月以降についても、この海外渡航情報については、広く強く拡充強化をしてきたところです。具体的なことについて、詳しいことは言及しませんが、例えば、外務省の海外安全ホームページで提供される情報がありますが、このホームページに対しては、一月平均大体250万から500万件のアクセスがあります。その他いろいろな手段を講じていますが、成田空港、関西空港、名古屋空港の出発ロビーには、この渡航情報の閲覧用端末機も設置しており、現に月平均で利用数が5000件というものもあります。更には、旅行代理点を通じた情報の徹底ということも行っています。また、パスポートを発給する際にこの情報が伝わるようにということで、パスポートセンターを通じた情報提供をセンターのロビーで掲示したりしています。また、NHKのBSで海外安全情報というのを御覧になったことがあるかと思います。また、いろいろなスポット情報を出す場合には当然この霞クラブに対しましても発表し、報道を通じての広報ということも意図しているところです。イラクについては、退避勧告に基づくスポット情報をこれまで62回発出しています。私がみるところ、こういった情報というのは、世界の中でも日本程広く国民に周知されているものはないのではないかと思われる程、国民の方々の意識も既に高まっているように思います。それは、今回の事件を通じても、各界の方々がイラクの状況についての認識を述べておられるということからも理解しています。そういった中においても、危険を具体的に伝えてきたつもりですが、今回のような不幸な事件が起こったということは現実の問題です。今後とも、国民の方々の認識を高める努力ということは更に続けていく必要があろうかと思います。私も、国民の方々に報道を通じて訴えることも重要なことだと思いますが、外務省が発出する、この渡航情報に今後とも一層注意を払って頂きたいということを切に願います。
 更に、今お尋ねとの関連で、そいう状況においても今回のような事件が発生するという現実がありますので、それに対して何らかの法的な措置を取るかどうかということについては、いろいろな角度からの議論があろうと思います。国民の中において議論が煮詰まっているかどうかということついては私は即断致しかねます。それは検討課題であるとは思いますが、慎重な議論がなされるということが必要であろうと思います。こうなると言い過ぎかもしれませんが、我々の国は国民の自由を尊重してきているわけです。その国民の自由と法的な規制というものの兼ねあいといったことについては、十分な検討、議論が必要だろうと認識しています。

(問)今回の事件の政府の対応について、官房長官は反省すべきこともあったと会見で述べられたのですが、次官は外務省の対応について反省すべき点はあったと考えますか。もしあったとすればどのような点ですか。

(事務次官)まだいろいろ検証しなければなりません。我々としての非常に基本的な対応姿勢としては、情報を収集、分析して確認をするということがまず第一にあります。そういったことに基づいて、同時並行的ということもありますが、救出に全力を尽くすということです。こういった情報収集、分析、確認及び救出努力ということにつきましては、我々としてもこれまでの経験がありますが、やはり個別のケースによって背景、状況が異なりますので、いわば国内外のその道の専門家の意見、助言、知恵といったものも求め、それらも参考にして全力を尽くしてきたわけです。反省すべき点は何かということについては、勿論これから検証する必要がありますが、とにかく結果として救出できなかったという重たい事実があるわけですから、その点から今後の参考になることがあるかということをやはり謙虚に考える必要があろうと思います。ただ、あえて申し上げれば、やはり相手のあることですから、まさに卑劣なテロリストにどう向き合って対応するかということについては、世界の中で日本のみならず国際社会が現在悩み、考えている問題であろうと思います。簡単に明確な回答が出るということがあれば実は良いのですが、国際社会全体としての対応策について知恵をしぼる必要があろうと思います。

(問)今回の交渉の中で、犯人グループとは接触はできていないのですか。

(事務次官)いろいろな努力はしましたけれども、今尋ねられたような個々の点について述べることは差し控えさせていただきます。先ほど述べたとおり、いろいろな専門的知識や経験を持っている方々の意見や情報も参考にしました。あらゆる方法による努力を行いましたということにとどめ、具体的な点については今後のこともあり、差し控えさせていただくことが必要であろうと思います。

(問)イラクで邦人人質事件がこれで2回起こりまして、邦人の犠牲者もこれで5人となりましたけれども、一連の対米協力の中で進められてきたイラク復興がこうしたコストに見合うものなのかという疑念も一部の国民の中では出てくるかもしれませんが、その点についてはどうお考えですか。

(事務次官)その点は基本的な政府の方針として、例えばイラクをテロの温床にしてはならない、地域の安定も必要である、総合的な見地に立って日本としてイラク復興に協力、支援するということが必要であろうという考えに立っているわけです。これは多くの国際社会の国々が同様に考えていることであろうと思います。テロという行為によって犠牲者が出たということは誠に痛恨の極み、断腸の思いですが、それだからこそテロとの戦いといったことについては、国際社会が一致協力して当たる必要があると思います。その点は今後も続けていく必要があると思います。今、イラクの復興支援について米国との関係で言及されましたが、我々としては正に、イラクを復興させて破綻国家にしないということが、国際社会の一致した考え、目標であるという認識を有しているわけですので、日本としても日本の立場、そして国際社会の一員としての支援、協力といったことでこれを行っているところです。日米関係だけで復興支援を行っているとか、先般の東京での「第3回イラク復興信託基金ドナー委員会会合および拡大会合」を日米関係の観点から開催したということではありません。

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