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多様性の街ロスはトラブルも多様 (時事通信「世界週報」2004年12月28日号より転載) 平成16年12月
在ロサンゼルス総領事 野本 佳夫 古くから日本と関係の深い地 ロサンゼルスは南カリフォルニアの中心。世界中の民族が共存する多様性の街。ロサンゼルス港、ロングビーチ港およびロサンゼルス空港を擁するアジアからの玄関口である。さんさんと降り注ぐ太陽、ハリウッド、ディズニーランド、サンタモニカの海岸……これらが多くの日本人を引き付ける。 ここロスは古くから日本と特に関係が深い。19世紀末より多くの日本人が住み始めリトル東京を形づくった。彼らは排日移民法、太平洋戦争勃発後の強制収容所生活、大戦後のゼロからの出発といった時代の荒波を乗り越え、善きアメリカ市民として揺るぎない地位を築き上げた。戦後日本が苦しい時には物心両面で支援をしてくれた。 従って、ここ南カリフォルニアには多くの日本人が住んでいる。当総領事館の調べでは邦人約5・6万人、ロスでは4・2万人。ニューヨークと並んで北米最大の日本企業進出地でもあり、1000社以上の日本企業が活躍し、約10万人の雇用を創出している。ロスにはすべての業種からなるJBA(南加日系企業協会)、またサンディエゴには、主にテレビ製造各社からなるJMA(日系マキラドーラ協会)が組織されており、当総領事館はこれら団体と緊密な協力関係を保っている。さらに、留学生は1・5万人以上はいるのではないかと思われ、年間32万人の旅行客もロスを訪れる。 事件・事故対処は世界の公館で2位 ロスでは過去2度にわたり大規模な暴動が起こり(1965年、92年)、多くの死傷者を出した。また、94年のロサンゼルス地震では五十数人の犠牲者を出している。2003年には、近年では最大規模の山火事が起こり、日本のテレビでも大きく報じられたため、多くの友人から心配の電話をもらった。01年9月11日の同時多発テロ以降、全米2位、西部で最大の都市として、テロ発生の可能性も取りざたされている。現に、9・11の際は、ロスの数カ所も対象候補になっていたと聞いた。これだけ多くの邦人が滞在・訪問している当地では、大規模な不測の事態が起こった場合に、邦人が巻き込まれる可能性は常にある。治安・テロ情報については、総領事館は常日頃より、LAPD(ロサンゼルス市警察)、LA郡警察、FBI(連邦捜査局)、ロス空港当局等と連絡を密にし、また関連情報をホームページに掲載するとともに、緊急メール配信サービスで登録された方に伝達している。 また、テロ、大規模災害でなくとも、これだけ多くの邦人がいると、いろいろな事件、事故に巻き込まれるケースがあり、また加害者となることもある。これに対し総領事館として支援を行う。その数は03年で860件、全世界の在外日本公館中、第2位というありがたくない数字である。 ロスでの特徴は盗難が多いことである。03年は140件の盗難被害が報告され、うち64件が車上荒らしである。車社会であることの証明であろう。また、車社会であるが故に交通事故に巻き込まれることも多く、毎年数人の方が亡くなっている。 さらに、精神的な問題が絡む障害のケースも多い。昨年19人の方をお世話したが、その数は増加傾向にある。例えば、70歳近い独身の男性が、日本で年金が入るごとに当地にやって来てその日暮らしのホームレス生活を送る。数カ月たつと旅券も所持金もなくし総領事館にやって来る。そのたびに、日本の家族や当地の医療機関の協力を得て帰国してもらっている。また、米国人との結婚生活がうまくいかずの破綻により、心を病む女性も見られる。さらに、酔っ払い行為や薬物で数回逮捕されたことのある留学生が精神的な障害から強制入院となり、父親に迎えにきてもらって帰国したケースもあった。このような場合、館員は、当地当局と親族の間に立ってお世話するわけであるが、特にいまだ人生経験を積みつつある若い館員の苦労は、お分かりいただけるものと思う。 邦人支援のボランティアも すべてのケースに総領事館が最善の知識と経験を有しているわけではないが、さすがにロス、困った邦人に手を差し伸べるボランティア団体がさまざまな活動をしている。リトル東京の一角に「小東京サービスセンター」という団体があり、日本語による電話相談窓口「日系ヘルプライン」を行っているが、国際結婚をした日本女性からの相談が圧倒的に多いという。「留学生ホットライン」もある。当地のJABA(日系法律家協会)という青年法律家のグループが、当総領事館と共催で年2回程度無料法律相談を行っている。JCHI(日系コミュニティー・ヘルス・インク)が行う日系医師による日本語での医療相談もある。また、「小東京交番」という団体が、LAPDと協力して周辺の防犯・治安改善に努めている。在留邦人を支援する任にある総領事館としては、こんなにうれしいことはない。このような善意の方々と協力し、またその活動を支援しつつ、邦人の皆さんが、安全に快適にここロスでの生活ができるよう、少しでも多くお役に立つべく、努力してゆきたいと考えている。 ワンポイント・アドバイス
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