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「松尾元要人外国訪問支援室長に係る事件」
に関するQ&A

平成13年3月

 3月10日、松尾元要人外国訪問支援室長が詐欺容疑で逮捕されましたが、この事件の関連で、国民の方々より外務省に対し、様々なご批判やお叱りの声をいただいております。
 外務省としましては、省員が今回のような事件を引き起こした事態を厳粛に受け止め、国民の皆様方に深くお詫び申し上げます。また、こうした不祥事が二度と起こらないよう外務省の機能を抜本的に見直し、改革を断行することとしており、こうした取り組みによって外務省に対する国民の皆様方の信頼の回復に努めていきたいと考えております。
 一方で、今回の事態に直接的または間接的に関連した報道や出版物などの中には、外務省の活動に関する明らかな事実関係の誤認に基づく記述も少なからず見受けられます。そこで、外務省では今回の事件をめぐる基本的な事実関係などについて、国民の皆様方に正しく理解していただくため、「Q&A」を作成致しました。ご参考になれば幸いです。


Q&A


Q1. 「外務省報償費」とは何ですか。またその予算はどの程度のものですか。

A1.日本を取り巻く国際情勢がめまぐるしく変化する中で、国益の増進、すなわち国の安全と繁栄を確保し、世界各地で働く日本人の安全を守っていくためには、常に国際社会の微妙な関係を知っておくことは極めて重要です。特に、日本が現在の国際情勢を踏まえて、よりきめの細かい外交を展開していくためには、多元的な情報収集がますます重要になっています。
 そうした中で、「外務省報償費」は、第一に、絶え間ない努力によって作られた信頼関係によって支えられた人脈をもとに的確な情報の収集を行うために、第二に、外国との交渉や日本にとっての外交関係を円滑かつ有利に展開するために、そして、第三に、国際会議での議論を日本にとって有利に導くため、会議の場などで様々な関係者に対して働きかけを行うために使用されているものです。
 「外務省報償費」は、このような目的に正しく合致した場合に、その時々の状況に応じて、最もふさわしいと認められる方法によって使用されています。
 なお、平成12年度の「外務省報償費」の予算額は、約55.7億円です。

Q2.「外務省報償費」は情報の収集などに使われているとのことですが、その使い道はなぜ公表できないのですか。

A2.流動化する国際情勢の中で、外交の現場における情報収集活動は、ある時には、紛争の開始をできるだけ早く察知するための人脈作り、またある時には、一国の首脳の動静を探るための情報源の開拓などを伴うものです。しかしながら、その具体的方法や内容を明らかにすれば、これまでの努力の積み重ねが無駄になってしまうおそれがあり、また、日本の外交のために重要な情報を提供してくれた方々が苦しい立場に追い込まれるおそれもあります。その結果、その後の情報の入手が困難になる可能性もあるのです。まさに情報収集のこのような機微な性格のため、日本のみならず、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの諸外国においても、ご質問のような内容については公開されていません。

Q3.「外務省報償費」の一部が内閣総理大臣の官邸に「上納」されているという事実はあるのですか。

A3.「外務省報償費」は、外務省の責任において支出されており、内閣総理大臣の官邸に「上納」されているということはありません。

Q4.総理大臣が外国を訪問するのに際して、同行する職員の宿泊費と実際に支給される旅費との間に差額が生じた場合には、「報償費」によってまかなわれていると聞きましたが、これは本当ですか。

A4.総理大臣の外国訪問に一行として同行する外務省など各省庁の職員に対しては、各所属官庁が管理している外国への出張のための旅費が支出されています。以前はこれに加えて、「内閣官房報償費」により宿泊費の差額分がまかなわれているということがありました。
 このようなことが行われてきた背景としては、次のようなことが挙げられます。すなわち、一般に、外務省の職員を含め国家公務員が出張する場合には、「旅費法」という法律に基づいて旅費が支払われますが、この法律では出張する職員のランクに応じて出張地毎に規定されている金額を支払うことになっています。普通はこうして支給される旅費に見合った宿舎に可能な限り泊まることとなりますが、総理大臣の外国訪問の場合には、深夜、早朝でも行わなければならない作業などが山積しているため、同行するそれぞれの職員が宿泊費に合わせて別々の宿舎に泊まっていたのでは仕事にならず、会議室、通信設備、作業室、場合によっては記者会見場などを備えている総理大臣と同じ宿舎に泊まることが必要になります。このことにより、職員が実際に支払わなければならない金額と法律に規定されている金額との間に差額が生じ、ランクの低い職員ほど差額が大きくなり、これを自己負担しなければならないという不合理な状態が生じます。こうした事態を手当するために、差額分を「内閣官房報償費」でまかなってきたのです。
 なお、平成12年4月からは、旅費に関する制度の運用が変更され、このような場合には、宿泊費の差額分も旅費として支払うことができるようになりました。したがって、現在はこれまでのように「内閣官房報償費」によってまかなわれるということはありません。

Q5.日本の在外公館における「報償費」の使い方に関して、様々な問題点が報道されていますが、実際にはどのように使われているのですか。

A5.冷戦が終結した世界においては、地域紛争や民族・宗教の違いから生じる紛争が世界各地で起こっており、こうしたことが国際社会全体の関心を集めています。また今日の国際社会では、情報通信技術などの革新的変化にともなって、世界の情報の流れは急速に高まってきています。こうした時代の変化に合わせて、日本の外務省としても、国益の増進、すなわち国の安全と繁栄を確保し、世界各地で働く日本人の安全を守っていくためには、常に国際社会の微妙な関係を知っておくことがますます重要となっています。
 世界各地にある日本の在外公館では、安全保障、政治・経済情勢、第三国との外交関係など様々な情報を収集し、これを分析した上で外務本省に報告しています。
 「外務省報償費」は、こうした情報の収集、外国との交渉や日本にとっての外交関係を円滑かつ有利に展開するため、さらに国際会議での議論を日本にとって有利に導くよう、会議の場などで様々な関係者に対して働きかけを行うためにその時々の状況に応じ、最もふさわしいと認められる方法によって使用される経費であり、在外公館に対しては、それぞれの置かれている状況や経費の必要性などを踏まえて外務本省より送金され、これが在外公館長の責任の下に使用されています。

Q6.「外務省報償費」の毎年度の残額をためておいて外務省内部の飲食などにあてているという報道がありますが、これは本当ですか。

A6.「外務省報償費」は、情報の収集、外国との外交交渉や日本にとっての外交関係を有利に展開するという目的のため、その時々の状況に応じ、最もふさわしいと認められる方法によって使用される経費であり、日本を取り巻く国際情勢のめまぐるしい変化を踏まえ、その時々の優先的な外交課題に沿って最大限に有効に活用されています。
 このような目的の経費の残額をためておいて外務省内部の私的な飲食などにあてているということはありません。

Q7.外務省員が在外公館で勤務する場合、多額の在外手当があるので、かなりの額の貯金ができるというのは本当ですか。

A7.在勤基本手当は、外務省職員が在外公館に勤務するのに必要な衣食などの経費にあてるために支給されるもので、その額は在外公館に勤務する職員が、日本を代表する外交官として職務と責任を果たせるよう、在外公館の所在地における物価、為替相場及び生活水準を勘案して、厳正に算定されており、具体的な手当額は法律により規定されています。この額は、例えば為替相場の変動で円高になった場合は、円建ての手当額が減額されるなど、常に見直しを行いながら運用されています。

Q8.日本の在外公館では、大使夫妻の私的日用品を「外務省報償費」にて調達しているという報道がありますが、本当ですか。

A8.大使夫妻の私的日用品につき「外務省報償費」より支出を行うということはありません。また、公費による物資の調達は、公用品に厳しく限られています。

Q9.在外公館に勤務する職員の住居手当が水増し請求されているというのは本当ですか。

A9.在外公館に勤務する職員の住居手当は、法律及び政令(法律の委任に基づき内閣が制定する命令)に基づいて、勤務する在外公館別に、また、職員のランク別に定められた限度額の範囲内で支給されています。
 現行の制度では、住居手当が水増し請求されるというようなことが生じないよう、職員が家主との間で交わした契約書、領収書その他の証拠書類に基づき、在外公館長が家賃を認定し、本省においてこれをチェックするという手続を踏んでいます。

Q10.「外務省報償費」の流用の問題は、本当に一個人の問題なのですか。松尾元室長の口座に移された「外務省報償費」は外務省幹部の飲食代に使われるなど、外務省全体で流用されていたことはないのですか。

A10.今回の事件については、このようなことが起きたことにつき、外務省の組織としてのチェック体制に不備があったことは事実であり深く反省するとともに、今後、チェック体制の整備を進めていきます。しかし、組織ぐるみで外務省の報償費を流用したという事実はなく、松尾元室長個人の犯罪であると考えています。
 なお、今回の事件に付随して様々な報道がなされている中で、外務省としましても第三者の助言も得ながら種々調べていますが、これまでのところ、「外務省報償費」が幹部の飲食代などとして流用されたとの事実は確認されていません。今後とも引き続き調査を続け、万一、不適切な事例があれば、厳正に対処します。

Q11.外務省では報償費でワインを購入しているとの報道がありますが、本当ですか。

A11.外国賓客の接遇に使用するため、外務省にてワインを購入、保管していますが、具体的な購入に際しては、その時々の目的に応じて、適切な費目から会計法令に従って所定の手続を経て必要となる経費を支出しています。

Q12.今回、どうしてこのような事件が起きたのでしょうか。また個人の犯罪とされていますが、どうしてチェックができなかったのでしょうか。

A12.松尾元室長は、総理大臣の外国訪問に際して、宿泊費についての見積りの作成から支払い、精算までの事務を上司の決裁を得ることなく、すべて一人でとりまとめており、これに対するチェックが行われてきませんでした。
 こうした体制の不備が生じた背景には、一つに要人外国訪問支援室は官房総務課の下に置かれたものの、実際の業務に際しては、総理訪問を担当する地域課などとの緊密な連携の下に働いていたため、指揮系統が官房総務課長の下に統一されているとの認識が薄かったことがありました。
 いずれにしても、このように外務省としてのチェック体制に不備があり、国民のために奉仕すべき公務員が、国民の貴重な税金を詐取するといった今回のような事件を未然に防ぐことができなかったことについては、外務省として、深く反省するとともに、国民の皆様に深くお詫びを申し上げます。
 なお、今回の事件は、内閣の報償費に係わるものですが、外務省の報償費に係る国民の批判も謙虚に受け止め、報償費の本省における決裁方法の改善や査察制度の見直しなどを行っていく予定であり、5月半ばにも外務省予算、中でも平成13年度以降の報償費の運用の仕方についての方向性を打ち出し、新たな実施体制の第一歩としたいと考えています。

・" 【参考資料】平成13年度予算報償費使用に関する考え方
目次


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