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総領事館ほっとライン 第15回 ニューヨーク
「フリーダム・タワー」のニューヨーク
(時事通信「世界週報」2004年8月31日号より転載)


平成16年8月
在ニューヨーク総領事
安藤 裕康


9・11から3年、NYは立ち直ったか

 9・11世界貿易センター・テロ事件から既に3年、あの恐ろしい惨事の現場では今も追悼の花束が毎日供えられるが、当時見る影もなかった跡地はすっかり整備され、再開発に向けた動きが活発化している。今年の独立記念日7月4日には、世界貿易センターよりもさらに高い世界一の高層ビル、「フリーダム・タワー」の起工式が行われた。その設計チームには、日本人の建築家で、国連の新しいビルの設計も手掛ける槇文彦氏も参加している。
 米国経済の好調ぶりと相まって、ニューヨークの外見はすっかり安定して見える。しかし、テロの脅威は依然として消えていない。米国のどこかで今年中にテロが起きるかもしれないとの情報もあり、全米の警戒レベルは5段階中の3番目(黄色)にあるが、ニューヨークだけは一段高く、第4段階のオレンジだ。地下鉄やトンネル、橋も標的にされやすく、市民は平穏な日常生活の中にも、万一の事態への備えをおろそかにしていない。ニューヨーク市警察は実に5万人以上の態勢だが、特に情報部門は強力で、世界中の治安機関と連絡を密にしながら、テロ関係情報の収集に当たっている。先日のマドリードでの列車テロ事件では、いち早く現地に係官を派遣した。私自身も、市警トップのケリー総監や連邦捜査局(FBI)のダムロ・ニューヨーク支局長とは緊密な連携を保つよう努力している。8月末の共和党大会は、会場のマディソンスクエアガーデンを中心に厳しい交通規制と警備が行われると予想され、ニューヨーク市警は、全員夏季休暇も返上するほどの意気込みで緊張している。

邦人10万人の安全を考える

 在ニューヨーク総領事館の管轄地域内には、世界最大規模の約9万7000人の日本人が居住し、9・11同時多発テロでは24人が犠牲になっただけに、その安全確保のため当館も緊急対応体制を強化し、日本人の方々には、きめ細かいテロ安全情報をEメール(現在約1万6000人が登録)等でお知らせしている。
 9・11以後の大きな変化は、米国の出入国管理が極めて厳しくなったことだ。査証の取得に手間がかかるだけでなく、査証保持者が空港で指紋と顔写真をとられる。査証の更新に際しても、面接や指紋の採取が行われるようになったことに加え、以前は米国内に滞在したまま国務省への郵送による更新手続きが可能だったが、この7月以降はいったん米国外に出国して手続きを行わなければならなくなってしまった。これらの問題については、日米間の交流に支障が出ないよう、両国政府間で話し合いが行われているところだ。
 運転免許の取得にも様々な制約が出ており、申請の際、身分証明のため種々の書類の提出を求められたり、ある査証の保持者の配偶者は免許の取得ができないという事例が発生したりした。しかもニューヨーク、ペンシルベニア、ニュージャージーなど州によって規則も異なる。当館は各州の当局に対し事実関係の確認を行ったり、改善措置を求めたりして、日本人の方々への情報提供と便宜を図ることに腐心している。

2人の「松井」で観光客減に歯止め

 こうした雰囲気の中で、ニューヨークを訪れる日本人観光客の数は「9・11」以降減少傾向にあり、2001年は前年比22%減、02年は6%減、03年は2%減である。メトロポリタンオペラの支配人は、日本人観光客の減少は、同オペラの財政難の一つの原因だとボヤいていた。しかし04年になって、2人の「松井選手」の活躍もあり、この減少傾向に歯止めが掛かりつつあることは、日米交流の観点からうれしいことだ。
 ニューヨークで興味深いのは、一般犯罪が大きく減っていることである。ジュリアーニ前市長の下で徹底的な犯罪対策が講じられたことと、順調な経済状況のおかげと言えようが、03年の犯罪総数は14・6万件。これは1993年の43万件と比較すると、実に66%の減である。それでも油断は禁物。凶悪犯罪に関しては東京のほぼ10倍という数字がある。昨今も、昼間の地下鉄で発砲事件が多発し、市民が巻き込まれている。日本人は日本の安全な社会に慣れているせいか、やや無防備で犯罪に狙われやすい。従って、被害に遭って総領事館に駆け込んでこられる人の数も、ニューヨークの治安の向上にもかかわらず、増えこそすれ減ってはいないのが現実だ。
 もう一つ当地で注意していただきたいのは、警察の取り締まりの厳しさだ。缶ビールを道で開けて飲んだり、公園のベンチで横になったり、あるいは地下鉄の中で居眠りすることさえも罰金の対象となることはご存じだろうか?法の執行も厳しいので、そのような行為で警察に連行される日本人も少なくない。当館は24時間体制でいつでも対応できるよう警察と緊密に連絡して、トラブルに巻き込まれた日本人への支援を行っている。

ニューヨーク旅行者へのワンポイント・アドバイス
  • 財布などはスリの被害を避けるため、常に自分の目の届くところで保持しましょう。
  • バッグは肩からたすき掛けにすると、窃盗等の被害に遭遇した際にバッグごと地面に引き倒されたりする危険があるので、手で持ち歩けるものが無難です。
  • 地下鉄では安全のために、警備員が乗車する車両中央、あるいは運転手のいる先頭車両に乗車しましょう。また、犯罪が発生しやすい、出入り口付近にたたずむのは避けましょう。
  • そのほか、犯罪被害に遭いお困りの際は総領事館(電話:212-371-8222)までご相談ください。


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