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(朝日新聞「私の視点」2004年11月30日付より転載)
対人地雷禁止 大国が条約に加入を
軍縮会議代表部大使 美根慶樹

 オタワ条約(対人地雷禁止条約)は、対人地雷の使用や製造、保有、移譲などを全面的に禁止する条約である。99年に発効し今年で5年を迎えて、ナイロビで第1回の検討会議が開かれている。会議では、締約国の代表が国際機関やNGOも交えて、発効後5年間の成果と今後5年間の行動の指針について議論する予定である。
 この機会に、対人地雷をめぐる現状と課題について考えてみたい。
 対人地雷は、いったん敷設されると長く残存し、戦闘員と一般市民の区別なく被害を与えるのが特徴だ。とくに、戦争と関係のない女性や子供が犠牲になることは、人道上見過ごすことのできない問題である。
 また、戦闘終了後も対人地雷によって手足を失うケースが後を絶たないばかりか、住民の生活も脅かしている。地雷が敷設された地域には容易に近づけないために、復興開発の大きな障害となっている。
 例えば、地雷被害国の一つであるカンボジアは、30年に及ぶ内戦で、東京都の約2倍の面積が地雷や不発弾によって汚染され、犠牲者の数は3万6千人にものぼるといわれている。
 地雷の現状に対して、オタワ条約発効後の5年間で、どのような進展があったのか、振り返ってみる。
 まず、条約そのものが国際社会に広く受け入れられた、発効当初の締約国は67ヶ国に過ぎなかったが、現在は143カ国にまで増加した。その間、日本政府も条約加入に向けて多くの国に対して外交的な働きかけをしてきた。
 また、地雷の除去や犠牲者支援のための国際協力にも一定の進展が見られた。カンボジアでは、過去5年間に140平方km2以上の地雷原が、日本などの国際協力で除去され、年間の犠牲者数も99年の1155人から03年には745人まで減少した。
 日本政府は小渕恵三外相(当時)が提唱した「犠牲者ゼロ・プログラム」のもとで、30カ国以上の国に対して総額約160億円の支援を実施している。新たな政府の途上国援助(ODA)大綱も、この問題を優先的な課題として位置づけている。
 しかし、残された課題は多い。
 143ヵ国という締約国数は、5年間の成果としては素晴らしいものだが、満足するにはほど遠い。米中ロなどの大国が、多数の地雷を所有しているにもかかわらず、国境が長いことや防衛上の理由でいまだ加入していない。アジア・大洋州地域や中東には未加入国が多く、加入を促していく必要がある。
 除去活動は緒に就いたばかりである。世界中で1億発を超すと言われる埋設地雷を完全になくすには、年間10万発の除去に成功したとしても千年以上かかることから、作業を加速しなければならない。
 また、地雷犠牲者の支援については、治療から社会復帰まで幅広く視野に入れなければならない。
 オタワ条約にもとづき、日本のNGOも地雷除去や犠牲者支援などで世界中で活躍している。日本には、超党派の国会議員による「対人地雷全面禁止推進議員連盟」や、貢献している企業もある。
 政府としては、そうした各界の人々の協力も得ながら、国際社会の先頭に立って対人地雷問題の解決に取り組んでいきたいと考えている。


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