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日系人社会にエールを送る (時事通信「世界週報」2003年12月23日号より転載) 平成15年12月
在サンフランシスコ総領事 中村 滋 移民だったシュワ氏の知事就任 11月17日、米カリフォルニア州(加州)の新知事に、元俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー氏が就任し、私も招待を受けて州都サクラメントでの就任式に参列しました。その就任演説で同氏は、特別の利益集団のためでなく、州民のために働くことを強調し、移民だった自分が米国民になれたことを感謝したいと述べていました。加州は、人口約3400万人(2000年統計、以下同)、経済規模もGDP(域内総生産)にして世界6位という大国に比する地位を持っています。そのかじ取りを任せられた新知事には、巨大な財政赤字への対処など既に重い責任がのしかかっていますが、果たして映像の世界のように力強くその重圧をはねのけられるかが注目されています。 さて、加州には南北に管轄を分けて二つの総領事館――北に在サンフランシスコ、南に在ロサンゼルス総領事館があります。加州政治と州議会の動向を把握し、我が国との関係構築を担う任務を有するのがサンフランシスコ事務所です。兼轄するネバダ州を含め3万2000人の在留邦人、年間80万人を超す観光客への保護、シリコンバレーに展開する企業動向の把握や、日米交流150周年を記念した文化・広報行事の開催と、館員が奔走する毎日ですが、これらは総領事館に一般的に期待されている業務です。 ここでは当地の特殊事情として、州議会対策と日系人社会とのかかわりをご紹介したいと思います。 まず、州議会対策には二つの側面があります。日・加州関係を阻害する要因の排除に努めるものと、関係を強化、発展させるものです。前者の例として、加州の対外貿易を規制し、加州産製品の購買をもり立てようとする動きが議員立法制定の形で現れることがあります。このため加州政府や関係議員に働き掛けて、この動きを止めるように努めることがあります。一方、日・加州間の相互理解促進のために州議会の予算を伴った高校生交流や州議会議員の訪日プログラムの実施を総領事館は支援しています。 日系社会をもり立てるあの手この手 日系社会との連帯も特に加州では重要な仕事です。加州人口の内訳を見ると、ヒスパニック系は1000万人、アジア系は370万人(うち移民の歴史が古い中国系は98万人、韓国系は36万人、日系は29万人)、アフロ・アメリカン(黒人)230万人となっていて、民族の多様性は米国内で抜きん出ています。最近の傾向では、アジア系の中でフィリピン系(92万人)、ベトナム系(48万人)の人口が著しい伸びを示しています。そしてそれぞれのグループは独自の文化の継承、地域社会での相互扶助や福祉施設の運営などコミュニティー活動を活発に行っていることが注目されます。また利益集団を形成する傾向もあります。 州議会の構成を見ると、下院議員の総数80人のうちヒスパニック系は実に20人近く存在し、議会内の動向に大いなる影響力を有していることが分かります。ちなみに中国系は4人、日系は2人と少数派ですが、一緒になってアジアン・コーカスを形成し、アジア系の各活動を支援しています。例えば、米国内で現在日本町が残っているのは、サンフランシスコ、サンノゼとロサンゼルスの3都市だけです。一方、各日本町は観光客の減少などから規模が縮小される傾向にあります。このため、いわば町おこしのためのプロジェクトが提案され、実施に移されています。サンフランシスコでは、これまでチャイナタウンとイタリア街を示す道路サインだけだったのを、州議会の決定で今年めでたく日本町の道標が誕生したのも、日系議員の努力や日系団体の活躍があってのことでした。私たち総領事館も日本町の再生のためいろいろな支援をしてきていますが、一番重要なことは、私や館員が各行事に参加することでしょう。 日系社会の存在は日本と米国とを結ぶ重要なきずなです。ただ日系社会の構成も、現在は3世の世代が中心になってきて、総じて日本語が話せなくなってきたことは事実ですし、今大学生の世代に当たる4世に至っては、日本への関心の薄さが気になるところです。このような状況を打破しようと、日系団体からも積極的に対日理解を求める動きが盛んになってきたことはうれしいことです。 総領事館では日系団体と共催で日本語弁論大会を開催するなど日本語の普及に努めています。また、日系の地域指導者を日本に招聘(しょうへい)するプログラムを実施し、さらに当館を含め日系社会が多い西海岸の総領事館を中心に各地域の日系団体が一堂に会し、定期的な対話を進めるようになりました。このような草の根の活動を通じて日米関係がより一層強化されることを願っています。 ワンポイント・アドバイス 米国では、9・11同時多発テロ以降、外国人の出入国管理の強化が図られ、出国時にはベルトを外したり靴まで脱がされたりし、入国時には来年1月から指紋の採取が予定されていますので、ご留意ください。 |
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