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総領事館ほっとライン 第16回 リオデジャネイロ
風光明媚なリオの気の抜けない日々
(時事通信「世界週報」2004年10月26日号より転載)


平成16年10月
在リオデジャネイロ総領事
神谷 武


邦人を犯罪から守る、それが重要任務

 「総領事、報告します。邦人旅行者が、強盗に遭いました」と、警備担当の領事が、執務室に入って来た。
 某日、夕刻のことである。
 「当地滞在中の旅行者が、夕食のため宿泊先のホテルから出たところを3人組に襲われました。胸に刃物を突き付けられ、所持していた腕時計と現金を奪われました」
 場所は、コパカバーナの海岸沿い。高級ホテルが立ち並び、長い砂浜は一年中、海と太陽を求める観光客であふれている。リオデジャネイロの観光の中心地である。
 犯罪被害に遭うのは、旅行者ばかりではない。当地在住の日本企業の支店長や駐在員の間では、酒宴の席など、寄ると触ると、自分がいかに危険な目に遭遇したか、という話になる。
 某支店長は、イパネマで、久しぶりに夫婦そろって高級イタリア料理店に行こうと信号で停車中、強盗にピストルを突き付けられ、取って置きの高級腕時計とハンドバッグを取られてしまった。
 イパネマとは、ボサノバの名曲「イパネマの娘」でも有名な海岸沿いの街である。コパカバーナに隣接する観光地、かつ高級住宅街で、日本総領事公邸の所在地でもある。
 このような話は、枚挙にいとまがない。
 2月、リオデジャネイロのセントロ(中心)、巨大なサンバ会場では、4夜にわたって、実に豪華絢爛たるサンバ・ショーのパレードが繰り広げられる。いわゆる「リオのカーニバル」である。しかし、ここにも強盗は、出没する。パレードを堪能して、早暁、サンバ会場から出て来た某支店長を、強盗がナイフで切り付けた。剣道6段のこの支店長は拳でしのぎ、強盗は退散したが、ナイフは支店長のみけんをかすった。
 リオデジャネイロ州の殺人件数は、警察の発表によると、年間6000件に上るが、殺人と立件されない分を入れると、実際には1万4000件とも推定されている。邦人保護、特に治安対策が総領事館の重要な任務とされているゆえんである。
 日本総領事館は、リオデジャネイロ州警察やブラジル連邦警察と連携し、犯罪被害が生じた場合の対応はもとより、その防止のために情報収集に当たっている。総領事館が出す治安情報は、在留邦人にメールで届けられ、また、日本人会との月例の安全対策協議会では、犯罪被害を予防し、また、最小限に食い止めるための、傾向と対策が討議されている。
 リオデジャネイロは、風光明媚、世界3大美港の一つ。キリスト像の建つコルコバードの丘からグァナバラ湾を臨む眺望は、まさに絶景である。1960年までの約200年間ブラジルの首都であった。歴史的・文化的・経済的・軍事的な重要施設があり、上流社会が形成されている。市街地の様相は、欧米先進国のそれと変わらない。
 しかし、同時に、この国の抱える社会的問題、特に貧富の格差を強く感じさせられる土地柄でもある。ファヴェーラと呼ばれる貧民窟が大きくなり、市街地に迫っている。これは、麻薬密売組織の活動の舞台となり、また、絶え間ない組織抗争の場ともなっている。多発する殺人事件のほとんどがこうした抗争に絡んでいるといわれる。

各種行事で両国の橋渡し役に

 「ブラジルの経済は2004年に入って、一時の低迷から急速に回復しつつあります。輸出は増大しており、為替相場は安定的。金利の引き下げは一段落。公的債務の対GDP(国内総生産)比率は漸減。外国直接投資は漸増しています。景気の見通しは良好ですが、持続的成長のためには設備投資の増大、インフラ整備のための投資促進が必要です」と、話は続く。
 某日、リオデジャネイロ日本商工会議所の定例昼食会に、ブラジルの経済コンサルタントが招かれて講演を行った。その一節である。
 日本商工会議所は、日本からの進出企業を主要会員として構成されている。日本総領事はその名誉会頭でもある。
 総領事がこうした会合、行事に出席し、役目を果たすべき機会は多い。
 この1カ月間、主なものだけでも、日系団体主催の日本祭、リオデジャネイロ連邦大学での日本語学会、ゴルフクラブの公式トーナメント「ジャパン・カップ」、ブラジル独立記念日パレード観覧、ポルトガルのロペス首相主催レセプションなどなど。各国のナショナルデーのレセプションや、公邸その他での食事会もあった。
 このような様々な機会をとらえて、日本の存在感を高め、陰に陽に、日本人社会、日系人社会、日本企業の活動を支援し、文化行事などを通じて日本とブラジルとの間の友好関係の促進を図っていく。
 この9月には、小泉純一郎首相がブラジルを来訪し、両国関係の一層の増進が期待されているところでもある。
 小さなことも、大きなことも、目配り、気配り。毎日が気の抜けない日本総領事館である。

ワンポイント・アドバイス

 美しい風景と街並みの陰に犯罪が潜んでいます。特に以下の点に、気をつけましょう。
  1. 金目の物は持ち歩かないこと。
  2. 日没後の浜辺、山林など、人けのない場所は避けること。
  3. ファヴェーラ(貧民窟)には近づかないこと。


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